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  その後の皆さん、そしてご相談





「あ、みんな揃ってる!ちょうど良かった。
これ、洗って干して畳んだので各自、自分のものは持って行って下さい!

主さん、タオル、干したのもう無いですよね?これ使って下さい!あとこれも!主さんの審神者服です!」


「国広…運ぶのはいいんだが、主の服を勝手に洗うって…その、どうなんだ?」
「え?何か問題があった?
審神者服、綿素材だし、型崩れしないように押し洗いしたんだけど…」
「い、いや、そうじゃなくてなぁ…」



太郎さんと次郎さんに柿を運んで頂いて、お礼にと柿を食べていってもらいたく誘ってみたものの、一回部屋に帰ってからもう一度夜に来るとのことで、厨でさようならをして。
それならお酒とおつまみと、夕飯も食べていってもらいたいなあと柿を剥きながらぼんやり思って。

剥いた柿を無事に皆さんに配り、みんなでおやつという名の一休みをしていた時。


今日のお洗濯当番の堀川さんと和泉守さんが大量の洗濯物を抱えてやってきた。


前の本丸の川の水はとてもじゃないけれど洗濯が出来るような水じゃなかった。

浄水器を一回通して洗わなきゃいけなかったので、出るお水の量もすごく少なく、私も苦戦をしていたが、川の水が澄んだおかげで、かなり洗濯物が前より楽になったのだ。そのおかげで皆さんにもお手伝いをお願いできる。
…私は良いけれど、やっぱり手洗いは大変だろう。
そろそろ洗濯機をちゃんと買おう。



「堀川さん、和泉守さん。
ありがとうございます。お疲れ様でした。

小夜さんが柿の木を見つけてくれて、実を取ってきたので今おやつにしていたところです。お二人の分もありますので、どうぞ座って下さい。お茶も入れましょうね」


そんな手洗い洗濯というとても面倒くさい作業してくれた2人に、ポットに入れたお湯を注いで新しい湯呑みを2つ出す。この間通販で買った2人用の湯のみ。しっかりと誰のかわかるように名前を書いていて、それが増えていくのが楽しみだったりするんだよねえ。
広間には和解した皆さんがそれぞれお茶を飲みながら柿とお煎餅を食べておやつタイムを過ごしている。

この間、来たばかりの博多さんと大和守さん達も、だ。


「博多!これ!このごまのお煎餅が僕は好きなんです!食べてください!」
「博多〜!ボクはね、この海苔のヤツが好き!ね、食べて食べて〜〜!」

「あ、ありがとう…ばってん、流石にこんな食べられんとよ…?」
「食べられなければ一口だけ食べて、あとは僕たちに下さい」

「こらこら、みんな?博多が困っているだろう。博多。この小夜殿と主が取って来てくださった柿も凄く美味しいんだ。もっと食べるかい?」
「一兄、やってること変わらねえって」
「博多が夜ご飯を食べられなくなってしまいます」


上から秋田さん、乱さん、博多さん、平野さん、一期さん、薬研さん、前田さんだ。

やはり博多さんが来て嬉しいらしい粟田口のみなさんは、少しまだ怯えながらも頬を染めて、なんだか照れくさそうに笑う博多さんのお世話をあれやこれやと焼いていた。

やっぱり兄弟が来ると嬉しいんだなあ。にこにことしている粟田口の皆さんを見るとなんだか心があったまる。
はあ…かわいい…いつもならそっと見守る一期さんも、お世話を焼きたくて仕方がないんだろうなあ。
分かる!分かるよ!一期さん!!私に少年愛好家の気は無いけれども!小夜さんをさっき抱きしめたくて仕方がなくなったもの!そう言うことだよね!!


「はぁ〜〜やっぱ内番の後は主の淹れたお茶とお茶菓子に限るよねえ〜落ち着くわー」

「…そんな煎餅ばっか食べると太るよ」
「いいの、おやつとご飯はベツバラ。安定だってめっちゃ食べてるじゃん」
「僕、食べても太らないから」


そんな軽口を言い合いながら、それでも美味しそうにもぐもぐと柿を食べるのは大和守さんと加州さんだ。
あの2人は細いのにすごくたくさんのご飯やおやつを食べる。それでいて太らないからすごく羨ましい限りだ。

…私なんて、現世にいた頃より格段に規則正しいご飯を食べているせいでとても言えないくらいふっくらしてきたというのに。おやつを私だけ控えようかな?

それにしてもやはり、あのお二人の男士は皆さんにお任せしてよかった。
ゆっくりと、少しずつではあるがこの本丸に慣れていってくれているような気がする。



「はい、堀川さん、和泉守さん。お茶とお茶菓子です」

「わあー!ありがとうございます!ほらっ!兼さんも!」
「わぁーってるよ!…ありがとな、主」


用意したお座布団に座る2人。
にこにこと笑う堀川さんに、照れ臭そうにする和泉守さん。

すごくたくさんのことがあった2人だから、なんだかこうしてお茶を飲めることが奇跡で、ついついにやけてしまう自分がいた。

本当は内番も落ち着くまではやらなくていいと進言したのだが、2人はそれを嫌がった。早くこの本丸の一員になりたいと申し出てくれて、とてもとても感謝だ。


もぐ、とまた誘惑に勝てず柿を一口食べて、皆さんを眺めて。きらきらと光るのんびりとした時間が流れる。




ーーうん、やっぱり、相談をしてみよう。


太郎太刀さんと次郎太刀さんは、あんなにも優しいのにまだ淀みが消えていない。何かがある、と言うことだ。考えてみたけれど、何が原因で、どうすればいいのかはさっぱりわからない。


1人で抱えてパンクするのはもう辞めた。

それに、本丸に関係する情報は少しでも共有をしておいた方が後々の利になるはずだ。



「…太郎太刀さんと、次郎太刀さん。お二人と親交の深かった方はいらっしゃいますか?」

そう一声発すると、ばちり。

新しくやってきた博多さんと大和守さん以外の皆さんがわたしの方を向く。
その表情は、様々だった。あからさまに嫌そうなお顔をする方、吃驚している方、俯く方。そんな中、口を開いたのは珍しい方だった。



「主、あの二振の事ならば、私達がお力になれるかもしれません」


ゆるり、と優雅に立ち上がったのは宗三さんだ。
それに続いて、江雪さん。お兄さんの影に隠れながら小夜さんも立ち上がる。



「なら、お話を聞かせて頂いてもよろしいでしょうか?」



神妙な顔つきの三人に、私はなるべく落ち着いて話をする。
何故かとても悲しそうなお顔をするから、あっけらかんとしていたかった。



「ええ…ここでは何ですから、主の仕事部屋でも?」
「勿論です。…皆さん、水を差してしまいましたね。まだお夕飯までには時間がありますから、それまで自由時間ということで。お夕飯の準備までには戻りますので」




ゆっくりと立ち上がって、ひらひらと手を振り、私達はその場を後にした。






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