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あまい一日

▼Home、バレンタイン編
1/3※ 途中分岐有り。どちらを選んでもラストは同じです。



夜中に厨房を借りて作ったトリュフチョコの最後の一組を、この間下船した時に見つけた薄い手漉きの和紙で包む。

親父と隊長たちと、近しい家族の分。

家族全員は無理だから、残りは駄菓子みたいに小さなチョコを沢山入れた籠を食堂のカウンターの隅に置かせて貰う事になっている。

「終わったぁ…今日だけはサッチを尊敬する…」

数十人分でも大変なのに、家族みんなの食事の支度を毎日してるんだから。
ホントは普段だってそれなりに尊敬してるけど、ついそんな言葉が零れる。

明日…もう今日は幸い船番も無いし、朝からゆっくり配って回れる。
個別に用意した包みの数を念の為数え直し、特に綺麗に出来たチョコを包んだ一つを、特別に用意した包装が潰れない様にそっと一番上に置いた。



* * *



準備に遅くまでかかってしまった所為で少し眠い目を擦りながらまず親父の部屋に行き、次に甲板に出た所で、既に両手いっぱいにチョコを抱えて、口の中もチョコでいっぱいなエースに会った。

「わ…エース。沢山貰ったね」
「おう、誕生日でもないのにな。何だ?今日は」
「バレンタインだからね。…お返しは三倍返し説も有るらしいよ??」
「げ、マジか!?」

本気でオロオロし出したエースが可愛いくて、思わず笑ってしまう。

「わたしはお返し要らないから、これも食べてね」
「ルリもくれんのか?さんきゅ!!」

こんな小さなチョコ一つで満面の笑みをくれるエースを、ナースさん達がつい甘やかして沢山あげてしまうのも分かる気がした。


朝食ついでに食堂に行き、次に武器庫や資料室を回り、見かけた隊長たちに順繰り配って歩いた。

(あれ…イゾウさんがどこにも居ない…)

いつもなら朝の食堂で会える。
でも中身も包みも特別な一つをみんなの前で渡すのは恥ずかしいから、今日は会えなくて良かったと思っていたけれど…何故かその後も会う事が出来なかった。

どうしよう…

イゾウさんの部屋へ向かう

もう一度食堂を見に行く

二周目以上なので(笑)脇目も振らずにイゾウさんの部屋へ向かう

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