電波に乗らない感情

電波の向こう側
向こう側の彼
リアルの君と
リアルと電波の交差点
Present for 魂無san



この春、大事件が起こった。
まぁ、取り立てて騒ぐことでもないのかもしれないが・・・高校生活が終わってしまったのだ。
つまりマツさんとは離れ離れ。
さようなら、マツさん。

「そんなっ、そんな・・・!」
「こればっかしはね、どうしようもないと思う」
「ゆーきさん冷たいよ!」
「いやー・・・学力の差はなかなか埋まらないよね」

高校の時にはクラスはバラバラ、合同の授業もかぶらない。
甘い高校生活なんてのは送れる見込みもなく、別にたまに授業サボってアレしてたわけだし、俺的に不満はさほどなかったのだけれど。
例えお互いの家に行ったのも数回、デートはしたことがなくても。
でもマツさんは違ったみたい。
同じ大学、同じ学部に行くと張り切り、見事に落ちた。

「まぁ、その、滑り止めも学校近いじゃない?」
「何の慰めにもならない・・・」

あ、拗ねた。
でも本当、こればっかりはどうにもならないと思うのだ。
先生にも止められたし、無理だと言われていたじゃない。
それでも押し切るだけの自信があったのかと思えば、それはただの意地だったのだと思う。
何をそこまで必死になるのだろうか。
結局、俺等は別々の大学で、別々のキャンパスライフをおくることになったのだ。
残念ではないと言えば嘘になるが、決まったものは仕方ない。
大学生になるとマツさんは1人暮らしを、俺は実家暮らしのまま。
どうやら前々からマツさんは1人暮らしをすると決めていたようなのだ。
俺は正直どちらでも良かったし、実家から通えない距離でもないからとそのまま。
朝早いのは慣れているし、電車も混まないから苦痛でもない。
オリエンテーションにサークル、新しい友達、新しい科目、エトセトラ。
めぐるましい毎日に目を回しそうになって、それでも走り回るのが俺の日常。
マツさんからの連絡もメールのみで、電話もしない。
俺もマツさんはマツさんで忙しいのだろうとメールのみで近況報告をする程度だった。
まぁ、もとからそんなに頻繁に連絡をとっていたわけではないし、新しい生活の始まりはそんなものだと思っていたのだ。
そんな日が何週間続いただろう。
久しぶりに鳴った電話はマツさんからだった。

「久しぶり」
『本当に』
「何を怒ってるの?」
『別に』
「可愛い女の子にでも冷たくされた?もしかしてフラれたの?」

プツリと突然電話は切れた。
話したとも言い難い時間、着信履歴だけが残る。
何かあったのか、電池でもきれたのか。
必要ならまたかけてくると思って携帯を手にその日は眠った。



朝になり、まためぐるましい1日が始まった。
重い教科書にはまだ慣れず、ずれた眼鏡を分厚い教科書でなおす。
カバンもパンパンなのに、明日明後日休みだからと早々に出された課題を仕上げるべく本まで借りたのだから、もう肩が千切れそう。
レポート課題が多い授業を選択したのは間違いだったかもしれない。

「重そうだね」

同じく重そうな鞄に、腕には重そうな本を抱えた友人に話しかけられた。
大学になってからできた新しい友人。
その友人も図書館で借りれるだけの本を借りたらしい。

「うん。でも月1レポートの授業取ったから、仕方ないよ」
「俺もさ、毎回ミニレポート提出の授業取ったんだけど、1回でも抜けたらダメらしくて・・・もう詰んだよ」
「諦めるの、早いって!頑張ろ!」

友人を励まし、帰路につく。
口から出るのは慣れない大学生活への不満ばかりで、みんな同じだと思った。
重い本を抱えながらだとバス停まで行くのも一苦労で、友人と2人で支え合いながら歩く。
バス停にはたくさんの人が並んでいて、この分だと何本かバスを見送ることになりそうだった。

「あれ、マツさん?」

ふと、目を向けた先には見慣れない私服で立つマツさんがいた。
マツさんもこちらに気付いたらしく、軽く腕をあげた。

「やっぱりマツさんだ」
「友達?」
「まぁ、そんな感じ」

新しくできた友人にカミングアウトはしていないし、言うのも抵抗があるので言葉を濁す。
いつか恋人だと言う日がくるのかもと思ったら少しだけ顔がにやけた。
友人に別れを告げ、重い教科書を抱えてマツさんのもとへ。
マツさんは今日は授業なかったのだろうか。
そういえば時間割も知らない。
今度聞いてみよう。

「どうしたの」
「別に」
「別にって、何か用事があるんじゃないの?」
「・・・アレ、新しい彼氏?」
「なわけないじゃん。友達だよ。同じ学部なの」
「テレフォンセックスできる人?」
「・・・さっきから何?」

わざわざそんなことを言うために来たのだったら、もう用はない。
先ほど別れを告げた友人を追いかけて一緒に帰った方が有意義だ。
足を止めてマツさんを見たが、マツさんは目を合わすことなく背を向けた。

「うち、すぐそこだからおいでよ」

それだけ言ってマツさんは歩き始めた。
自分勝手だと殴ってやりたい。
生憎、暴力をふるったことはないけれど。
なかなか来ない俺を振り返るくせに、急げとも言わないマツさんを追いかける。
カバンも手もたくさんの教科書と本。
歩くのだって自動的にゆっくりになる。

「持とうか?」
「重いからいいよ」
「俺、何も持ってないから」

そう言ったマツさんに甘えて数冊の本を渡す。
マツさんが話をしないから、俺が少しだけ話した。
新しい友人のこととか、サークルは旅行サークルに入ったとか、授業の話とか。
マツさんは何も言わなかったけど。
しばらく黙ってマツさんのあとについて行く。
マツさんの家は大学から近くて、マツさんの大学よりも俺の大学に近かった。
多分合格発表を待たずに家を借りたからだと思う。
どれだけ自信があったんだろ。

「入って」
「お邪魔しまーす」

マツさんの部屋は青とグレーの部屋だった。
少し広めの1R、家具はまだテレビとベッドとテーブルがあるだけ。
物が少ないのは越して来てから間もないからだと思う。
まだ揃えられてないものもたくさんありそう。

「ゆーきさん」
「何?」
「さっきの人は本当に友達?」
「当たり前でしょ」

またその話かとため息が出た。
俺って本当に信用がない。
目の前に座るマツさんはなんだか暗くて、じっと俺を見据えていた。
顔が冷たいとでも言うのだろうか。
マツさんはこんな顔だったかな。
そういえば長いこと会ってもいなかったことを思い出した。

「ゆーきさんは俺が怒ってる理由とかわからないでしょ」
「怒ってるの?」

だから喋らなかったのか。
怒ると喋らなくなるタイプだなんて、初めて知ったかも。
まぁ、知らないことのが多いとは思うけど。
多分マツさんも同じだと思う。

「昨日、可愛い女の子に振られたかって言ったよね?」
「それが?」
「ゆーきさんはさ、俺と付き合ってるんじゃないの?そら、そらなりゆきだけど」

・・・なるほど。
昨日の電話は切れたわけではなく、切ったのか。
つまりは俺の冗談を聞き流すことができなかったのか。
挙句俺の友達にテレフォンセックスできる人とか聞いてきたわけか。
知らないことは多いが、ここまで信用がないとは。

「・・・くだらない」
「何もくだらないことないでしょ」
「くだらないったらくだらない!呆れた!」
「うわっ、痛!」

あぁ、人生で初めて暴力をふるった。

「信じられない!そら、そらっ俺だってそんなこと言ったのは悪いかも知れないけど」
「だってゆーきさんは俺といなくても平気じゃん!大学でも楽しそうだし」
「同じ大学行くって張り切って行けなかったのはマツさんでしょ!」
「それはそうだけど!でもっ、ゆーきさんはテレフォンセックスだって、誰とでもするじゃん!」
「最近、そういうのしてない!」

マツさんの顔に携帯を投げつけてやった。
見たいなら見ればいいのだ。
なんなら、パソコンの履歴だって見ても良い。

「マツさんがっマツさんが合格するまで、マツさんと、って。ホント、バカにすんな!自分だけがキャンパスライフ楽しみにしてたと思うなよ!」

落ち込んでたマツさんのためになんともない振りをしたのに。
恥ずかしいから言わないでいたのに。
そら最近やめた上に、そういうことをしていたことに違いはないけれど。
信用されていないのも自覚しているけれど。
それでも、新しくできた友人まで疑うのはあんまりだ。

「帰る!」
「ゆーきさん!」

引かれた腕は少しだけ痛かった。
多分重たい本をたくさん持っていたから。

「ごめん。俺、自分勝手だったね」
「・・・お互い様。俺だって何もマツさんに言わなかったもん」
「いいよ。電話じゃないと、ゆーきさん素直じゃないもん」
「それ、マツさんもだから」

感情に任せて動いたのは初めてだったかもしれない。
こんな感じになったマツさんを見たのも初めて。

「・・・セックスする?」
「どうしてそうなるの」
「だって、何言っていいかわからないんだもん」
「そういう時にはエロいこと言うんじゃなくて、キスの1つでもするんだよ」
「無理。恥ずかしいから」

そう言うと、マツさんは笑いながらキスを1つしてくれた。
随分手慣れているのだと、今更思った。

***

大学生にもなると、仲直りの仕方も子供とは違うのだと思っていた。
これを仲直りとすると、きっと最低だと8割の人は言うと思けれど。

「あ、ンっ・・・」
「キツい?」
「あっ、待って」

女と違って久しぶりに受け入れると苦しい。
アナルぐらい弄っていれば良かったかもしれない。

「おちんちんは萎えてないんだ」
「寸止めしか、ン!してくんないじゃんっ」
「だって、たまには一緒にってよくない?」
「だったら、いじわるしなっア、ん!」
「可愛いのー」

余裕がなくなると口が悪くなるとか、顔が赤いとか、そんなところばっかり観察しなくても良い。
少し動いたら止まって、また少し動いて止まる。
触らないでいてくれたらいいのに、乳首ばっかり弄る。
もどかしくて頭が沸騰しそう。

「あっも、無理ぃ!」
「わっ、ちょっ締めないでっ」
「おちんちんもけつまんこも、あん!苦しいの!」
「っ、ん!」

耐えきれなくてめちゃくちゃに腰を振る。
自分で動くのはあまり得意じゃないけれど、このままだともどかしくて仕方が無い。
久しぶりのアナルが擦れる感覚に身震いをして、自分のペニスがマツさんの腹筋に擦れる感覚を堪能する。

「こら!」
「ひぃん!」
「俺が動くから。ね?」

耳元で囁くのは反則だ。
動くと言ったのに、動くのは俺の耳元で遊んでいる舌だけ。

「早く、ね。早くぅ」
「わかったから。ン」
「アッ!あっひうぅ!そこ、あっあ゛ぁん!そこぉ!好きぃ!」
「カリで引っ掻くの好きだよね」
「好き、すき!けつまんこゴリゴリするのっあぁぁ!」

背をしならせて、マツさんの肩を必死に掴んで揺さぶられる。
つま先は丸まって、開きっぱなしの口からはよだれが零れ散る。
マツさんの息が耳にかかり、マツさんの舌が耳を犯して。
頭が真っ白になった。

「らめ、れる!も、アアァっ!」
「いいよ。たくさん出して」
「あっあっイ、イくっ出ちゃっあっんああぁぁぁ!!!はっあっあ・・・ひぃん!」
「ん、ぅ」

我慢したせいか、勢いなく、大量の精液がペニスから溢れる。
痺れるような余韻に浸り、脈を打ちながら射精しているマツさんのペニスを味わった。
俺に倒れこむマツさんは火照った顔をしていて、なんだかエロい。
いや、エロいことを今までしていたんだけども。

「ゆーきさんの、まだイってる」
「・・・我慢させるんだもん」
「我慢しないでもっとイく?」
「少し休んだら、考える」
「素直にもっとしてって言えばいいのにー」

明らかに調子に乗っているマツさんの頭を小突く。
今日は機嫌が悪かったり良かったり・・・忙しい人だ。

「マツさん」
「ん?」
「今日さ、その・・・」
「何?」
「と、泊まっても、いい?」

マツさんはガバリと身体を起こして俺を見た。
そ、そんなに嫌だっただろうか。
それとも、他に予定があったのか。
やっぱり急に言うのは迷惑だったのかもしれない。

「ご、ごめん!め、迷惑ならっ」
「全然!でも、親とか」
「・・・もう大学生だもん。外泊ぐらいじゃ、何も言わないよ」
「そ、そうか!そうだよね!」

なんだか一気に恥ずかしくなって顔を伏せる。
やっぱり言わなきゃよかった。
お泊まりなんてしたことがなかったけど、でも大学生だし、マツさんは1人暮らしだし、いいかなって思ったのだ。
なんとなく、ふと、頭によぎったのだ。

「ゆーきさんが、自分からそんなこと言うなんて」
「っあ!ちょ、ま、マツさん!」

ようやく射精も終わったと言うのに、マツさんは腰を揺すり始めた。
心なしか、ペニスがまた硬くなった気がする。

「寝かしてあげられないけど、ゆっくりしていってね」
「あっあん!ま、まだだめぇ!おちんちん触っちゃやだぁっ!」
「だって、ゆーきさんが可愛いんだもの。要は俺と一緒にいたかったんだよね?」
「あっひ、マツさ、あぁ!おちんちんもっけつまんこもっ、あん!変になっちゃっ」
「我慢してたんでしょ?たくさん出していいよ」

にっこりと笑うマツさんはいつもより楽しそうだった。
レポート課題は終わらないけれど、とりあえず俺等の課題は終わったらしい。

「あん!あっ、ひぅっ・・・あ゛ぁ!らめ、けちゅまんこでっ、あっまたイっちゃうのおおぉ!」
「いいよ。俺ので、けつまんこぐちゃぐちゃされてイって」
「は、ひいいぃぃん!!!あっあ゛っけちゅ!まんこがっあうぅぅ!」
「ほら、ここが好きでしょ?」

俺の大好きな声が、俺に追い打ちをかけた。
弱いところを抉られ、敏感になっていた俺は足先をピンと伸ばしてイった。
薄い精液が自分の腹に広がる感じがする。
アナルの奥に熱いのを感じたってことは、マツさんも早々に射精したらしい。

「もう、ほんとゆーきさん可愛いすぎ。俺、絶倫になれる」
「なったら、マツさんのおちんちん、ずーっと俺のけつまんこに挿れて、ぐちゃぐちゃにしてね?」
「・・・ほんと、そういうこと言うのは恥ずかしくないの?」
「本音は隠すものだからね」
「たまには本音で話してくれても良いんだよ?」

実はその、困ったようにして笑う顔が好き。
そんなことが言えるなら、裸で外が歩けると思うのだ。

「言えるなら、苦労しないよね」
「ん?何?」
「なんでもないよ」

俺には当分無理だ。




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