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傷は付いていない。どこも痛くないし、誰も恨んでいない。
仕方のないことだったと理解している。
間接的に傷付けてしまった事は、しっかりと謝りたいなあ。
暖かな食事をこの手でまた作ることが出来たなら。美味しいと皆に行ってもらえる日がまた来たのなら。それはとても幸せだろうなと思うよ。
鮮明に思い出すことができるんだ。
包丁で何かを刻む音、フツフツと沸く煮物の鍋の匂い、出陣から帰ってきて、それを見て嬉しそうに笑う仲間たち。雨の日、晴れの日、雪の日。毎日そこに立っていたんだから。
この本丸が少しずつ変わっていっている事は分かっている。
自分自身、もうそこに行けることも分かっている。
でも、彼を一人にはできないんだ。
目を瞑る。味噌汁の匂いがした。
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