「どうやらぼくの勝ちのようですね」

ドストエフスキーが手にしていた最後の二枚のカードを場に広げて見せた。
スペードとハートのエース。
その瞬間、勝者が決定した。

「この世に幸を。子等に祝福を」

悔しがる敗者達に、いっそ慈悲深いとさえ言える微笑みを向けて、ドストエフスキーは己の腕の中になまえを囲い込んだ。

「これで、貴女はぼくのものですよ」

「うう……」

額に、頬にとキスを降らされる。
そして、最後は唇に。
それはそれは優しい口付けだった。

「愛しています、なまえさん」

愛おしい、と語りかけてくる眼差しに、なまえは耳まで赤くなって恥じらった。

こうなることはわかっていたはずなのに、どうして彼を応援してしまったのだろう。
ただ、どうしても彼が敗ける姿を見たくなかったのだ。
彼が敗けるところなど想像出来なかったとも言える。

漫画で例えるなら彼はラスボスの風格を持つ男だった。

その彼が、なまえの腰を抱き寄せながら耳元で甘く囁く。

「優勝したのですから、あんなことやこんなことをしても良いのでしょう?」

「だ、だめっ!」

「そんなことを言っても、どうせ一時間後には『ドスくんのおちんちん挿れて』とおねだりしてくるようになるんですけれどね」

「ドスくん!!!」


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