だから早く俺のところに堕ちてきて3*


「松永さ……ぁ、早く……ッ」

 もう、いい。もうワンナイトが嫌だとか、告白の真意がどうかなんて、この際後で考える。今はとにかく、この疼きから早く解放されたかった。絶頂すら見えないような、緩やかな快感だけを繰り返し与えられるのはただただ辛い。そしてこの辛さを理解して解放してくれるのは、この場において1人しかいない。

 骨張った親指が、私の濡れた唇をなぞる。誘われるままに薄く開けば、松永さんの顔が近づいて唇が重なった。ぬるりと口内に侵入してきた舌先が私の舌先にちょんっと触れて、それを合図にして互いの熱を絡ませる。ふわっと香るミントの味に理性を取り戻しかけたけど、我に返ったところでもう引き返せないことはわかってた。

 ああ、わたし今、松永さんとキスしてる。
 彼氏でもない人に、身体を許そうとしてる。

 すごく不思議な気分だった。胸がずっと高揚感で満たされていて、松永さんと目が合う度に、心臓がはち切れんばかりにドクドクと波を打つ。
 告白されてからのキスというのは、こんなにも感じ方が違うものだったのか。憧れはあっても恋愛感情なんて一切なかったはずなのに、今、ものすごくこの人が愛しくてたまらなかった。

 身も心も松永さんに染められていく感覚が心地いい。この人に犯されることがこんなに嬉しいだなんて、本当に私はどうしちゃったんだろう。まるで彼に恋してるみたいで居たたまれない気分になる。こんなの、一時的な感情に過ぎないのに。
 初めて年上の男から好きって言われたから、夢中で私を求めてくれるのが刺激的だったから、こんな扱いを受けたのは初めてだったから。だから舞い上がってるだけで。

「……律、かわいい……こっち見て」

 まるで本当の恋人のように、私の名前を甘く呼ぶから。

「っん……、あ、だめ……っ」

 身体を軽く揺すられる度に、お腹に当たる彼のものが敏感な蕾を掠める。ビクビクッと腰が何度も跳ねて、ぐっと下唇を噛み締めた。下半身に擦れては襲う快感は、今までの刺激とは比にもならない程に強くて涙が滲む。
 身体の至るところに彼の指先が触れて、唇で何度も愛されて。全身が性感帯になったみたいに、敏感に反応してしまう。挿れてもらえなくても最高に気持ちいいのに、やっぱり物足りなくて、もどかしさで腰が揺れた。もっと強い刺激が欲しくて興奮が高められていく。
 なのに松永さんは意地悪だ。熱く濡れているところに触ってほしいのに、松永さんの指がソコに触れてくれることはない。欲しがりな私の膣はヒクヒクと疼き始め、新たな蜜を溢れさせて男の侵入を誘ってる。

 触ってほしい。中に挿れてほしい。頭の中がその思い一色に染まる。

「松永さん……っ」

 我慢できなくて、唯一動かせる両腕を松永さんの背中に回した。縋り付くようにぎゅうっと抱きつけば、更に密着度が増す。そのお陰で彼のものが私の愛液で滑り、うっかり入ってしまいそうになって松永さんは腰を止めた。はあ……っと悩ましげな吐息が耳元を掠める。

「煽るのは駄目だって……我慢できなくなるから……っ」

 堪え忍ぶように呟く。掠れた低音に、ますます愛しさが募った。かわいい、我慢してくれてたんだ。

「松永さん……いれて」

 挿れてほしくなったら言って、そう告げた松永さんの、言葉通りの願い事が自然と口に出た。松永さんも私に挿れたがっているのだとわかれば、意地を張る必要なんてない。素直な願望が溢れ出て、自らの意思で彼の唇を奪った。

mae表紙tugi

トップページ

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -