Memo | ナノ
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10/14(Sun):小話

亮介さんと寛樹さん
 寛樹の部屋に着くなり押し倒された。彼愛用の抜き身のナイフが亮介の頬を叩く。
「ねえ、亮介」
 黙って見つめ返すもその瞳に宿る狂気を宥める方法なんてわからないから、彼が正気に戻るのを待つしかない。
 彼の正気なんてここ数年、お目にかかってないけれどそれを言ったらおしまいだ。
「嬉しい? 俺と別れて、さ……?」
 清水亮介の幼馴染、岩本寛樹。昨日まで恋人だった男。
 寛樹は愉しそうに口元を歪め、ナイフを見せつけるように手のひらでくるりと回してみせた。
「ねえ、亮介。俺と一緒に死んでくれない?」
「断る」
 亮介の即答にも関わらず喉の奥で嗤った寛樹は躊躇わず自身へナイフを突き立てようとしたので奪い取る。
「あのさあ、ヒロ。矛盾してるってわかる?」
 不満げに亮介を一瞥し、無視する寛樹が腹を押してきて地味に痛いが我慢して首を起こし寛樹を見つめる。
「別れてって言ったのはヒロでしょ」
「亮介が止めると思ったんだもん」
 この女王様気質には昔から頭を悩ませたなあ、なんて過去へ逃避している亮介を現実に引き戻すのはやはりこの幼馴染で。
「ねえ、亮介。俺のこと好きでしょ」
「好きだよ」
「じゃあ、なんであっさり別れたの」
「ヒロが別れたいって言ったから」
 気まずい沈黙。寛樹の体重で脚が痺れてきた。寛樹は何事か考えており、形勢逆転を狙うなら今。
「痛い!」
 寝返りを打つ要領で寛樹を下にし、文句を垂れ流す口を塞いだ。
「ねえ、ヒロ。俺はヒロのこと大好きだけど、ヒロも俺のこと好きだから、したいようにすればいいよ」
 我ながらずるい言い方だと思う。けれど、亮介はどちらでもいいのだ。
 どんな形であれ、寛樹の傍に立ち続けるのは自分だという自負がある。
 返事の代わりに首に腕が回された。
「はやく」
 悔しそうに亮介を見上げるその瞳が好きだ。



10/14(Sun):小話

暁さんと悠太さん
「暁」感情のない声が暁を呼ぶ。もう慣れたとはいえ気分のいいものではない。冷めた目で悠太を見つめ返しても彼の憎しみが暁を貫くのみ。こうなるとしばらくは元に戻らない。
 リビングに置きっぱなしの台本は“ロミオとジュリエット”。せめて彼が本当に死を企てないように見守るとしよう。
 名賀暁の恋人は舞台俳優で、役に食われやすくて、男だ。



 暁の目の前で蹲ってじっと動かない男、名を草場悠太という。暁の恋人で、舞台俳優で、同僚でもある。
 背後から彼に忍び寄りそっと抱き締めた。彼の視線は何もない場所を彷徨い、暁の体温に気づいているかどうかさえ疑わしい。
 それでも暁は抱き締め続ける。“彼”が戻ってくるまで。
「――暁」
 ぼんやりした瞳が次第に焦点を結び、意志を持って暁を捉える。
「悠太」
 いつも不安で仕方がない。彼が戻ってこないのではないかと怯え、それでも役と共に生きる楽しさを知ったこの身では彼を止めることも叶わない。
 ゆっくりと悠太が起き上がる。
「暁」
 甘えたように彼が腕を伸ばすから、暁も彼を引き寄せるのだ。
「悪かった」悪戯っ子のような小さな囁きと口づけ。先程まで死を体感しようとしていたその身は冷たく、役の中でも彼を失うことへのやるせなさが暁を襲う。
「ねえ、悠太」
 呼びかけると腕の中で微かに震える命。
「生きてるって、素晴らしいね」
 身長が同じくらいで本当によかった。すぐ傍に大好きな悠太の顔があって、簡単に口づけることができて。
 抱き返してきた悠太の感触で暁はしみじみと思う。
 神さま。
 この世に悠太を送ってくれてありがとうございます。
 俺は今、とても幸せです。



10/11(Thu):更新

旅の途中27~31完結
一個下に拍手お返事


最後をたぶん加筆しますが、これがラストです。
続きは感想というかネタばれというか、言い訳です。
旅の途中、すごく最低な仕上がりになりました。
図書室とは雰囲気がまったく逆方向に、知人は改訂前なのにここまで書いていいのかと悩みました。彼らがどうなったかはご想像にお任せします。

ただ、安易に人を好きと言っていいのか。
BLのハッピーエンドはだいたい初志貫徹ですよね。
でも現実の男女の恋愛に於いてずっと同じ人を好きでいるのがいかに難しいことか。
もし、恭介が真司を好きにならなくても、真司は恭介に惹かれていったと思います。
誤解を受けそうで、それでも結論を急いで端折ってしまったのですが、真司はすみれを愛していました。加筆するとしたらこの点ですね。
恭介の面影を追ったのも事実、でも、それだけで結婚はできません。
亮介と寛樹、暁と悠太、柚葉に梓紗、真朝……。いろんな人を空気にしてしまいました。和輝なんてキューピットしかしていないし。
怜司なんて元ヤンの空気消せてないし。
でも、彼の兄らしいことなんてこれくらいしかないかも。。。


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来年、移転するかもしれません。
Vocal Soulと旅の途中をがっつり最低にしたいので。
自分の読みたい話を書いているのでどんどんひどい内容になっていきます。
これで全年齢対象でもいいのかなあと悩むのですが、その点については最初に悩みました。もう悩みません。
ありがとうございました。

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書きたいものメモ
もっと好きだと言ってくれ/君がいなけりゃ最高だ/愛ある傷/幸せを蹴り上げる/Game Over!/Promise Ring/Pure notes/君が好きだと叫びたい/だってずっと傍にいた/侮蔑と羨望/Love is all!/XD/Liebe ist./海の果てに君を/好きだと言ってもいいですか。



10/11(Thu):拍手お返事

続きにお返事
柊さま

せっかく見つけていただいたのにすみません。
Natural Wind、がっかりされたのではないかと思っています。
ショウがすごく我儘に見えるように書き直しました。
しばらくお暇をいただきます。すみません。


無記名さま
ありがとうございます。本当にすみません。



10/10(Wed):更新

Natural Wind完結
Innocent Zero1up

お待たせしました・
リライトしたものの、後半をまだまだ加筆したいと思ってしまいます。しかも前回より勢いが削がれているかもしれません。
Cloudy Sunはしばしお待ちを。



10/10(Wed):小話

瑞樹さんと秋一さん
たまには秋一にも腕をふるってもらいたいと思うも何をさせていいかわからず、無難に米をといでもらうことにしたのはいいけれど。
「これは……」
水を入れなかったらしく焦げてカチカチ、真っ黒な米。しかも、先ほどまで満タンだったはずの洗剤が半分以下に減っている。
「秋一、行動を再現してみせて」
肩を竦めた秋一は無言で再現する。
米を洗う時に洗剤を入れ、洗い、水を切って炊飯器のスイッチを押したらしい。
「瑞樹」
「……よしわかった。まずはここから憶えようね」
にっこり笑った瑞樹を怖いと思ったのは初めてだったらしい。



10/10(Wed):なちゅらる

拍手、ありがとうございます。

少しずつ、できた分だけでも載せていきます。
七月、爽やかな風が教室を吹き抜ける。今は終礼中、ふいにクラスメイトたちがざわめき、うとうとしていた坂部将太は現実に引き戻された。
「坂部くーん、彼氏が来てるよー!」
 笹原のふざけた声で一気に脳が覚醒した。まさかと思い慌てて廊下を見ると、こちらを見つめ、にこりと笑ったヒサと目が合う。
廊下側の席の笹原は桟に身を乗り出しヒサにちょっかいを掛けており、担任の話し中であることを注意する者は誰もいない。
「ヒサぁ、坂部くんのお迎え?」
「笹原先輩、終礼中です」
「俺もヒサが好きだよー?」
「そうですか知ってます嫌いです。ちゃんと終礼に参加してください」
 さりげなくひどいことを言いながら、先輩である笹原を窘める後輩のヒサ。まったくどちらが先輩かわからないがこれもいつもの構図、最近ご無沙汰だったものの見慣れたものだ。
お祈りが終わり挨拶、すぐさま教室を飛び出すも既にヒサは笹原たちに囲まれていたが、ショウの姿を認めるなりこちらへ手を振る。笹原たちもショウを振り返り、なんとなく気恥ずかしくてそっぽを向くとヒサがにやりと人の悪い笑みを浮かべた。
「あーあ、振られちゃった。笹原先輩、慰めて!」
「はははっ、ほら、ぎゅー!」
 笹原が腕を広げその胸へ飛び込むヒサ、爆笑している日向と駒沢。クラスメイトたちも遠巻きにそれを微笑ましげに見つめていて、彼がどんなに愛されているかがわかり誇らしいような寂しいような奇妙な気分だ。
 ショウが背を向けると、ヒサは引き留めようとはせずに笹原を引き剥がしている気配が伝わってきた。
「じゃあ、僕はもう行きますね。先輩方、たまには部室に遊びにいらしてください。さようなら」
「じゃあねー!」
「ばいばーい!」
 鞄を持ち上げ、階段を降り始めたところでヒサがショウに追いついた。しかしショウに話しかけることはなく、ゆっくり後ろをついてくる。
「ねえ、ショウちゃん」
 下足室へ着いたとき、高三の先輩であるショウへ高二のヒサが甘えるように声を掛けてきた。
「ショウちゃん、こっち向いて。寂しいよ」
 心の奥が鈍く疼く。そろそろと振り返るとヒサがショウを優しく見つめており、体温がじわりと上がるのがわかるも目を逸らせない。
「ショウちゃん、ごめんね?」
 靴を履き換えたヒサがショウに一歩近づく。吐息の触れる距離で彼の瞳に絡めとられた。
「少しでも早く会いたくて――来ちゃった」
 松口久哉。ショウの年下の先輩である。



10/06(Sat):おしらせ

ランキングを抜けてきました。
今までありがとうございました。
今年度中に更新したいと思っています。すみません。



10/04(Thu):おしらせ

更新に見通しが立たないので、10/6に全ランキングを抜けます。
すみません。



10/02(Tue):お知らせとお詫び

私生活多忙のため、更新が滞ります。
次に戻ってきたときはVocalSoulも主も知人も旅も更新します。
すみません。



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