妄想集やら没集
続いたり続かなかったり中途半端だった意味なしオチなしだったり好き放題にやってます
没集なので名前を固定させて頂いてます
男装主について




夢見た乙女*中途半端 03月14日

いつも通りに過ごしていたら開けられる襖。
今は夕飯時である。よって衛宮家の人間は全て居間に居るということである。つまり、

「王の訪問に出迎えも無しとは何事だ……!」

とまあ、こんな人で。今にも口煩く何かを言い出しそうだ。セイバーはキリッと構えている。まあ飯を守っているともいうが。

「おーそれは申し訳なかったです王様あ。しかし今飯食ってんだから察しろよ」

悪態をつきつつ言葉を発する。
遮られ一瞬眉を顰めたがまあ良い、と。寛大なお心ですこと。

「今宵はセイバーを…と言いたいところだが」

ほう。
珍しくセイバーお目当てではないようだ。どことなく安堵の息を零す士郎。

「―――海南」
「ん」

名を呼ばれ振り向く。どうやらあたしをご指名のようだ。それを良しとしないのがあたしの隣で飯がっついてる青髪。顔がね、めっちゃ酷い。

「なに王様?用件によっては呑むよ」
「喜ぶが良い、王直々の指名であるぞ」
「だから用件」
「うむ。直ぐに支度をするが良い」
「どこ行くの?」

噛み合わない。なんとも噛み合わない会話である。しかしめげないのがいい子あたし。

「我の娯楽に付き合えと申してるのだ」
「どこに行くの?」
「わくわくざぶーん」

ほう。プールですか。
王様の口からそのような言葉を聞けるとは…腹筋崩壊ものです本当にありがとうございました。

「…時間的に終わってない?」
「問題無い。今宵は貸切だ」

劣等な雑種共の浸かっている水などにこの我が浸かれるか、と。つまりそういう事ですか。てか結構広くなかったか?貸切、貸切…ねえ。

「たまには悪くない、かね」

滅多にない機会だし。パチンッと箸を置く。
何を思ったか、どうせ何も思ってないんだろうけど。思い立ったから行動したんだろうし、そこら辺追及しても無駄だということは分かりきっている。
どっこいせとその場を立ち上がる。我様は満足気にうむと頷いた。

「では参るぞ!」
「身支度をさせてください」
「三秒でな。それと我の隣を歩くのだ、そのような貧相な格好では赦さぬぞ」
「三秒で?ばかじゃねえの」

言ったモン勝ちである。どうせあの王様は居間にでも入ってなんやかんや始めだすのだから多少待たせても問題ないだろう。


先程より数倍騒がしくなった居間に苦笑いを零しながら仕切りを跨いだ。

「ごめん皆、今煩いの連れてくから」

何が起きたかは知らんが酷く盛り上がっている。金ぴかも中々ご機嫌だ。

「早く行きますよ」

呆れながらそう告げると視界の端っこに青が映った。

「帰りは11時くらいだと思う、王様の気分次第だけどどうにかそれまでには帰ってこれるように頑張る。鍵は閉めなくて良いよ、ランサーはあたしが帰ってくるまで寝ちゃだめね」

分かった?と座ってるランサーと視線を合わせる。ランサーはというとあたしとは視線を合わせずに少しだけ下の方―――、

「あ?お前何勝負下着穿いてんだよ」

少しだけ苛立ちの含んだ声。見てんじゃねえよ。

「ほう?我に勝負を仕掛けるとな?」
「つうかアレ相手に何て格好してんだよ。前屈みになれば中見えんしみじかすぎんだろ。食われるぞ」
「プール行くのに?関係なくね?」
「行くなよ、ぜってぇ良いことなんてねーから」
「へえ、嫉妬?」

ニヤリと笑ってみせる。ランサーはムッとした顔。

「じゃあお留守番頼むね、わんちゃん」

頭をくしゃくしゃにして高い鼻先に触れるだけの唇を落とした。立ち上がって玄関に向かう。

「王様早くー」

(ランサーが嫉妬)




夢見た乙女*没 03月14日

「何故染めない」

そう問われた時は何の事かと本気で思った。
しかし目の前にいる男はただあたしを品定めするよう見ている。

「なにを染めんの?」

髪?などと自分の髪をくるくる弄ってみる。

「戯け、あの狗のことだ」

嗚呼、と小さく言葉を漏らし納得する。本当にこの王様は、なんというか。

「ランサーとあたしはこれでいいの」

くだらないと言いたげに溜息ひとつ。
掛けていた椅子に深く座り直し足を組み直して頬杖をつく。
それが気に入らなかったのか、あたしの答えが気に入らなかったのか。それは知らんけど眉間に皺を寄せる。あちゃー、機嫌損ねたか。

「…海南」
「はい」
「貴様つまらんぞ」
「あ?」

つい、ついね。
素が出てしまった。

「つまらんて…」
「何故己のやりたい事を望まぬ。己の愉悦を満たさぬ貴様に掛かれば容易いだろう」
「あたしは十分楽しいですー」

不貞腐れたように、ていうか不貞腐れた。
ランサーとの今の関係をあたしは楽しんでる。むしろこのままで良いと思ってる。それの何がいけない事だというのだろうか?

ただ目の前の男はニヤリと笑った。

「つまらん、つまらんぞ海南。貴様はそのような詰まらぬ女か?違うであろう。己が欲を、理想を現実にせんと無き力を振り絞り弱者であるにも関わらずに己が特別だと己に酔いしれ破滅に向かった。その結果が貴様のいう此の"在り得ぬ世界"なのだろう?貴様がこの世界を創り上げたのだ。ならばいっそ欲しいもの総て手の内に入れてしまえば良いではないか。何故恐れる?何を恐れる?世界を創り上げたのであろう?たかが狗一匹――「ギル」

笑えてる、のかな。
笑えてないのかも知れない。けれども。

駄目だとゆっくり首を横に振る。
次に前を見た時は何かが目の前にいた。いや、まあ、動くものなんてひとつ、一人しかいないのだけれども。

「折角この我が我慢してやっているというのに――」

強制的に上を向かせられた。
あの赤とは違う紅があった。

「いっそこの我が貴様を染めてやろうか?」

あ、と思う。この目本気だ。

「冗談でしょ」
「この我が詰まらぬ冗談などいう訳なかろう」
「…あー、お断りします」

ぐっと詰まった距離に息ができなくなった。あれとは違う色。同じ赤なのに、違う、いろ。

「何を考えていた?」
「…、」
「言え」

此の人のこういう所はかなわない。
いつもはどうにかなんのに、下らないことで本気になるんだからどうしようもない。

「……、ランサーの目を、思い出してた」

素直にそう言うと、更に距離が詰まったから顔面を抑えてあげる。

「…ッ」
「いやあー、うん、止めよう」
「貴様…ッ、王である我を拒むっ、だと?」

喋り難いんだろうなあ。
途切れ途切れになっていたので掌を顔から離す。

「わたくしには王様は勿体無いと思いますので」

そう言うとギルガメッシュはあたしの耳元に口を寄せてきた。

「お前の本音が聞きたいだけなのだ。楽になりたいのだろう?」

頭に自棄に響いた、
(あたしは、しあわせなのに)




夢見た乙女*没 03月14日

好きだと、言ってしまえばそこで終わってしまうような気がして。
だから口が裂けても言わなかった、言えなかった。

後ろからぎゅーとしてランサーの体温を感じる。思いっきり息を吸って香りを堪能する。

「擽ってえよ」

少し身じろぎをしてあたしの頭を撫でた。
それが気持ちよくて更にランサーの首元に顔を寄せる。

「だから、くすっぐてぇって」
「うっさいー」

噛み付いてやろうか考えたけど止めて、仕方ないから開放してあげた。
するとランサーがこっちを向いて首元に顔を埋めてきた。息が掛かってくすぐったい。

「くすぐったい」
「だろ?」

ニッと歯を見せてあたしを見る。

「暇だー眠いー」

ニッと笑ったランサーの膝元に頭を預け眠る体制をとる。上でぶーぶー文句言っているランサーを総無視していたら大人しくなったので良しとする。
さらさらと髪の毛を弄って遊ぶ。

「らんさー」
「ん」

言葉が見つからなかった。
胸に言葉が突っかかったように。
ランサーの方を見ていたけど上を見てランサーを見上げる。不思議そうな赤い二つの目があたしを見下ろしていた。
遊んでいた髪の毛に口付ける。

それだけで幸せだった。




その他*没ネタ 03月14日

例えば、それは運命だったのかも知れない。偶然だったのかも知れない。そんな事誰にも分かりかねない。或いは神ならば分かったのだとでも言うのだろうか。
ただ一つだけ言えるのはそれが"異常"だということ。


「――…こんばん、わ?」


空から突如降ってきた少女は、酷く頬を引きつらせ笑いながらそんな事を呟いたのだった。

それは夕飯時の話。最古の英雄ギルガメッシュが衛宮家にセイバーお目当てでやってきて、ランサーがテレビを見にやってきて、凛やイリヤ、桜は当然の様に居座っている。珍しいといえば大河がいないことくらいだ。そんなカオスな人々のお陰でいつも以上に賑やかな食卓となっており宴会といっても差し支えないような騒がしさだった。
外は当然の様に闇に染まっていて散らばっている紅葉が肌寒さを知らせる。
居間の温度は人口密度の関係上少々高めとなっているのだろうか、少しばかり暑苦しいとアーチャーは居間と廊下を隔てる襖を開け外の空気が出入りでき易くし部屋の温度を下げようと試みていた。

何気なく外の風景を見ていた衛宮士郎は散らばっている枯れ葉に目を付け何かを思案した後「今度庭で焼き芋でもやるか」と言い出した。
食に関することには目ざとい騎士王――セイバーがギルガメッシュの求婚を適当にかわしながら夕飯を食らっていたがその言葉に素早く反応し「それは素晴らしい案です」などと目を一層輝かせながらそのアホ毛をピコピコせさた。

それは何気ない生活風景だったのかも知れない。
だから、信じられなかったのだ。

「―――は?」

思わず声を漏らす衛宮士郎。
その視線は先ほどと変わらずに庭に注がれていた。

「シロウ?」

セイバーはそんなシロウの様子に同じく庭を見た。そして、目を真ん丸くさせた。
居間が騒がしかったからなのか、それとも本当に音もなく現れたのかは定かではない。定かではないのだが、"少女が降ってきた"その事実にはなんら変わりはなかったのだ。
それも、頭から地面に着地したように思えた。
士郎は慌てて外と中を隔てるカラス戸を開け、少女に駆け寄ろうとしたがそれより先に少女が呻き声を上げながらうつ伏せの状態から起き上がった。「いたた…」と呟きながら頭をさすっている。どうやら頭から落下したのは確かなようで、しかし問題ないようだ。

「なんだよ…痛ったい…なあ………ってか寒くね?」

独り言を呟きながら少女は顔をあげた。
細い目を少々丸くさせながら―――

「――…こんばん、わ?」


その少女は今肩幅狭く居間に座っている。夕飯の残りを差し出しても一向に食べる気配などなくそれよりの周りの視線が嫌な様子だ。
温かいお茶を差し出して「ありがとう」と蚊の泣くような声で呟いたっきり、何も話さない。

「あーっと…」

士郎は困ったと言いたげに痒くもない頭を掻いた。何よりこの面子が面子だ、せめてこの少女に興味津々のギルガメッシュにはご退場願いたい。

「雑種、名をなんとい」
「…」
「答えぬか」
「………」
「…………」

…微妙な雰囲気。何も話さない少女にギルガメッシュのイライラゲージはあがっていく。このままではよからぬ事が起きるのは目に見えているのだが、何分少女がなに
も話さない分どうしようもない。

しかし唐突盛大な溜息が聞こえてきた。
それは少女が発したもので肩の入っていた力を抜いたらしい、顔を上げ先程と変わらない細い眼を見せた。

「名前は主人公です」

先程とは打って変わり開き直ったように箸を持ち目の前に置いた料理をその口に運んでいく。
いきなりのことで戸惑っていたが、答える気になってくれたのだからありがたい。

「どこから来たんだ?」
「どこから……?日本ですが」
「いや…そうじゃなくてだな…」

間違ってはいない、が此処も日本だ。少女は構わず湯呑みを両手で持ちゆっくりと口付ける。

「此処はどこですか?」
「冬木市だけど…」

うーん、と少女は困ったように首を傾げる。
少々考える素振りをしてから、面倒臭そうに、爆弾発言を呟いた。

「あー、あたし違う世界からしました。多分」

「うーん、喜んで良いのかなあ、てか夢なら覚めなく良いやー」等と呟き自分の世界に入っていまった少女にワンテンポ遅れて

「はああああああ!!?」

遠坂凛が声を荒げた。それに驚いたのか、また細い眼を見開く。

「どういう事?使い魔としてとか、サーヴァント的な…」
「なに言ってるんですか…」

少女は真底困った顔をしていた。回りを見渡し一人一人の顔を見ていく。
ほう…と見惚れたように息を溢し「目の保養…」などと呟いている。まあ、分からなくもないのだが。

「あたし……どうしましょ。家ないですし、服ないですし、お金ないですし、ああそうだ何も持って―――…」


勿論、衛宮士郎宅に住民が一人増えたのは言うまでもない。




男装主/SN*2 03月14日

――散々だった。

訳分かんないサーヴァントらしき男に戦闘を吹っ掛けられたと思ったらアーチャーは負けるし(そこまで怪我を負わされた訳じゃあないけど)頬っぺにキスされるし……!

「……もうっ、本当になんだったの!」
『済まないマスター…だが次に会った時は仕留める』
「当たり前よっ!」

あの男が言った通りにアーチャーは数分もせずに万端な状態へと回復していた。何より、あの男、サーヴァントだとか言うのに『ステータス』が見えなかった。それも可笑しいのよ、しかも剣やら槍やら好きに使い放題、一体クラス名は……?

はあ、とため息を吐いて(厄介な敵が増えた……)衛宮君の家に向かえば何やら騒がしい。不思議に思いながら玄関を上がり、一層賑やかな居間へと足を運んだ。


運んで、信じられない光景を見た。


「シロウ、おかわりっ!!」
「お前ほんっとに良く食うなぁ」
「ったりめえだろ!!シロウの飯激ウマー!」

「あ、おかえりなさいリン」
「おう遠坂、おかえり」
「あ、リン!おかえりっ!」


「ええ、ただいま。……………って、なんでじゃあ――――ッッッ!!!!」


そこには当たり前のように居座って衛宮君のご飯を食べているあの男……少年?が。どうして、なんで!?てか普通の服だしッ!!

「まあまあ、リン落ち着け、」

と少年が言いかけて赤が視界に映ったと思ったら身体が倒れていた。

「……」
「な、アーチャー!?」

黒白の双剣の片方を少年の首筋に当て押し倒しているアーチャー。少年は目をぱちくりとさせていた。口元にご飯粒がついてるわ……。

「なんだよなんだよ、俺今飯食ってるだろー?」
「黙れ。何故貴様はここにいる」
「シロウとオトモダチになったから。……俺殺されちゃうの?ねえねえ殺されちゃうのー?シロウのおかわり食べたい」

なんとも緊張感のない少年である。アーチャーが力を籠めればサクッといってしまうというのに。

「待てよアーチャー!ソイツは何もしてないだろ!?てか、なんで…!」
「今しがたコイツに襲撃を受けた」
「遊んであげただけじゃーん」

ブーブーと文句を垂れる少年。混乱しているのは少年以外、ということだ。


「……アーチャー下がりなさい」
「…しかし凛。コイツは今仕留めておかねば後々厄介になるぞ」
「分かってるわ。けれどもその子、常識は弁えてるみたいだから」
「さっすがリン!!むさ苦しい男ばっかだったら速攻斬り倒すけどカワイイ子いるから何もしねえよ!!」

アーチャーは訝しげながらもその身を引いた。
……さて、長い夜になりそうだわ。



prev | next




×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -