赤い服に艶やかな黒髪。 従えているサーヴァントはあの子と従者とは対の青色。
(サーヴァントいいなあ)
元よりわたしは"マスター"としてこの聖杯戦争に参加するつもりだった。なのにどうしてこうなったんだか。はあ、と透明な掌を見てため息を吐く。お陰でSE.RA.PHの大部分を知ることはできた、できたのだが何分肉体とのリンクが切れている為に戻れもしない。美味しいドコどりはできないってことか。まあこの聖杯戦争が終われば、きっと――…。
「……サイバーゴースト…?」 「!」
ふと顔をあげるとトオサカリンがこちらを見ていた。あ、あれ…?おかしいな、不可視化してる筈なのに。
「―…私の言葉が判るみたいね。貴女は誰かしら」
ふ、と力を抜く。どうやら考え事をしていてわたしが"透けて"見えてしまっていたらしい。目の前のトオサカリンが目をぱちくりさせるのを見て胸を撫で下ろした。全く、SE.RA.PHに見つかったりでもしたらどうするつもりなんだあたし。もっと気を引き締めないと。
ふにふにと頬っぺを突っつかれる。
「……嬢ちゃんサイバーゴーストじゃあねえだろ」 「え」
トオサカリンのサーヴァントがわたしの頬を突っついていた。(ええええええええ!!!)
「!ランサー!」 「まあまあ落ち着けって」
ふにふにと触ってくるランサー。びっくりして目をぱちくりさせる。いや、まあ、サーヴァントには見えるのか…?
「おー、NPCにしちゃあやわらけぇなあ」 「「!!」」
頬を突っついていたその手はわた、しの、む、
「ひゃああああああああ!!!強制遮断空間隔離防壁level5プログラムにより一時肉体構成を分離――!!!!」 「うおっ!?」 「いいいいいきなり、おん、なのこの胸、も、もも揉むなんてサイテー!!しね!」 「いいサイズだったぞ」 「〜〜〜っ!!」
真っ赤であろう顔で睨み付けわたしはいつもの居場所へと肉体を分離して向かうのであった。あのサーヴァントゆるすまじ。あの子のアーチャーにやっつけられちゃえ!! (で、あれなんだったんだ) (!なにやってんのよランサー!逃げちゃったじゃない!) (柔らかかったなー)
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