無口も鈍感もほどほどに
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「ねぇなまえ。ほんとに相名字君と付き合ってんだよね?」
『…多分』
「…」
告白は私から、クラスの中ではどちらかと言えば一匹狼タイプ。かと言って全く誰とも関わらなくはない彼。
親友に言わせれば定かではない交際(はず)を始めてから3週間。会話も挨拶もたまに先生からの頼まれごとの確認…って!!!
(んーー、考えれば考えるほど付き合ってるのか自信なくなってきた)
チラッと斜め後ろにいるはずの彼の席を見れば、相名字君ではなく
「なに、なまえ俺になんか用?」
(その隣だよ!!)
とは言えず『新に用事はありませ…』そう言いかけて体を前に戻そうとした時、彼が少し乱暴に出ていく気配。
2人になれるチャンス!慌てて追いかけるも
……撃沈、もういない。
『あーぁ、少し話したかったなぁ』
「なまえ」
『!!わっ!新び、びっくりさせないでよー』
「なぁお前ひょっとして相名字のこと好きなの?」
「!!…なんで?!なんでそう思うの!」
(動揺しすぎなんだよ、分かるっつーの)
「あいつ、多分告られてるよ」
『ぇ』
今まで以上、いや今までにない情けない、え。だったと思う。3分…、いや30秒も経ってないかもしれない沈黙を破ったのは、さっきとは比べ物にならないはっきり聞き取れる私の言葉。
『関係ない』
どんな顔していいのか分からず、でも無視することも出来ず吐いた言葉だけど…突き放しそれを認めるには辛すぎて踵を返し振り返れば。
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