ほりかわくにひろのどくはく
意識が戻ってしまった。
それに五体満足。いつもよりやたらと気分も良いという最悪のおまけ付き。起き上がるのも億劫で、起きたと知られることも面倒臭い。
目を薄っすらと開けて、また閉じる。
此処がどこかも分からないし、誰か居る気配は感じるけど、もうどうだって良いんだ。
堕ちそうになった事に後悔なんてしていない。寧ろ、放って置いて貰ったらどんなに楽だったんだろう。
あんなにあった憎しみも悲しみも綺麗さっぱり消えてしまった。
内側にある理由はなんだか分からないあったかいそれがとてもとても嫌だった。
気持ちが悪くて仕方がない。
だって頼んでなんかいないんだよ。
僕だけがこれからどこか幸せな場所に行くなんて嫌なんだ。あの閉じ込められた兼さんは何処にもいない。兼さんを置いてなんていけない。
ねえ、兼さん。
会いたいよ。
考える事はそれだけだった。
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