管理人、せせらとお借りしたキャラの親御さん、もぶ子さんとのオリジ語り。ネタバレとかパロとか願望とか小ネタとか番外編じみてて、妄想とキャラへの色んな愛がいっぱいつまってる。本編閲覧後に見ること推奨。

kaku

08.04 22:38 / せせら ed url
「白ウサギはまつりとかいかないのですか?」
貸切状態の店の中、スプーンを磨いているとカウンターに座ったレクがそう呟いた。
「祭……か。久しく行って無いな。」
お前は行かないのか?と店内に貼ってある地元夏祭りのポスターに目を向ければ、自分のことはいいからとはぐらかされてしまった。
「学生のころはよく行ってたけどな…最近は誘ってくる奴もいねぇし、仕事が忙しいしなー。」
「…ハクは友達が少ないんですねー。」
「ちがっ……わない、か。まあ片手で足りる程度しかいないのは事実だしな。」
「寂しいやつですよ。」
「うっせ。」
すべてのスプーンを磨き終わったので次はフォークを磨きはじめる。
「で、どうなんです?」
「あ?」
「まつりですよ。まつり。今年はいかないのですか?」
レクさんが誘ってやらねぇこともねーですなんて言って来たので、その無造作にはねる赤い頭をぐしゃぐしゃとかき混ぜてやった。
「言っただろ?忙しーんだよ。」
誰かさんがこの店の雇用人数を増やさないせいでな!!という意味を込めて読書中の誰かさんもとい、この店の店長であるレイルを見る。
「どうかしましたか?」
何か文句でも?と言いたげに微笑むマスターに何も言えなくなった。畜生、怖すぎる。
「弱すぎですよ…。」
「じゃあレクはマスターに勝てるか?」
「……マスターには勝つ必要がないのですよ。」
「…うまいこと逃げたなこの野郎。」
事実ですよーなんていうレクにため息を吐いて催促された紅茶を淹れる。

「…学生の時はよく行ってたですか?」
「ん〜?」
温めたポットの中に蜂蜜と茶葉を入れてお湯を注ぐ。
「まつりの話なのですよ!!」
ひっくり返した砂時計をカウンター側に持ってきてレクの話に意識を戻す。
「そうだな…そんなに頻繁じゃなかったけど、神高の奴らとも行ってたし…ああ。リック、お前の父さんとも行ってたな。」
「パパ…ですか。」
「おー。お前の父さんはとにかく祭り好きな奴でな……ホント、祭好きな奴だったんだよ…。」
リック、レクの父親のリカルドとはそれなりに長い付き合いだったが、良くも悪くもお祭り好きな奴で…というか騒ぐのが好きな奴だった。今思えば砕牙みたいなやつだった。
電車で通える範囲の祭りは制覇しようとするし、文化祭や体育祭なんかは実行委員になってあーだとーだと企画しまくっていた。そして何故か江戸っ子気質で「喧嘩と花火は江戸の華!!」なんて言い出しそうなくらい喧嘩にも突っ込んで行っていた。文化祭なんかは祭り好きの本領発揮で、みんなが楽しめるような出し物や出店、更にはジンクスまで作り上げてそれが大成功だったから驚きだ。……今度海斗が来たらそのジンクスがまだあるか聞いてみよう…。
確かにリックとは楽しい思い出も多かったが、どちらかと言えば迷惑をかけられてた記憶の方が多い気がする…いや絶対多い。あいつの壊した窓ガラスの掃除とか、突発的に思いついた企画の準備に放課後10時くらいまで居残りさせられたとか、考えるだけ考えてやるだけやってあとはさじを投げたあいつの代わりに後始末とか。…あ、なんかイライラしてきた。
「おーい。自分の世界から戻ってくるですよー。」
「あー………すまん。」
そのリックにそっくりのレク。…父親の愚痴を言うのも、息子のこいつにあたるのもお門違いだな。
「……今夜はお前の好きな物作ってやるよ。」
「!!。じゃあレクさんグラタンがいいですよ!!」
「この時期にグラタンかよ…。」
落ち切った砂時計を自分の方に戻して、グラスに氷を落として更に蜂蜜を一すくい落とす。そこにいれたての熱い紅茶を流し入れてマドラーでひと混ぜ。
「じゃあ帰りに牛乳買っとけ。」
「うあー…了解なのですよー…。」
嫌そうな顔をしながら渋々頷いたレクの前に紅茶を差し出す。
「あとでミルク足すだろうからアッサムにしといた。」
「おー。レクさんはアッサムが一番好きだから歓迎ですよ!!」
「……お前昨日はダージリンって言って無かったか?」
「今日のレクさんは、なのですよ!!」
「そーですかー。」
「そーですよー。」
嬉しそうに蜂蜜たっぷりのアイスティーを飲むレクに、こうやって変人との付き合いスキルが上がっていくのかと内心ため息を吐いた。

「…それが嫌じゃない自分も変人だな。」
「白ウサギが変人なのはしゅうちの事実なのですよ!!」

胸を張って答えた自称天才に今度は本当にため息が出た。



+++
この二人の掛け合いは個人的には結構好きです。紅白親子!!
これが白さんじゃなくて海斗だといちいち反応しちゃいますね。たぶん青☆春の中で白さんが一番精神的に大人だと思います。マスターや桔梗さんは好きな子ほど苛めたい人なのでたまにちょっと子供っぽいところを見せたりするので

06.10 06:16 / せせら ed url
変な時間に目が覚めた。
昨日、いつもより早く寝てしまったせいだろう…。それにしても、まさか何もないのに4時台に自分が起きるとは思わなかった。

デジタル時計の文字盤には4:36の表示。
寝るにしては微妙な時間にどうしようかと窓の外に目を向けると、明るんできた空に半分の月が雲の後ろからぼんやりと存在を主張していた。

……そうだ、日の出を見に行こう。

色を帯び始めた空にそんな考えを思いつく。
普段はこんな行動的になんて動かないが、何故か直観に従いたくなったので寝間着代わりのTシャツに上着一枚引かけて、タンスにしまっていたジーパンを引っ張り出す。
そう寒くもないだろうと素足のままスニーカーに足を入れて、ノリで買って数回しか使用していない折り畳み自転車を開いて玄関を後にする。
財布と鍵をジーパンの後ろポケットに突っ込んで自転車にまたがって、朝特有のひんやりとした空気を肺いっぱいに吸い込んで吐き出す。それだけで自分の中のもやもやした思考がすっきりした気がした。

普段あまり家から出ないが、この辺一帯の地理は頭に入ってるので問題ない。
自転車を海に向かって漕いで行く。早朝というだけあってさすがに人は少ないが、ジョギングをしてる高校生らしき少年や犬の散歩をしている老人など、数えるほどの人とすれ違う。
少し蒸し暑くなってきたとはいえ、まだ梅雨入りしたばかりの初夏にあたる今の季節の風は若干肌寒い。髪を揺らす風を感じながら、漕ぐ足を速めた。


海に着くころには薄ぼんやりと影が出るほど明るくなっていて、白んでいた空はパステルカラーから彩度を上げていた。
昼間のような青々しい海ではなく、夕焼けの海から赤みを引いたようにキラキラ輝く黄色と青の海。昇って眩しさを増していく太陽をしばらく見つめていた。

完全に海から顔を出して直視できない眩しさに達したところで、近くの自販機でオレンジジュースを買う。別にオレンジジュースが好きなわけではない。むしろあまり好んで飲むわけでは無い部類に入るのだが……まあ、そういう気分だったのだ。
柑橘系特有の酸っぱさに顔を顰めるが、後味の爽やかさにほっと一息つく。

小さい缶だったのでそのまま一気に飲み干し、備え付けのゴミ箱に空き缶になったそれを入れる。

「……いいこと、ありそう。」

もう一度海を振り返って、帰路に着いた。


とある日のルカ君の話

06.07 00:31 / せせら ed url
「ねーねー。暇だよ、いっちゃん。」
「暇ですねー、砕牙先輩。」


片恋さんと恋バナ。


いつものように暇していると珍しく部活が休みだったらしいいっちゃんと鉢合わせした。
そう言えばいっちゃんと二人だけとか久しぶりかも、なんて思いながら隣を歩く後輩の女の子に歩調を合わせながらゆっくりと歩く。

「どうする?カイトんとこ、行く?」
「あー…えっと、今日はいいっす。」

オレといっちゃんが揃うと、決まってカイトの所…喫茶店「C,World」に行く。
オレはカイトと遊ぶの好きだし、何よりこのいっちゃんこと伊月ちゃんはカイトに恋をしているからだ。……だから彼女の答えにめずらしいなと感想を抱いた。
まあそんな事を顔に出さないようヘラリと笑ってオレはもう一つ提案してみる。
「じゃあさ、たまには二人だけでおしゃべりでもしない?」
立てた人差し指をいっちゃんの目の前に持って行く。
「砕牙先輩のお悩み相談所、なんてどうかな?」
そう笑かければ、いっちゃんは少し驚いたような顔をしてから小さくうなずいた。


+++

学校から一駅くらいの場所にあるファミレス。
もちろん学校の近くにもそう言った場所があるけど、こういった話はあんまり知り合いに聞かれたくないしね。それに女子テニス部の部活がないとなれば、学校近くの店は大体テニス部員の女の子たちが誰かしら居るから……いっちゃん達の生活してる学生寮からは逆方向になってしまうけど帰りは送るから問題ないか。

入り口からは死角になってる少し奥まった席に腰を下ろして、少人数で突けるような軽いものとドリンクバーを注文して飲み物を確保。いっちゃんがメロンソーダを一口飲んで話す体制になったのを確認して、オレは頬杖をつく。

「……テスト、終わってよかったね。」
俯いて黙り込んでしまったいっちゃんの代わりに、無意味な話を投げかける。
いっちゃんの悩みの種は何個か思い当たる節があるけど、変に確信を突くよりは関係のない話から流れで話す方が話しやすいだろう。…それにいっちゃんの性格上、うまく嘘を吐くことはできないことをオレは知ってる。嘘をつけないというか、自分に嘘を吐くのが嫌いって感じかな。
「あはー…テストの事は言わないでくださいよ〜。あたしの傷口が…っ。」
胸に手を当てて痛がる仕草を見せるいっちゃんに、ごめんごめんと軽く笑いを返す。
「いっちゃんもちゃんと勉強すれば点が取れるのに〜。」
「いやぁ……。あたしは、おねーちゃんとは…違うから。」
表情を陰らせて苦笑を零すいっちゃんに、今回の原因はしーちゃんか。とひとり納得をする。
いっちゃんの恋愛事情は、なんというか複雑だ。
いっちゃんはカイトが好き。…でもカイトはしーちゃんが好き。しーちゃんは誰かに恋してる様子は見られない。…そんな感じで、幼馴染な三角形の出来上がりってわけ。
…オレは高校からの三人しか知らないから、少し疎外感を感じたりする。

如月姉妹と知り合って2年。
彼女たちの性格や癖、好みなんかも大分わかってきて…オレが、オレとカイトが3年になってからいっちゃんに恋愛相談を受けるようになった。
はっきり言って、カイトの好みやタイプなんかはきっと過ごした時間の長い彼女たちの方がよく知ってると思う。…それでも、相談と称してオレにカイトの事を聞くのは……。

「砕牙先輩。」

沈みかけた思考に、いっちゃんの声が響く。
「…あたし、告白しようと思ってるんです。」
テーブルの上で手を握りしめて、薄くなったコップの中身をじっと見つめるいっちゃん。
オレも頬杖を止めて、そっかぁ…とストローでアイスティーをかき回す。

「夏休み、花火大会がありますよね。」
「うん。…今年は神高組とかルカ君も誘いたいなって思ってるよ。」
指を組んで少し前かがみ気味にそう言えば、いっちゃんは視線を伏せたまま彷徨わせて何か言いたげに口を動かしてた。
「……いろんな人誘ってさ、大勢で行ったら…はぐれちゃっても見つけにくいだろうね。」
「っ!!」
勢いよく顔を上げたいっちゃんは、眉を下げて少し泣きそうだった。
「…オレはさ、いっちゃんが好きだよ。」
「砕牙先輩…?」
いっちゃんの目を見ながら困ったように笑う。
「自分の気持ちに嘘をつかない…つけない、が正しいのかな?…そんな正直なところが、いっちゃんのいいところだと思うんだ。」
「……。」
眉間にぎゅっとしわを寄せたいっちゃんに、少し表情を和らげて首をかしげた。
「いっちゃんは……しーちゃんの事、どう思う?」
オレの質問に、視線を落とすいっちゃん。
「……おねーちゃんは、あたしと違って優しくて、気が利いて可愛くて…ふわふわしてて守ってあげたくなる女の子、です。」
「そうだね。しーちゃんは天然ちゃんで危なっかしくて傍にいてあげなきゃ!!って思うね。…じゃあさ、いっちゃんは自分の事どう思う?」
オレの言ったことに泣きそうになっていたいっちゃんは、最後に付け足した言葉にきょとんとまばたきをした。
「…あたし、ですか?」
「うん。いっちゃん…如月伊月はどんな女の子?」
「………あたしは、短気で、お転婆で、子供っぽくて…馬鹿だし、おねーちゃんと違って女の子らしくない、です。」
どんよりと落ち込んでしまったいっちゃんに心の中で苦笑を零して、そうかもね。と同意をしてから言葉を続ける。
「いっちゃんはせっかちで、元気が良くて、…しーちゃんと違って傍にいると元気を分けてくれる女の子だよね。」
固まるいっちゃんをしり目にぬるくなったアイスティーで喉の渇きを潤す。
「…いっちゃんはいっちゃんで、しーちゃんはしーちゃんなんだよ。いくら双子でそっくりでもさ、違って当たり前なんだよ?」

いっちゃんはいつも元気で明るいけど、たまに…いや、結構な頻度でこんな風に落ち込んだりする。その理由は大体、双子の姉であるしーちゃんに対する過度なコンプレックスによる自己嫌悪。
いつも底抜けに明るく元気にふるまって、姉と真逆の性格であることを周りにアピールして、比べられることを無意識に回避しようとしてる。
双子、しかも一卵性ということで鏡に映したみたいにそっくりな容姿。人間は双子って聞くと、間違いさがしでもするみたいに違うところを探したがる。それは此処を判断するためであって優劣をつけるためでないのに、いっちゃんは双子で違うところがあるというのがまるで悪い事みたいに捉えてしまってるから……まあ理由はそれだけじゃないけど。
『おねーちゃんと違って』が口癖みたいないっちゃんは、しーちゃんにあこがれてるんだと思う。でも比べられて劣ることが怖いから、あえて正反対になろうとしてる。…いっちゃん自身、もともとアクティブな女の子だったから無理に正反対を目指してるわけではないと思うけど、それでも好きなものとか、言動とか、あえてしーちゃんに合わないようにしてるのは……いっちゃんと付き合いが長ければわかってくる。
本当はいっちゃんもシンプルでふわふわした感じのものが好きなんだろうけど、しーちゃんの好みだからと面白雑貨とか流行のものとか、そこまで好きではないものを選んでる。

いっちゃんはいっちゃんであってしーちゃんとは違うんだと、そう言っても…今のこの子には、意味のない言葉だ。…だって

「違うのが当たり前なのはわかってます、けど……。好きな人の好みに近づけるなら近づきたいじゃないですか…っ。あたしならっ、双子だからおねーちゃんみたいに、海斗の好みに近づける……!!」

叩き付けるように絞り出された声。

「……そう、だね。」

…俺には、わからないよ。誰かに好かれたいって思う気持ちが。
俺は、ただ…嫌われたくないから。
似てるようで違う、好かれたいと嫌われたくない。
好かれたいと思う人がその人に嫌われてもいいと思うかと聞かれれば、答えはNOだろう。
…でも、嫌われたくないと思う人がその人に好かれたいかと言えば、答えは分かれるんだろうな…。
オレは、好かれなくていいよ。ホントいうと、嫌われたって構わない。……ただ、傍にいることを許してほしい。あ、でも…カイトに嫌われるのはやだなぁ…。……うん。やっぱり嫌われたくないや。
嫌わないでいてくれたら、別に好きになってくれなくていいよ。……だって、俺なんかが好かれるはずないから…。ただオレが勝手に好きになってるだけだから、オレのことなんて気にしなくていいよ。勝手に好きでいることを許してくれたらそれだけでいい。
………誰かに好かれるって、とっても大変なことだから。

「……ね。花火大会、ユカタで来てよ。」
にっこりと笑って俺は提案する。
「は?……なんっすかいきなり…。」
「いやね、花火大会と言えばやっぱりユカタでしょ?」
人差し指を立てて真面目な顔をすれば、いっちゃんが呆れたようにため息を吐いた。
「……砕牙先輩が見たいだけなんじゃないですか?」
「う…まあ、そうともいうけど…でもさ、ほら!!いつもと違うフインキにドキッ☆…みたいなことってやっぱりあるじゃんか〜。」
「……まあ、それは確かに……そうかもしれないですけど…。」
「カイトもユカタ着るように言っとくよ?」
「海斗の浴衣……。」
徐々に赤みを増していくいっちゃんの頬に、恋してるなぁと笑みがこぼれる。
「……そ、ういう…こと、なら………はいっす。」
「じゃあ明日、終業式が終わったらそれとなく話題に出してみるね〜。」



そして13に続く……的な

12.22 09:17 / せせら ed url
「今日から此処で働かせてもらう千里言います。」

こいつの第一声はこれだった。

バイトの初日の挨拶ならそれくらいで十分だし、何よりこれなら普通だ。ただ、こいつはこの後がちょっと普通じゃなかった。

「銭欲しさに受けたバイトなんでなんもわかりまへんけど、うち、コーヒー飲めへんのでよろしゅう!!」

コーヒー飲めないのに喫茶店のバイトを受けたこいつって何なんだ。というかマスター、何故こいつを採用したんだ。
そんな視線をマスターに向ければ面白そうに笑顔を浮かべながら更なる爆弾を落とした。

「彼女のこと、よろしくお願いしますね。白さん。」

ピンクのショートカットしたちびっこは、女でした。

「おんなあああああああああああっ!!!!?」





「……で、今に至る。」
「…ショートカットしすぎじゃない?白さん。」

ショートカットだけにと、カウンターの向かい側に座る砕牙が髪を触りながら困ったように苦笑するのを視界の端にとどめながら、俺はカップの中のコーヒーを飲みほした。

「えっとつまり白さんは最初、センリちゃんのことニガテだったんだよね?なんで今はそんなにダイジョーブなの?」

現在も、自他ともに認める女性に対する苦手意識を拭えずにいる俺。
この店の常連さんや学友ならまだマシだが、初対面や慣れない人であった場合触れることは愚か近づくことすらできない。

……まあ、女性が苦手なのは小さい頃のトラウマなので仕方ないとして。

兎にも角にも、千里がここでバイトを始めてまだ数ヶ月しか経っていないにもかかわらず、何故俺が千里には平気で触れられるか……答えは簡単だ。

「……あいつはあんまり女じゃないからな。」
「え、センリちゃん女の子だよ!?」
「………そういうことじゃなくてだな…。」
さて、どう言ったもんか…。

砕牙に説明するには難しい。言いかえる言葉が見つからないから。
女じゃない。言い換えるなら女らしくない、女くさくない。そんなところか。だがこれを砕牙に行ったところで、「センリちゃんは女の子!!」というのが目に見えている。
……実際にはセンリじゃなくてチサトなんだが、もう定着してしまったようなので無視する。
………あいつのことが平気になったのは…たぶん、

「すごく、無邪気に笑うから…だと、思う。」

女として見る前に子供として見てしまうから、だから、平気なんじゃないかと思う。
子供であっても女の匂いをさせてる奴は苦手だし。……たぶん、そういうことなんじゃないかと思う。

「何の話してはりますのん?」

急に俺の隣に顔を出した千里に内心驚く。
「あ、センリちゃんだー。」
「せやで〜ちさとちゃんやで〜。」
辛うじてカウンターの上に顔を出す千里。その一生懸命につま先を伸ばす姿が、なんだか微笑ましくて。

「うわぁっ!?」

ピンクの髪をわしゃわしゃと撫ぜる。
「白さん?」
キョトンと見上げてくる姿が、似てもいない俺の弟に被って、なんだか笑えてきた。

「ぶはっ。」

「うぎゃーっ!!」

「ちーの頭は撫でやすい位置にあるな。」
「んなっ!!そりゃないで白さぁ〜ん。」
「白さんがロリコンに目覚めた〜。」

「ロリコンじゃねぇっ!!!」
「うちはロリちゃうわっ!!!」





千里ちゃんが弟に見えてきちゃうそうです。

弟は……もしかしたら出すかもしれませんが今のところ予定はないです←
白さんのトラウマについては追々書いていくかもです
12.11 00:12 / せせら ed url
「なー。クッキー作ってみたんだが…ちょっと感想聞かせてくれよ。」

「おっ、新作?」

「いんや、ちげぇ。ちょっと思いついて作ってみたやつ。」

「へー。いただきまーす!!」

「海斗、伊月、お前らも食ってみろ。」

「あざっす。」

「やった。」

「白さん白さん。これオレ、すっごい好き!!」

「はちみつと、細かく切ったレモンの皮入れてんだけど、どうだ?」

「ふんわりはちみつの香りだけど後味がさっぱりしてます!!」

「ん。……うまいっすけど、なんか足りないよーな…。」

「あ、それあたしも思ったです。」

「そっか…。紅茶のあてにでもと思ったんだけどな。」

「!!。あとで紅茶飲むとちょうどいいですよ!!」

「えっ!!オレも飲んでみたい!!いっちゃん一口ちょーだい!!」

「待て待て、新しく紅茶持ってきてやるから。」

「ふわっとはちみつで、さっぱりとレモン。そんで紅茶でうまーくまとめられてるです。」

「オレはこのままでも好きだよ?もうちょっと甘くてもいーかも。」

「ダメですね砕牙先輩。この甘さ控えめなところがいいんじゃないですかー。」

「ふーん?あ、じゃあミルクティーじゃなくてストレートでもあうかもね。」

「紅茶のセットに、か。…新商品にするつもりはなかったんだけどな。」

「そういえば言ってたね。でもオレ等に試食させたってことは誰かにあげるんでしょ?」

「え、そうなんですか?」

「う、あー…まぁ、な。」

「ほー。マジですか。誰にあげるつもりだったんですか?女の人ですか?」
「白さんってばやる〜。誰々?」

「いや、女じゃねえけど…あの、常連のひとりに、な。もうすぐ誕生日なんだよ。あいつ。」

「砕牙、紅茶持ってきたぞ。」

「お、メルシー。白さん、もうすぐ誕生日って誰が?」

「?、一番誕生日近いっつったらレクだけど…なんかすんのか?」

「え!?レクの為に作ってたんですか!?」

「……ま、まあそうだけど…。」

「…これって白さんがレク用に作ったやつだったのか?」

「話の波で行くとそんな感じ。」

「波じゃなくて流れな。」

「そう言えばレっくんと仲いいもんね。白さん。」

「無視か。」

「あいつとは付き合い長いからな。何つっても、あいつが赤ん坊のころからだからなー…。」

「ふーん?」
「なんか意外―。」
「だから白さんには懐いてんのか。」

「懐いてる…ってか見下されてる感が否めないんだけどな。」
「…否定できない。」
「…ですね。」
「…俺も。」

「ははは…。まあ簡単に言うとレクの父親とは仲が良くてな。……同級生だったんだ。」

「へー?」

「レクの父親と白さんが同級生ですかー。」

「……白さん、今何歳でしたっけ…?」
「22歳だな。」
「…レクって何歳でしかっけ?」
「8歳だな。」
「…レクのお父さんと同級生だったんですよね?」
「そうだな。」
「………逆算するととんでもない気がするんですが…。」
「まあ、あいつは留年してたから実質は一個上だったから…レクは15歳ん時の子だがな。」
「15歳で子持ちッ!?」
「まあ相手が年上で…5個上だったかな?」
「20歳の母っ…。」
「若っ!!」
「え、オレのママンも20歳でオレ産んだけど?」
「ちょっとややこしくなるからお前は黙ってろ砕牙。」
「……あい。」
「…えっと、まあ、俺とあいつの関係を要約するとそんな感じだ。」
「勝手にまとめないでください。」
「あー……まあ高校上がったらいきなり父親になったって言われてさ。なんて言うか…レクの両親と一緒に子育てとかしてた、って話せばわかるか?」

「……で、現在に至ると?」
「簡単に言えば、な。」
「へー…。」
「……じゃあローア君やルカさんとは子育て中に出会ったってこと?」
「ああ。…まあ、子育てしてたからこそ、料理に興味持ったんだけどな。」
「ふーん?なんか壮大なジンセーだね。」
「ははっ、否定は出来ねえししねえ。…でも。」
「「でも?」」

「あいつを育てたからこそ、今の俺がある。…面と向かっては言えねえけど、あいつが産まれたことに感謝してんだ。」

「白さんとレクってそんな関係だったんですねー。」
「世間って意外に狭いんっすね。」
「……ぁ。」
「砕牙先輩なんか言いました?」
「レッ君と白さんって家族ぐるみで仲良しなんだなぁって。」

「…。じゃあ今もレクの両親とは仲いいんですね。」

「たぶんな。」
「たぶんって、なんでたぶんなんっすか。」
「いや、最近あいつらに会ってねえし。」
「会ってないって。仕事が忙しいんですか?」
「仕事以前に日本にいないし。」

「「「え」」」

「そりゃ公爵サマがそう簡単に渡日できるわけねえよ。」

「公爵っ!?」
「誰がっ!?」

「あれ?言ってなかったか?レクの父親はどっかの国の公爵で、レクはその跡取り息子。」

「でもでも、レッ君喫茶店のジョーレンさんじゃん!?」

「そりゃ、俺ん家に居候してるし?」

「ってか同級生って言ってなかったっすか?」

「ああ。元々はハーフなただの庶民だったんだけど、公爵家で跡取りがいなかったから、血縁者にあたるリック…あ、レクの父親な。…が、高校卒業と同時に本国に強制送還されたんだよ。」
「え、え?じゃあレクのお母さんは?」
「リックにべた惚れで離れたくないって着いていった。」
「……じゃあレクも一緒に帰るのが普通なんじゃ?」
「日本(ここ)にいたいって駄々こねて、今までも育ててたからついでによろしくって両親が俺に預けてった。」

「……それじゃ、一緒に住んでんの?」
「ああ。」
「「初耳っ!!」」

「言う機会もないし必要もなかったけどな。あ、いらっしゃいませー。」





「……白さんって意外と顔広いよね。」
「…確かにそう思います。」
「白さんとレク、か。」
「……なんかおめでたいカンジするよね。二人がそろうと。」
「……あー…。なんかわかる気がします!!」
「………お前ら確実に頭の色で考えてただろ。」

「だって…。」
「紅白親子だもんね。」



……っていうのもありかと思う←
ってかこの設定で行こうかな?ちょっとお父さんのビジュアル考えてこよう
最初はクッキーの話しかするつもりなかったのに…
12.09 14:44 / せせら ed url

「ねー、カイトー。」


「んー?」


「カイワレ大根って育てたらダイコンになるのかな?」


「さー?ならねぇだろ。」


「えー。つまんない。」


「気になるなら育ててみればいじゃねぇか。」


「うげ。オレ、カイワレ辛いからあんまり好きじゃなーい。」


「おでんの大根は好きなくせにな。」


「おでんと言えばダイコンでしょ。」


「タマゴだろ。」


「ダイコンだって。」


「タマゴ。」


「ダイコン。」


「糸こんにゃく。」


「ちくわ!!」


「チクワブ」


「モチキンチャク!!」


「牛筋。」


「えっとえっと…。」


「はんぺん、こんにゃく、昆布―。」


「んっと、ええっと……。」


「厚揚げにつみれ。」


「ううううぅぅぅ………。」


「なんかごぼう刺さってるやつとか他練り物数点。」


「………。」


「……。」


「…おでん、食べたいね。」


「…帰りにコンビニで買うか。」


「サンセー!!!」



そろそろおでんが食べたい季節…。

個人的におでんでは糸こんにゃくが一番好きだ
12.09 14:20 / せせら ed url
「うわ、スゲーピンク。」


「ん?ああ、あの人か。あんな濃いーピンクのパーカーなんて売ってるんだね〜。」


「…あんな全身ピンク着る奴の考えってわかんねぇ…。」


「きっと頭ん中もピンクなんだよ!!」


「ぶはっ!!」


「あれ?オレなんか変なコト言った?」


「いや?っく。頭ん中もピンクなんだろうなぁ?」


「うん?…あ!!いや、違う違う!!そーゆー意味じゃないってば!!」


「…じゃあどんな意味なんだ?」


「えーっと、えっと……頭にピンクしかないんだよ!!」


「…あんまり変わってねぇぞ?」


「うえぇ!?んっと、んー…ピンクでいっぱいな頭の中?ピンクの脳内?」


「もういいって。言いたいことは解ってるから。」


「うー…もう頭部ピンクでいいじゃん!!」


「それじゃ、別の意味になってるっての(爆。」


「あうぅ…。」


「ほら、飴やるからいじけんな。」


「oh!!リンゴ味〜。」


ピンクのパーカーにピンクのタイツの女の人を見かけた海斗と砕牙の会話。

09.26 20:51 / せせら ed url
楼亜君といっちゃんが叶わない片恋同盟とか組んだりしてもいいかもと思ったりなんだり。
なんだかんだで誰かが誰に片思いしてる的なのしか思い浮かばないんだがwww
んでその中で砕牙は恋愛に臆病になってて「オレなんかが恋愛なんてする資格ないよ」とか思ってて、勝手に好きになって勝手に君の幸せを祈ってるから、だから願わくは君が笑ていられることをみたいな考えなんだよ。んでそのことを海斗には打ち明けてて、海斗は砕牙のことほぼ全部知ってるからその考えを全否定してあげられることができない。「それでも、だけど俺はお前に幸せになってほしいと思うよ」ってぼそっと呟くんだ。
砕牙にとって海斗は日本に来てから唯一頼れた心の拠り所で、支えであってすべてだった。だから海斗のことは無条件で信じるし海斗が望むならなんだって応えようとした。砕牙にとって海斗に拒絶されることは自分の存在そのものを否定されることと同意味だったから、だからいつも笑顔を振りまいて手を伸ばせば触れられる距離でとどまってた。自分の中にある汚いものを見られたくなかったから。
無邪気で何もわからない馬鹿なふりして、ふざけた態度でいつもへらへら笑ってれば周りを傷つけることもないし自分も傷つかないですむから…。
自分の心にふたをしてたのに海斗はいともたやすく見破ってぶつかってきてくれた。自分の心の闇を聞いても同情するでも憐れむでもなく、自分の傷を同じようにさらして、笑いかかけてくれた。だからこそ、砕牙にとって海斗は一番大切で絶対な存在……
ってなると薔薇路線突っ走るんだよなああああorz
まあそれはそれで悪くないとは思うんだけどね!!
あと個人的に楼←椎フラグ立てたい
今まで出会ったことのない少し危険な香りのする楼亜君にドキドキする椎名さん。自分の本心を見せようとしない楼亜君に母性総動員してればいいよ←
とりあえずはレクを出さなくては(((
05.27 12:40 / せせら ed url
やっぱ最初はイリアちゃんの片想いがいいと思うんだ

でも砕牙が恋愛感情麻痺してるとかだとおいしい!!

どうにかこうにか振り向かせようと、イリアちゃんは奮闘するんだけど
「恋愛感情?よくわかんないや。誰が誰を好きなんだろうなぁってのはわかるけどさ…俺に向けられてるのって本気じゃないじゃん?自分でいうのもなんだけど、オレモテるし。皆オレの事好きとか言ってるけど、それはジャ〇ーズとかみて好きーっ!!っていう感覚だと思うんだよね。かっこいいから好き、面白いから好き、皆好きだから好き、みたいな。どうせウワベだけしかみてないんでしょ?って思っちゃう。表裏なさそうとか言うけどさ、何を根拠にそんなこと言えるかがわかんない。オレって実際最低な人間だし。腹んなかではすっごいどろどろした感情渦巻いて、おちゃらけて笑ってるジブンうぜぇ(笑)みたいなこと思ってるし、どうやったら嫌わないでいてくれるか考えて、計算して行動してるんだよ?馬鹿で何も分かってないふりして笑ってるけど、話せないだけで日本語理解できてるからね。敵を作りたくないから馬鹿なフリをしてるだけ。本当のオレはとっても弱くてちっぽけで、何でも計算してる最低なクズなんだよ。そんな人間、好かれる訳無いってわかってるから……こうなってるのかもね。イリアちゃんの気持ちは気付いてるよ?でもさ、本当のオレをしったら…あぁ、そんなやつだったのかって思われて離れていっちゃうから………オレはこの距離感を壊したくないんだ。…ね?最低な奴でしょ?」

みーたーいーな感じで恋愛にもんもんしてる砕牙の話を聞いてあげる海斗!!
男子二人の恋愛論争書きたい(^q^)

水着の話で例えると、
海斗は彼女にパーカーとか着せて自分以外見せないようにする独占欲タイプで
砕牙は彼女のパーカー剥ぎ取って回りに見せびらかして「オレの彼女まじかわいいだろ(ドヤ」みたいな優越感(?)タイプと思う

海斗は彼女に対してそっけないくせに彼女に構ってほしくてたまらない。そして独占欲パネェ/(^o^)\
「……俺以外の男と二人っきりになるなよ」とか(*´艸`)

砕牙はとにかく彼女に対して好き好き大好きーって態度に表しまくるけど、嫉妬とかしない「え?男友達と泊まりでお出かけ?そっかー、お土産よろしく!!」みたいな←
離れたいなら離れれば?オレは君が好きだけど、君がオレを嫌いならしょうがないよね〜てきな思考。海斗は逆に束縛そうだ/(^o^)\

あくまでイメージ\(゜ロ\)(/ロ゜)/


嫉妬とかはいっちゃんも過ごそう
でも相手に嫌がらせとかするんじゃなくて、彼に好き好きアピールするとおもう。陰湿な子じゃないからね!!


椎名さんは「か、彼は私の、ですっ!!」みたいなのを相手に宣言すると思う(笑)
日田すらに相手を甘やかすんだろうなぁ…(*´∀`)
「もう…しょうがないなぁ」とか言って何でもやってくれそう。でもたまにつかれてさりげなくあまえてくるよ!!基本ほっといてもなんとかするけどあんまりほっとくと寂しくてしんぢゃうよ!!←



ふあぁぁあぁああぁ
椎名さん嫁に来い(`・ω・´)キリッ←
05.26 17:19 / せせら ed url
オリジ萌え過ぎて辛い←

とりあえずいっちゃん目線で海斗との甘酸っぱい青春書きたい

自分にそっくりな外見の片割れの方ばかりに視線を向けてる海斗に、双子なんだから自分もいけるんじゃね?とか思って懸命にアタックしてればいいよ。
んで椎名が風邪ひいたりで休んでるときに椎名のふりして海斗に近づくんだけど、海斗にはもろばれで、でもわかんないふりして接してあげるんだよ海斗はっ!!!
でも椎名相手だと照れちゃうこととかを変装いっちゃんで試してみたりして、いっちゃんはこう言うことを椎名にやってんのかとか思ってしょぼーん(´・ω・`)ってなればいいよ
でも頑張って振り向かせようとすればいいよ!!!!

そしてある日海斗が「俺、椎名が好きなんだ」とかカミングアウトして傷ついてればいい←

でも基本いい子だから海斗の幸せを願うんだろうなぁ…
それで最後の強がりと希望で「フラれたらあたしが慰めてあげないこともないですよ」って/(^o^)\


うああああああああ、健気!!かわいいよいっちゃん(^q^)

そして椎名は海斗はよきお友達と思ってて、いっちゃんが砕牙を好きなんだと思ってる。そして砕牙もいっちゃんが好きなんだと思ってる。もしくは砕牙と海斗が付き合ってて、いっちゃんが砕牙を略奪愛しようとしてるんじゃないかとか思ってる←
なんという天然/(^o^)\

でも砕牙の本質を本能的に感じ取ってたらいいなぁ(*´ω`)←


ちくせう、まじもぶちゃんのキャラ可愛すぎる嫁に来い。むしろもぶちゃんが嫁にk(ry

海砕海も好きだけどさすがに薔薇は自重するんだぜ\(^o^)/←


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