並みいるライバル達を蹴散らし、最終決戦に挑むのは、赤屍蔵人、降谷零、煉獄杏寿郎、フョードル・ドストエフスキーの四人だ。
なまえにとっては不安半分、期待半分といった面子である。

なまえは緊張から微かに震える手でカードを切り、四人に配った。
カードを受け取った彼らは、それぞれペアが出来た分を捨てて、残った手持ちのカードに視線を落とした。
カードを配ったなまえにも、誰がジョーカーを持っているのかまだわからない。

さすが最終決戦まで残ったメンバーだけあって、皆その表情からはジョーカーを持っていることを悟らせない。
普段からギリギリの死線をくぐり抜けてきている強者ばかりだ。

「ところで、皆さん。ひとつ提案があるのですが」

静まりかえっていた場で、不意に赤屍が口火を切った。

「何でしょう?」と、ドストエフスキー。

「勝者には賞金が出るそうですが、正直、私はあまり興味がありません。皆さんもそうなのでは?そこで、一番にこの勝負を勝ち抜けたら、なまえさんを自分のものに出来る……というのはいかがでしょうか」

「なるほど。なまえさんを賞品にするのですね。賛成です」

「待ってくれ!本人の承諾も無しに女性を賭け事に巻き込むのはいかがなものかと思うのだが!」

「彼の言う通りだ。なまえの人権を無視した行為には賛同しかねる」

「おや、勝つ自信がないのですか?」

「そうは言っていない」

「なまえさんを助けたければ、貴方が勝てば良いだけの話ですよ」

「それは……」

「むぅ……」

悪魔の囁きだ。
事態を見守っていたなまえは恐ろしさに身を震わせた。
そんななまえを見て、煉獄が優しく声をかける。

「大丈夫だ、なまえ。心配はいらない。君は俺が守ってみせよう!」

「勝つのは僕だ。なまえは僕が守る」

「煉獄さん……零さん……」

その時、無情にも勝負開始のベルが響き渡った。

ドストエフスキーから順番に、右隣の者のカードを引いていく。

「こんなに楽しいババ抜きは初めてです。やはり、賞品が魅力的だからでしょうね」

紫の瞳がなまえをちらりと見て微笑む。
それは見る者を凍りつかせる「死の家の鼠」の頭目の笑みだった。

「必ず勝つ。俺を信じてくれ、なまえ!」

炎を思わせる闘気を纏った煉獄がカードを引く。

「なまえは誰にも渡さない。この国となまえを守ることが僕の使命だ」

静かな闘志を感じさせつつ、降谷がカードを引く。

「楽しいですねぇ。実に楽しい」

続いてカードを引いた赤屍は、誰よりもこの勝負を楽しんでいるようだ。

果たしてジョーカーは誰の手元にあるのだろうか。
今のところ、勝負は拮抗していて、誰が一番に上がるのか予想出来ない。



降谷を応援する

煉獄を応援する

ドスくんを応援する

静かに勝負を見守る




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