Novel
あとがき

 こんにちは、もずくです。

 四年前の八月末に始まったシリーズ、ついに完結となりました。
 どんな作品も完結させることを常にモットーとしているので終わらないことはないだろうと自分で自分を信じてはいましたが、これだけ長い期間続くとなると不安でした。でも、完結することが出来ました。

 ずっとずっと見守って下さった方、最近読み始めて下さった方、完結してから一気に読んで下さった方、すっ飛ばしながらもちょこちょこ読んで下さった方、皆様お疲れ様でした。本当に、ありがとうございました!
 お相手である兵長の登場率が原作沿い後半はぐぐっと下がったのにそれでも作品を追いかけて頂けて、感謝の言葉が尽きません。

 原作が現在でも連載中の作品のため、四年前からバッドエンド、デッドエンド、メリーバッドエンド、色々用意していた中で、結局はそのどれでもない結末にたどり着いたことに驚きつつ納得しています。
 これが一番、迎えるべき結末ではないかと。
 原作22巻まで発売されたこのタイミングだからこそ迎えられる結末で、この結末のために終わるまで四年かかったんじゃないかと。
 書く時期が少しでもずれていたら、間違いなく途中の展開も結末もこの形にはならなかったのですから。
 思い返せば四年前、連載開始の頃の最新刊は11巻で、まだあの頃はまだ何もわかってなかったですよね(遠い目)。兵長は16巻くらいで死んでしまうんじゃないかと色々と対策を練っていたのですが、22巻の現在でも今のところ元気に生きていて下さっているので特に意味がなかったのはいい思い出です(笑)

 既に原作が完結済みの作品なら、先を見据えてもっと上手く展開出来ただろうと思います。しかし、ほぼリアルタイムだからこその楽しさ、「これからどうなるんだ感」を感じて頂けたなら幸いです。書いている側としては途中から綱渡りでした。その綱が途中で千切れてターザンのようになってから綱をよじ登って完結のゴールにまでたどり着けた印象です。その意味でもよく書けたなと思います。過去の自分へお疲れ様!と伝えたいです。

 以下は各編をせっかくなので簡単に振り返りました。地味に長いので気が向かれた方だけ読んでやって下さい。
 ここまで読んで下さった方、ありがとうございました。また色んなお話書きたいので、そこでお会い出来ると嬉しいです。それでは。

【旧本部生活編】
2013.09.28-2013.12.13
 原作沿い突入!リヴァイ班楽しい!の一心で書いたので、読み返すとその頃の気持ちがよみがえります。ずっと旧本部を書き続けたいけど先に進まなきゃ!と10話に区切ったのは正解でした。おかげで完結までの各編10話でどうにかこうにかまとめられたかと。無理やりにでも区切ったり押し込みまくった時もありましたが(笑)
 ところで、基本的にオリキャラ出さない、ましてや名前なんか付けない派の私がなぜアルト様を出したのか今となっては全然わかりません。夢主は元使用人だったし貴族っぽい人を出したいなーくらいの軽すぎる気持ちだったんだと思います。で、一回出て来てさよならのつもりだったんですが、なぜか原作沿いでも出て来たんですよね、この人。彼を書く度に「次はいつ出て来るのかな」と思いながら書いていました。フリーダムアルト様です。結果的にこの方なしでは完結が難しかったので助けられました。
 リヴァイ班の面々一人一人にスポットを当てた各話と、全員大集合の『なぜならそこに愛があるから』は今でもお気に入りです。

【女型の巨人編】
2013.12.31-2014.05.05
 一話目から兵長とくっついています。当時はここで一区切りだったんですよね。当時の『なかがき』(→こちら)が懐かしい。ここまでの展開はそこそこ計画的でしたが、二人の関係は流れに任せていたので、良かったと思う反面これからどうなるんだろうと心配にもなったりしてました。とりあえず『可愛いフロイライン』はもずくベストタイトル賞のトップ3に入ります。
 合言葉なキャッチフレーズは「行くぜ!女型!」の一心でひたすら進めていました。壁外調査を三話でまとめられた点は今でも満足しています。
『そして絶望の名を知る』はアニに関して小さいながらも伏線をちょこちょこ撒きつつ、ここでついに明らかになるという伏線回収が出来た当時の達成感も含めてお気に入り。
 ミケ班とのやり取りは原作沿いだと少なかったので、番外編『断章の羽根』でこれでもかと書いて発散しました。

【ストヘス区編】
2014.05.29-2014.12.01
 連載初期はここで完結するなら決別バッドエンドの予定でした。2014年末の時点で続けられそうだったので、終わりませんでしたが。
 夢主の過去に関する伏線もろもろをここで回収しつつ、ついに未知の領域、11巻以降へ突入したのです。これ以来、ここで終わっておけば良かったと思うこともたまにありました(笑)
 当時書いたなかがきA(→こちら)が懐かしい(二回目)。

【リヴァイ班編】
2015.01.29-2015.07.02
 原作12巻は兵長同様夢主も参戦していないので跳ばしました。よって一気に13巻軸です。
 夢主が新リヴァイ班に入らなかった理由はいくつかありますが書き手の都合もあって「班員の数が多くなるから」という点ですね。話の中で全員を同時にうまく立ち回らせる力量が私にはなかったので。
 それに原作沿いという性質上、彼らと行動すると単にあらすじをなぞるだけになってしまいますし。それでは面白くないように思えて。
 だけど新リヴァイ班、104期と一緒にいたい!ということでこの新リヴァイ班編でした。原作51話の空気が好きすぎます。旧本部生活も最高でしたが隠れ家生活も最高だと思います。
 ここでハンジ班の面々にもスポット当てたかったのですが、どうしても髭ゴーグルさんだけ名前が判明しなかった(二期アニメで判明すると思えばまだ判明しなかった衝撃)のと、展開を踏まえたら『ハンジ班による兵服改造シリーズ』にした方がちょこちょこ彼らの存在を感じてもらえるかなと。ニファさんは名前が明らかになって雑誌の質問コーナーでお洒落さんと判明してから特に番外編とかで活躍してもらえてますし。
『家族の肖像』コニーとのやり取りにあった『さる』については後々の伏線の予定でしたが結局使いませんでした。展開次第でもしもウォール・マリア奪還作戦まで続いたなら原作18巻での夢主の立ち回りもかなり出来ていたので惜しいですが、仕方ない。
『Auf Wiedersehen』夢主が兵長と出会うより前に兵長は夢主と出会っていた、という背景だけは割と初期から決まっていたので、長編番外編ではちらほら、本編ではこの辺りから匂わせています。細かいところは全く決めていませんでしたが。なので後々明らかになったウーリおじ様の記憶操作に非常に救われました。
『ずっとお前を見ていた』最後の最後に登場したケニー・アッカーマン!これから色々やってもらうよケニー!と意気込んで更新した翌月、2015年8月に発売された17巻でケニーが斃れたおかげで当時の本命プロットが立ち消えとなったのが今となってはいい思い出。メリーバッドエンドで割と好みだったのですが仕方ない。原作がどう転んでもいいように基本的にいくつか展開パターンを常に用意しつつ連載していたので困ることはありませんでしたが、やはりケニーには生きていて欲しかったです。

【打倒王政府編】
2015.08.09-2016.07.02
 一年かかってるー!?王政編の終盤から分割更新が始まりましたね……おかげで毎月絶対更新する!という謎のこだわりマイルールは一応守り続けることが出来ましたが。
 偶数話にある会話シリーズは最初の予定では存在しなかったのですが、ふと思い立ちました。で、やろう!と決めたら本来書くべきものを奇数話へ押し込むこととなり大変でした。何が大変ってとにかく奇数話が長い…!『すべては大いなる夢のため?』とか今なら確実に分割更新していた長さです。当時の自分のガッツを褒めます。まあ、会話シリーズは短く楽しかったので、その分の余力が回せたというのもありますが。『善に対する正の優越』はこの一話だけでクーデターして王政どうにか打倒するように詰め込んだので、当時の自分はよく頑張った。
『彼らの会話』は104期メンバーのやり取り楽し過ぎました。会話をする組み合わせは新リヴァイ班編の組み合わせとずらしたり、本っ当に楽しかった…!あと伏線の散りばめ具合が好みです。
 そしてここから急に出て来始めたお母様。連載当初影も形もなかったのに……。この辺りでやっと夢主の両親が判明というか決まりました。ケニーでも良かったかなと思いましたが。
 私のイメージとしては三人の子どもが夢主、という感じです。
 親世代としてウーリ、ケニー、そして『彼女』については『Extended Edition』にてちょっと補完しています。よろしければどうぞ。

【礼拝堂地下編】
2016.08.02-2017.08.09
 あとはもう終わるだけです。そしてこちらも一年かかりました。
 ここまで読まれた方は夢小説の猛者です、猛者。そもそもこれは夢小説と呼べるのかどうなのかと悩んだり唸ることが多かったのですが、ここまで来たら進める方向に進むしかないので進みました。連載初期の空気なんて思い出すことも出来ないくらいでした。
 終わらせることの難しさをひしひしと感じる日々でもありました。しかし、これは全体を通して言えますが、書くのが難しいなあと苦戦する時があっても、それでも楽しかったです。いつも、ずっと。
 アルト様に関しては、最期は結局、彼なりに彼女を大事にしていたので悪役にはなりきれなかったわけですが、単なる良い人で終わると都合の良い存在になってしまうので、彼の生き方と結末は間違っていなかったと思います。
 そういえば一部、倉庫連載の【新兵一年目編】の内容が入ってました。ほんの小話全20話ですが、気が向かれた方はこちらをどうぞ→【新兵一年目編】
 最終話のタイトルはどんな内容にせよ「これ!」とずーっと決めていたので、ここまでたどり着けて、本当に良かったです。そして最終話の内容は22巻を読んだ三日後に思いついて、これしかないと思いました。四年この時を待った甲斐があったと。
 続きを書きたい気持ちもありますが、書きません。これ以上の結末が書けないと思うからです。

【夢主】
 デフォルトの名前がリーベの彼女です。終盤のタイトルの一部にもあったように『愛情』の意味で、最初の頃に特に深く考えず辞書を眺めながら名付けました。その結果、一時期びっくりするくらい皮肉なことになったりしつつも、この名前だったから私は最後まで書けたのかな、と今になって思います。
 読み手の女神様にも素敵なメッセージを頂けたり、彼女は幸せ者です。なので私も幸せでした。
 見習いたいところも、褒められたことではないところも、全部引っくるめて、彼女を愛しく思います。
 そういえば結局この子の母方の血筋は何なんだって感じですが、原作のモチーフの一つになっているっぽい北欧神話の一部を下敷きにしています。大体そのままです。
 とにかく私が彼女へ伝えたいのは、生き残ってくれてありがとう。ずっと死んでもらうつもりで書いていたので、嬉しく思います。きっとこれからも生き続けてくれるんじゃないかと信じたいです。原作が哀しい結末になったり、兵長に何かあったとしても、彼女なら何とかしてくれる気がしてます。そんな想像が膨らむので、23巻以降が楽しみです。

 今日まで長い付き合いだったため、お別れするのにちょっと時間かかりそうですが、それならそれで、また会いたくなった時に書けばいいかなと。そう、新婚生活!【花嫁の日常編】とかどうでしょう!(笑)

 冗談はさておき、とりあえず本日発売された23巻が楽しみです。きっと海を知った彼らの新しい世界が描かれているはず!

 それでは皆さん、ここまで読んで下さりありがとうございました!

 最後はあの場所へ行きましょう!

 約束の場所、悲願の地、楽園の果てへ!


もずく
2013/09/28-2017/08/09
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