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撫でる


 サスケくんはよく、私の頭を撫でる。よしよしと、慰めるようにだったり、衝動的に触れてしまったようだったり、手の位置がそこに落ち着くだけなようだったり。理由は様々あるようだけど、とりあえず、これは私の特権であるのは間違いなかった。サスケくんは例え、犬猫であろうと、幼子であろうと、ましてや同学年の子であろうと、私以外の頭を撫でるようなことはしない。私はそれをとても不思議に思い、且つひっそりと優越を感じ、そしてああ私なんかがそんな特別な扱いでいいのだろうかとさえ思う。だけど嬉しいものは嬉しくて、幸せな気持ちになってしまうのも仕方ない。どんなに私が、サスケくんは私には勿体ないと思っていても、サスケくんはそんなことお構いなしに愛情をくれる。余計勿体ない。

「……どうした?」
「ん、んーん、なんでもないよ」
「どうせまた、“自分には勿体ない”とか“釣り合わない”とか考えてたんだろ」
「えっ」

 サスケくんは少し得意気に笑みを浮かべ、私の頭に乗せていた手を移動させる。人差し指を立てると、私の眉間に軽くそれを当てた。本来喜ぶことをしているのにここに力が入っている時は、大抵そうだと踏んでいる、と。顔に出ていたことに驚き、それに気付いていたサスケくんに驚き、感心してしまった。サスケくんはやはり、観察力があり、推測・推察も鋭く、つまり洞察力に優れている。さすがうちは一族、とも思ったけれど、それじゃあサスケくん本人をそのまま褒めることにはならないので、サスケくんに失礼かもしれない。凄いのはサスケくん自身だ。

「サスケくんはよく見てるね」
「そりゃあな」

 お前のことは特に。
 そう言われて、そおっと顔が熱くなる。う、うん。普通に照れるね。私が無意識にサスケくんを見てしまうのと、もしかして同じように、サスケくんもそうなのだろうか。だとしたら、嬉しい。同じ気持ち。
 ふふ、のような、へへ、のような声を出して照れ笑いをこぼす。するとまた頭をぽんぽんと撫でられて、今度こそ素直に嬉しい気持ちを受け止める。私には勿体ない幸せだけれど、だからと言って、サスケくんを誰かに渡す気も無いのだから。



(20120809)
【確かに恋だった】[恋する動詞]『撫でる』


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