正月の醍醐味
3 永倉先生が持っている大きな瓶「あの、永倉先生、それってもしかしなくても……」
「おう、酒だ!」
飲む気満々の先生は、腰に手をやってそう言った。
「千鶴ちゃんも飲むか?」
「いえ、私は飲めませんから…」
「こらこら永倉君、未成年の子に酒を勧めてはいかんだろう」
がらっと玄関が開いて入ってきた人は――。
「校長先生!」
「明けましておめでとう、雪村君。すまんな、朝から皆で押しかけて迷惑かもしれんな…」
心から済まなそうに謝る近藤校長に、私は慌てて手を振った。
「明けましておめでとうございます、校長先生。あの、お気になさらないで下さい。たくさんの人と食べた方が楽しいですから、迷惑なんて事ありません」
「そうか、それならいいんだが…」
「ところで、先ほど外で……」
「明けましておめでとう、我が妻よ」
……来ちゃった、風間生徒会長まで来ちゃった…。
よく分からないけどこの人から求婚されている。
「さあ、こんな奴らとの正月なぞやめて、俺の屋敷で正月を過ごそうではないか」
誘われちゃった……。
皆でお正月を楽しみにしてたから、私はここでお正月を過ごしたいけど……。
1.帰ってくれないかな2.ここに残りませんか3.きっぱり断る