Rachel

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どこにでも大衆を囲む円があって、そこから外れた者は人としてなんて生きていけない。
世界は均衡を保つ為に、不均衡なものを排除する。
ねぇ、貴女も…そうなんじゃないのかしら?


* off-centered *


辺りが暗くなり始めた頃、無人島での食糧集めを終えて船へ戻ると、サンジが船べりに腰かけていた。
甲板まで上がってきたのに気付いていないようで、頬杖をついて遠くを見つめている。
ロビンが抱えていた袋を下ろすと、やっとサンジが振り返った。

「ロビンちゅわん!おかえり!」
「ただいま、あら釣り?」
「まぁね、この辺は結構釣れるみたいなんだ」
「そう、一体誰のことを考えてたのかしら?」
「え?」

サンジにしては珍しく反応が遅かった。
それを指摘すると、苦虫を噛みつぶしたような顔で降参した。

「ウチの女性陣は鋭くて困るなぁ」
「ふふふ…そうだ、私たちも食糧を集めてきたのだけど」
「おぉ!ありがとう!」
「ごめんなさいね、これくらいしか採れなくて」

結局、ルフィとウソップが冒険気分でいた為、ロビンが集めた果物や食べられそうな植物が主だった。
それを差し出すと、サンジはクルクルと回ってお茶の用意をした。

「いやいや、十分だよ」
「あとで船長さんと長鼻くんも…」
「…〜だよなぁ!」
「あら、噂をすれば…」

森のほうから聞こえてきた騒がしさに、ロビンは思わず苦笑した。

「ゼッテーあそこに宝が眠ってると思ったのになぁー」
「いや!もしかしたら、まだ秘密の扉があったのかもしれねぇ!」
「って、お前らは何しに行ったんだ!!」
「うべぼっ!!!」

最早、ただの荷物持ちだったルフィとウソップは、サンジの回し蹴りにより真っ赤な果実を甲板へとバラまいた。
ブツブツと文句を言いながら食糧を運ぶサンジを尻目に、ルフィとウソップは食糧探し中に発見した洞窟の話で持ちきりだ。

そんな様を眺めながらロビンが甲板で優雅に寛いでいると、残りのクルーたちも帰ってきたようだ。

「お〜い!戻ったゾ〜!」

背にリルを乗せた獣型のチョッパーがそのまま甲板へと飛び乗ると、それに続いて大きな猪のような生き物を担いだゾロが登ってきた。

「ほらよっ!」
「おぉ!こりゃ大量だな!」

その生き物を数体甲板へ下ろすと、サンジが嬉しそうに腕まくりをした。
どうだ、と言わんばかりのゾロを無視して、サンジは早速切り出しに掛かった。
おれも一匹倒したんだぞ!と誇らしげなチョッパーは、リルが背中から降りたのを確認すると人獣型へと姿を変えた。

三人が甲板の猪に目を取られている中で、リルはキョロキョロと辺りを見回してから、俯き加減でため息をついた。

「リルちゃん?大丈夫かい?」

そんなリルの様子にいち早く気付いたのはサンジで、彼女の視界を遮るように覗き込んだ。

(遮っても、意味はないと思うけれど…)

サンジの意図を理解していたロビンは、心の中で呟きながらも、その様子を静観していた。

「大丈夫か?リル、具合悪いのか?」
「リルちゃん、無理しねぇで休んできな?」
「……っ」

チョッパーも心配していたが、リルは頑なに首を振ってその場を離れようとはしなかった。

「じゃあ、お茶用意するから、待ってて」

そう言って、サンジはそのまま釣った魚をキッチンへと運んでいった。

(まったく、過保護…ね)

ロビンがため息をついていると、サンジは素早くお茶を運んできて、リルも大人しく受け取った。

「具合が悪くなったら、すぐにチョッパーに言いなよ」
「なぁ、チョッパー聞いてくれよー!」
「おれたち洞窟見つけたんだけどなー」
「どうくつ!?」
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