前回の
鉛筆シャープ新型PS-PE100系と比較するため、という消極的な理由で買ってみた同社鉛筆シャープ上級品。
2011年、学童向け
コクヨ キャンパスジュニアペンシルから始まった同社太芯シャーペンは、2012年に成人向け
コクヨ鉛筆シャープとして拡張されました。
2016年10月にはそれらを大幅に改めたゴムグリップType-Sを発売、さらに2019年2月にポケットクリップを金属化したType-Mと、グリップも金属化したType-Mxを発売しました。
今回のType-Mxは、金属製ポケットクリップ、回転繰出し式消しゴム、亜鉛合金グリップを装備した最高級品です。
三芯径0.7mm、0.9mm、1.3mm。付属芯二本( .7 / HB、.9及び1.3 / 2B)。
日本製。店頭・通販購入。.7mmと .9mmを買いました。
替えゴム、ケシ-P201 ペン軸にところどころ見られる透明な色部品は芯径を表します。
0.7青
0.9赤
1.3緑
ノック負荷約600g、芯繰出し量1mm強/ノック、残芯12.5〜15.7mm。がんばれば10mmほどまで短くできます。ただし空転することがあります。
次回のプラチナ万年筆プレスマンは本品以上に芯保持力が高い。
上級品なのにチャックが樹脂製、というところに不安がありますが、それでも十年以上はもつだろうと予想しています。
3.2mmチップスライド(収納式スリーヴ)は動きが堅い。
他製品は書き減るにつれチップが後退しますが、本品はなかなか動かないので、そういうものと見なすのがよいでしょう。代わりにぐらつきが小さい。
丸軸から六角軸へ変わるグリップは、先へ移るにつれて指をあてる面積が広くなる印象です。
丸軸直径と六角軸の対面径が同じ。
亜鉛合金製グリップのおかげで重くて前重心。そしてノックボタン兼用消しゴムユニットと金属クリップもちょっと重い。
両端が重く、中央が軽いため慣れるまで少々時間を要します。
第一印象では、軽いType-MやType-Sのほうが扱いやすく感じます。しかしあれらはゴムグリップ。
本品が重くて扱い慣れない場合は、軟らかい芯へ変えると書きやすくなるでしょう。
.7mm付属芯はHBですがMxに限ってはBでもよかったかもしれません。
左から本品
同社鉛筆シャープType-M
ファーバーカステル グリッププラスぺんてるタフトンボ モノグラフワン
芯室内径4.5mm。
前回のPSR-替芯容器から芯を直接入れられますが、入れ過ぎるとたぶん詰まります。
ノックボタン兼用消しゴムユニットは、それまでの鉛筆シャープに無かった大きな変更点で、筆記用として有用な仕掛けです。
類似の仕掛けはぺんてるタフも装備し、本品より扱いやすい傑作。
しかしあれのクリップ尾部(先端)は筆記中、手に干渉しないよう小さくされているため厚地に差しづらい。
対して本品のクリップはラシャ地にもすんなり差せて、また芯先から約103mm離れ、手に干渉することも少ないのです。
またチップスライドもポケット生地を傷めません。
後方から見て時計回りに回して消しゴムを繰り出します。
その操作部が4.5mm、さらに不恰好に出っ張ったクリップ基部が指に干渉して、他製品より回しづらいのが難点。
消しゴムを出したままノックボタンを押しても、紙に消しゴムを押しあてて消す際にも引っ込むことがありません。
が、消しゴムが回って引っ込むことがあり、7mmくらい出して消すことを勧めます。
ちなみに出っ張ったクリップ基部を押してもノックできます。
消しゴム長比較、上から
スタビロ スマートグラフ
本品
ステッドラー トリプラスマイクロ
トンボ モノグラフファーバーカステル グリッププラスぺんてるタフトンボ モノグラフワン
◆替えゴム、ケシ-P201、φ7mm×23 (実寸φ6.8×23)、3コ入り、韓国製。
残ゴム約10mm、同社ケシ-P200互換。
†紙はコクヨ キャンパス
画像の上1行めは、書いて消す行為を1回、5行めはそれを5回繰り返したもの。
1.3mm / HB、同社PSR-HB13
1.3mm / 2B、同PSR-C2B13
1.3mm赤、同PSR-RE13
消しゴム消字力は良好に思います。
赤芯にも挑んでみましたが消せませんでした。
消しゴム交換の際、露出した白いツメを収納してから、できれば下げきってから消しゴムを再装填するのがよいでしょう。
直径はφ6.8mmですが、他社製φ6.7mm消しゴム、
トンボ モノワン用ER-SSM、
同モノスティック用ER-KM、
ぺんてるタフ用XE-10等々で代用可。
逆に本品をφ6.7mm消しゴム(ノック式消しゴム用)代用にした場合、0.1mm太いため支障が出る場合があります。例えばトンボ モノスティックでは作動が渋くなります。
いっぽうトンボ モノワンではφ6.7でもφ6.8でも支障なく作動します。
コクヨミーType-Mのなかには金具がローズゴールド色仕様があります。
左から、
コクヨ 鉛筆シャープPS-PE109本品
コクヨミーType-M KME-MPP402YG
プラチナ プレスマン新型と旧型 前回のPS-PE100系より明らかに質が良く、総合的にみて良品なのですが、並べてみるとやはりあちらの簡素な姿がすばらしい。Type-Mxも六角軸にしてしまったらよかったのに。
少子化も産業構造転換も進んでいる今日、労働者の再教育と資格試験など、太芯シャーペンには確実な需要があると見ているのですが、細芯ほどではないことから顧みられることがあまりありません。そのニッチ市場に食いこむのが鉛筆シャープシリーズです。
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