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  かみさまとのたたかいです





歩みを進める。つかつかと足早に。

背後には、小狐丸さん。わたしの手を握るのは、五虎退さん。足下には虎さん5匹。
先程3人の願いを書き留めた後、担当さんや政府の方々が詳しく教えてくれなかったこの本丸の内情を小狐丸さんに聞いた。
言いにくい事、思い出したくない事を教えて頂いて、とても感謝をしている。
生まれてこの方、わたしはあまり怒る、という感情を持ってこなかった。
事なかれ主義と言えばそれまでであるが、全てを許し、全て甘んじて受け入れて来た。

その壮絶な内容に、わたしは、人生初。

怒っていた。

【私の知っている限りでは、重傷者は多く居ります。
まず、粟田口。重傷者は薬研藤四郎、秋田藤四郎、乱藤四郎、平野藤四郎、前田藤四郎。中傷者に一期一振。
一期一振は粟田口の兄であり、弟を守るべく前任者に反抗する事が多くありました。その為、重傷になったり、折れかけたりする事が多かったと聞いております。その為、人間に対する憎悪はこの本丸の中でも一際強いです。

左文字。重傷者、小夜左文字。軽傷者に宗三左文字。江雪左文字。小夜を直して欲しい、と何回か前任者に頼んでおりましたが、受け入れられず今も、小夜のとなりに居ります。大広間には来ておりません。

三条は重傷者、今剣。それ以外は無傷ですが、夜伽に従事していたものが多く居ます。

来派、重傷者は愛染国俊、明石国行、蛍丸。こちらは全員過度な出陣の際で、全員が重傷です。

その他の者は、皆中傷、または軽傷ですが皆二振目であったり、その負っている傷は様々です。
また、鶴丸国永と加州清光には一層の警戒をなさって下さい。彼等はこの本丸の古株。全てを見て来た者達です。堕ちかけ、といっても過言ではございません。
ぬしさまの、安全。それを第一にお考え下さい。まず、あの約束をしたのは鶴丸国永です。鶴丸に会い、手入れを行う前に話をつけるのが得策かと思います。】


小狐丸さんに教えてもらった言葉が頭の中でリフレインする。ぐるぐると回る。
そんなに、沢山。それを、放置していたというのか。
人の都合で呼んでおいて、人の都合で虐げる。その行為になんの意味があるというのだろうか。
モヤモヤとした感情、行き場のない怒り。どこにもぶつける事は出来ない、ぶつけてはいけない、出してもいけない、そんな怒りがわたしを支配していた。


「…小狐丸さん、小狐丸さんはまず、来派の方々を手入れ部屋に運んでいて下さい。」
「お任せください、ぬしさま。」


「五虎退さん。五虎退さんには、3つの選択肢がございます。
一つ、このまま私と、三条の皆様の元へ向かうか。もう一つは、粟田口の皆様の元へ向かうかです。
そして最後。ここまでついて来て下さいましたが、わたしの自室へ戻り、待っていて頂くかです。

わたしは、まず鶴丸国永さんとお話をしなければなりません。聞きたくない話も、あるかもしれません。粟田口の皆様の元に行っても同じです。見たくないものがきっとあります。わたしとしては、わたしの自室に戻って頂くのが一番かと思います。
ここまで、ついて来て下さっただけで充分です。…どうされますか?」


道の分かれ道。しゃがみ、五虎退さんに目線を合わせる。
本当は、ここまででもついて来て欲しくはなかったのだ。こんのすけさんと共に、結界の中にいてほしかった。でも、五虎退さんはそれを激しく拒否した。

嫌です、一緒に行きます。

そう言ってくれただけで充分だ。
手を握って、ついて来てくれただけで。


「主さま、ぼ、ぼくは、治してくれた主さまのお役に立ちたい…っ!それに、兄弟達と、遊んでみたいんです。
なので、僕、兄弟といち兄のところに行って来ます。みんなを手入れしてもらえるよう、いち兄に話してきます。ぜひ、僕に任せてくれませんか?」

五虎退さんは口籠もりながらも必死にわたしに伝えてくれる。
…そうか、この子は、兄弟と遊んだことすらないのか。
ならば、わたしが早く鶴丸さんと話をつけ、すぐに粟田口の皆さんを直せばいいだけの話だ。
きゅっと抱き締める。そして、虎さん5匹の頭を撫でてからそのまま無言で立ち上がり、後ろにいる小狐丸さんもぎゅっと抱きしめた。


「…ありがとうございます。五虎退さん、小狐丸さん、勿論、虎さんたちも」


わたしは真っ直ぐ、小狐丸さんと五虎退さんは曲がって、各部屋に向かった。







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