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  さあ、演練です








我が本丸の、一番隊だった方々はその過酷すぎる出陣や遠征のおかげで練度はカンスト、というものをしていた。沢山の辛い想いの中でそれをまた振るう事になった。この現状に、彼らは優しくも答えてくれた。

今回私がお願いして出て頂ける方々の中でのベストメンバーはこの編成だった。

加州さんを隊長に据え、司令塔として全体の指示を出してもらいつつ大太刀の蛍丸さんと太刀の三日月さん、打刀の長谷部さんで全体を切り込み、練度が少し低い一期さんは一発で倒せなかった中傷の男子を、そして機動力のある今剣さんはほぼ不意打ち狙いで相手を撹乱してもらう手筈である。
加州さんと一緒に考えたその作戦であるが、直前に少し変更することにした。
それは大分リスキーであったが、成功したら今日のご飯のカレーにトンカツを追加することを約束したらみんなノリノリである。


準備体操をする皆さんの姿を見て、彼らもまた刀剣男士なんだなぁ…と改めて思う。
どこか嬉しそうなのだ。わたしはもっとこう、嫌がるかと思っていた。そんな心配が杞憂に終わってこちらとしては有り難い限りなのだが。
ちょいちょい、と着物の裾を引っ張られる。引っ張っていたのは、蛍丸さんだった。

「ね、主。俺頑張るから、見ててよね?」
「勿論、かっこいいところしっかり見てますよ」

「あー!ほたる、ずるいです!あるじさま、ぼくも!ぼくもがんばりますよ!」

少し気恥ずかしそうな蛍丸さんの頭をそっと撫でれば、頬を少し染めて嬉しそうにする蛍丸さん。
それに気付いた今剣さんはてってってっと擬音がつきそうな歩き方でわたしに近寄ると、わたしの手を握った。…か、かわいい…!

「今剣さんが、か、かわ…間違えました、かっこいいことは知っていますが、でもご無理はなさいませんよう」

湧き上がる母性本能にぷるぷると震えながら口元を抑える。
そんな私が身悶える一幕もありつつ、演練は開始されようとしていた。







相手の方々はほぼ見るのは初めての刀剣達だった。
我が本丸では前任により折られてしまっていた大和守安定さん、堀川国広さん、大倶利伽羅さん。鯰尾藤四郎さん。結局大阪城攻略をしないままだったらしく、刀帳にすらいない短刀の博多藤四郎さん。唯一私が知っているのは加州清光さんくらい。

スポーツの試合のように、審神者を先頭にして並ぶ。割烹着は脱いだ。ここからは、戦いだ。


「それでは改めて。
よろしく頼むよ、新米審神者さん?」


彼は影を落としながら笑う。悪役の典型のような笑みを浮かべた。
差し出してきた手を再度握る。相変わらず不快感が拭えない。

「はい、よろしくお願いしますね?」

にこやかに笑いながら、挨拶をして審神者席へと戻る。戻る時の私に、笑みはなかった。


_________





事態は迅速且つ呆気なく終わる事となる

あんぐり、向こうの席の審神者さんが口を開けて、事態を理解して怒り狂うまでにそう時間はかからなかった。
何かを叫んでいるのが聞こえるし、こうなることはわかっていた。

ーーー瞬殺であった。

大太刀の蛍丸さんが3人を一気に両断して、加州さん、長谷部さん、三日月さんが1人ずつ。寧ろ一期さんと今剣さんは一歩も動いていない。

直前に変えたこの作戦。正直なところ、一期さんに刀を振るわせたくなかった。
弟を愛する彼に、弟を傷つけてしまったことを深く悔やむ彼に、出来ることなら演練であってもまだ早い気がして。
だから、こうして彼が動くことなく演練を終えられるなら一番良いと思っていた。なのでこの結果はわたしの中でベストである。

でも、よくよく考えればこの結果、そりゃそうなのだ。
こちらの練度に対して相手の練度が低すぎる。本当は練度が同じくらいの本丸同士でやるはずの演練、なぜ私達はここにいて、この相手に当たったのか。


さあ本番は、ここから。わたし、がんばれ。そう心の中で気合いを入れる。





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