16.June.2014
Happy Birthday! Marco!



少し前に上がった雨のお陰か潤むように夜空は輝いていた。夏はまだ少しばかり先の事のようです。
都市の喧騒を幾許か離れ、時折耳を掠めていくのは、昼の暑さからは想像も付かない未だ冷たい夜風の音以外には私達二人の控えめな会話と息遣いばかりでした。

「マルコ、遅くなっちゃったけどお誕生日おめでとう、生まれて来てくれてありがとう、そして、わたしと出会ってくれてありがとう。」

「うん、ありがとう。けど、ちょっと照れるな、改めてこう…何ていうか言葉にされるとね?」

この出会いはもしかしたらこの一度限りではないのかも、と何故だかそう思えました。
どこかで聞きかじっただけですが、全く同じ人間が生まれてくる確率は10の24乗分の1だそうです。
これは天文学的な数で、まず有り得ないことらしいですが、どうにも気が遠くなってしまうけれど全くのゼロではないとか。
例え作り話だとしても、奇跡を通り越したどこか別世界の片隅ででも、もう一人の私達が出会っているということだってゼロとは言えないのかも知れません。

だって、上がった雨に気が付かないふりをして、ただ静かに一つの傘に身を寄せて添い歩いただけで、遮られることなく続く果てのない空に、輪をかけて途方もないことをこうも思うのです。

「いいの、来年もそのずっと先も、きっと同じように私は思うよ。」



(そして、そのうちに、この途方もない想いは宇宙すら簡単に作り出してしまいそうよ。)




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