妄想集やら没集
続いたり続かなかったり中途半端だった意味なしオチなしだったり好き放題にやってます
没集なので名前を固定させて頂いてます
男装主について




男装主/SN*1 03月14日

ガキィン、キィン、と何かがぶつかり合う音。

「アーチャー!!」

女の叫び声の後に続いて闘っていた赤い外装の男の頭に黒い男の回し蹴りがクリーンヒットした。ズドンッ!!と凄まじい音を立ててコンクリートに罅をつくる。

「なんだよ、こんなモンか」

詰まらなそうに男は刃物をくるりと回した。そして次に狙いを定めたのは勿論、

「キレイな顔してんねェ」
「!!」

一瞬で間合いを詰められ遠坂凛は息を呑んだ。闇にその男の赤い瞳が妖しく光る。ぐっ、と睨みを利かせせめて呑み込まれないように、とすれば男は目を見開き、笑い声をあげた。

「いンや殺す気なんざねぇから安心しな、お嬢ちゃん」
「――!」
「あの赤いのも数分すりゃ元通りだ」

そう言って後ろで倒れているアーチャーを指差す。既に起き上がろうと腕に力を込めていたところで男は口笛を吹いた。

「脳みそシェイクくらいにはなってる筈なんだがなぁ、いやぁお見逸れしました」

完敗、完敗、と両手をあげる男にアーチャーは睨みを利かた。しかしまだ立ち上がれない。


「余所見してんじゃないわよ!!」

目の前の男がアーチャーに視線やった事を良いことに魔術刻印により直ぐ使用できる「ガント」を左腕を突きだし打ち込む。

―――取った!

そう、遠坂凛は思った。
がしかし現実はそう甘くはない。


「こんな危ないモン人に向けちゃあ駄目だぜ?」
「!!」
「凛ッ!!」


突きだした左腕を掴み男は遠坂凛との距離をぐっと詰めた。
ちゅ、と軽いリップ音を鳴らしその頬に口付ける。は、とアホ面している遠坂凛の顔を見て男は吹き出した。

「口にして欲しかった?」
「――!」

漸く理解した遠坂凛は顔を赤くして単純に暴れだす。男はクスクス笑いながらその場を飛び退いた。


「可愛いお嬢さん、今度はもっと俺を楽しませてくれよ?」
「だ、誰が…ッ!」
「あ、ちゅーしてくれても全然構わないぜ!寧ろ待ってる!」
「するかーっ!!」

ガオーと顔を真っ赤にして怒る遠坂凛と今にも飛び込んできそうなアーチャーに「また"後で"なー」と言ってその身を翻して、男は去っていった。




男装主/zero*1 03月14日

それはだって、ありえない事だったし。

「んあ?あー、…あぁ、間違えた?」

小さな小さな幼児。恐らく6、7才と思われる。けれどもその幼児はなんてことないように空から降ってきたのだ。全身を黒い服で覆い、髪の毛を掻きあげる。けれどもその赤い瞳の威圧感から、それはただものではないとその場にいた者皆が戦慄した。

「お、おー。様子見のつもりがど真ん中に落ちてきちまった」

ケラケラと外見に見合わない笑い声を響かせ、幼児は周りを指差しながら、一人づつ、見ていく。

「セイバー、っは。…なんかあんま良くねえなあ。ランサーは、無理。ライダーは…良い感じだねえ!…っと、アサシンはだめ。あとは――…」

ふと、幼児の視線があがる。
そこに現れた金色を指差し、笑った。


「アンタ良い感じじゃん」
「誰に向かって口をきいている?」
「そう怒んなってー」


ケタケタ笑う幼児にその金色は眉間に皺を寄せ、自らの宝具を展開させる。ひゅう、と掠れた口笛を吹きながら、けれども慌てる様子などなく幼児は上を見上げた。

「なに?俺とやるっての?」
「黙れ、餓鬼」
「こっわあい」

その言葉が合図だったかのように放たれた武器。
けれども幼児はぽっけに手を入れたまま地を蹴り、襲い来る武器達を足場にして意図も容易く金色の眼下へと姿を翻した。
空中で体を捻る。短く小さな足が、黄金の甲骨に一筋の傷をつけた。

「…チッ、リーチが短けェ」

恨めしそうにそう言って見事地上に足をつく。
金色は肩を震わせ、何かに耐えていた。しかし幼児は気にする様子など微塵もなく、ただ上を見上げて呟いた。

「きっめた、お前にするわ」

にんまり笑い一瞬で姿を消す。
その場に残ったのは静寂のみだった。



prev | next




×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -