厳しい接戦を制したのは煉獄だった。

「勝ったぞ!なまえ!」

感極まって涙ぐむなまえに向かって両腕を広げてみせる。

「おいで」

堪らず駆け寄ってその逞しい胸に飛び込むと、揺るぎもせずにしっかりと抱き止められた。

煉獄はなまえの腰を掴んで抱き上げると、その場でくるくると回った。
風を孕んで膨らんだなまえのスカートがひらひらと舞う。

「優勝おめでとうございます、煉獄さん!」

「勝てたのは君のお陰だ!君の応援が俺に力をくれた」

なまえを降ろした煉獄は、そのままぎゅっと彼女を抱き締めた。

「こんな形で告げるのは卑怯かもしれないが、俺は君を好いている。初めて会った時から、ずっと君のことが好きだ」

「私も煉獄さんのことが……」

「!そうか!よもや両想いであったとは、これは嬉しい誤算だ!」

煉獄は朗らかに笑うと、恥じらって赤く染まったなまえの頬を優しく手で撫でた。

「すぐに祝言を挙げよう!父上と千寿郎にも報告しなければな!」

「え、ちょ、待って下さい煉獄さん!」

煉獄はまたたく間になまえを俵担ぎにした。
慌てるなまえをよそに、煉獄の羽織がゆらりと舞う。
次の瞬間、ドンッという衝撃音とともに二人の姿は消え去っていた。

渦巻く炎の残像と敗者達をその場に残して。


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