2話奇妙な盗難事件(男PS) | ナノ
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男主人公・PS追加・ゲームオーバー無し
福沢玲子2話
奇妙な盗難事件

「私は、掃除用具入れの中で息をひそめてたんだけど……。足音こそ聞こえないけれど、誰かが教室の中を歩く気配が伝わってくるの」


1、出て行く』を選ぶと【END怖い話はまた今度】


2、様子をみる』を選んだ場合
「でも、いつまでも考えてたってわかんないじゃん。だから、思いきって掃除用具入れから出ることにしたの。坂上君だって、そうするでしょ?」


1、はい』を選ぶと【END騒動終結】

2、いいえ』を選ぶと【END異空間】



私が二番目?
いざ、指名されると緊張しちゃうね。
えーっと、そうだなぁ……。
じゃあ、自己紹介から始めるね。
私……福沢玲子っていいます。
クラスは一年G組。
皆さん、よろしくお願いしまーす!

えーと、坂上君……だったよね?
あなたも一年生でしょ?
クラスにはもう慣れた?
ほら、一年生の一学期って初めてのことだらけで大変じゃん。

高校って義務教育じゃないからさ、授業とかも今までと全然違うし……。
委員とか、クラブとか、決めることもいっぱいって感じだし……。
みんな、落ち着くのに時間かかるんだよね。
えっ、私……?

あははは……。
私は、もうすっかり慣れちゃった。
私って、あんまり人見知りとかしない方だから友達できるのが早いんだ。
才能あるのかなぁ……?
……って、そんなことはどうでもいいんだけどね。

ねえねえ、坂上君のクラスでは、変なことって起こってない?
少し前まで、うちのクラスは大変だったんだよ。
ちょっとした事件があってさ……。
その事件っていうのが…………。

どう?
坂上君、当ててみてよ。



1、転校生が来た
2、テストがあった
3、よく物がなくなった
4、さっぱりわからない



『1、転校生が来た』



そうだよ。
よくわかったね。
……なーんていうと思う?
入学式が終わってから一ヶ月もたっていない時期に、転校生が来るなんてそうそうないと思うよ。
ま、絶対に起こらないとはいえないけどね。

……でも、残念ながら答えはハズレ。
うちのクラスで起こった事件っていうのは、そんなことじゃないんだ。
なぜだか知らないけど、うちのクラスではしょっちゅう物がなくなってたの。



『2、テストがあった』



うんうん、全国一斉テストがあったんだよね。
今、ちょうど答案が戻って来てるところ。
毎日、ドキドキしてるよ。
……でも、残念ながら答えはハズレ。
うちのクラスで起こった事件っていうのは、そんなことじゃないんだ。

なぜだか知らないけど、うちのクラスではしょっちゅう物がなくなってたの。



『3、よく物がなくなった』



すっごーい、よくわかったね。
そうなんだ。
教室内の物がしょっちゅうなくなってたの。



『4、さっぱりわからない』



あ、そう……。
わからないんだね。
じゃあ、教えてあげるよ。

事件ていうのは、うちのクラスに転校生が来たってことなんだ。
……というのは嘘。

あはは、怒らないでよ。
軽い冗談じゃない。
本当はねえ……クラスでしょっちゅう物がなくなってたの。
これは、本当だよ。



※以下同文※



いわゆる盗難事件てやつ。
あれは、いつ頃から始まってたのかなあ……。

最初に気づいたのは、美化委員の八代さんだったと思う。
彼女、帰りのホームルームの時に、突然こんなことを言い出したんだ。
「あの……。
チリトリがないんですが、誰か知りませんか?」

……そう!
最初になくなったのはチリトリだった。
うちの学校って、全校一斉に掃除するでしょ。
その後で、必ず美化委員が掃除用具のチェックをして回るんだよね。
だって、ほら……。

古くなったホウキとか、穴の開いたバケツとかを新しいのと取り替えなきゃいけないんだもん。
特にうちのクラスなんて、男子が乱暴に扱うからすぐボロボロになっちゃうの。

坂上君だって、ホウキを折ったり、モップの先をガタガタにしたり……なんてことあるんじゃないの?


1、ある
2、ない



『1、ある』



あはは……、やっぱり。
そうじゃないかと思ったんだ。
美化委員の子かわいそう……。
駄目だよ、あんまり迷惑かけちゃ。



『2、ない』



本当かなぁ……。
この前、掃除の時間に一年生の教室の窓ガラスが割れたって聞いたけど……。
あれって、E組じゃなかった?
……ま、いっか。
学校の備品を、あんまり乱暴に扱わないようにね。

あはは……。
別に坂上君を疑ってるわけじゃないんだよ。



※以下同文※



その日……。
掃除が終わって、いつものように八代さんが掃除用具を点検していたら、チリトリが一個なくなってたんだって。
……また、男子が壊したんだ。
クラスの大半はそう思ったよ。

「あんたたちの仕業でしょ!
いったいいくつ壊したら気が済むの!?
これ以上壊したら、弁償してもらいますからね」
そういって八代さんは、いつも騒いでる男子たちをジロッと見回したんだ。

「そんなもの知らねえよ。
なんでも俺たちのせいにすんなよな」
真っ先に声を出したのは島田君だった。
応援団の団員なんだけどさ。
血の気が多いっていうのか、騒ぎが起こるとじっとしていられないタイプ。

「チリトリなんて知らねえよ」
彼、顔を真っ赤にして否定してたけど、誰も信じてはくれなかった。
だって……。
島田君て、ついこの前ホウキを折ったばかりだったんだもん。

日頃の行いって大切だね。
坂上君も、気を付けた方がいいよ。
……とにかく。
この時は、島田君を中心とした男の子たちの仕業ということで落ち着いたんだ。
だけどね、問題はこの後に起こったの。

この日から、クラスのあっちこっちでよく物がなくなり始めたのよ。
いろんな話を聞いたよ。
……えーと、ちょっと待ってね。
今、思い出すから……。
遠藤さんの筆入れでしょ。
今井さんのキーホルダーに、松本さんの定期入れ。

森岡さんは時計がなくなったって悲鳴をあげてたし、滝川さんは図書館から借りてた本が消えたって困ってた。
もう、クラスの女の子たちは盗難事件だって大騒ぎ。
そうそう、私だって被害者なんだよ。
大事なお財布を盗られちゃったんだから!

一日の授業が終わって、帰り支度をしようと鞄を開けるでしょ。
そしたらさ……。
鞄の中に、ジャラジャラとお金がこぼれてるの。
ばらまいたら大変と思って、慌てて拾い集めたよ。

それで、てっきり財布に穴が開いてたのかと思って捜すんだけど……ないのよ。
財布の中に入れてあったお守りや、美容院のカードなんかはあるのに、入れ物だけが消えてたのよ。

こんなのってひどいよね。


1、本当にひどい!
2、中身が無事だったんならいいじゃないか



『1、本当にひどい!』



……だよね。
あのお財布は、高校に合格したお祝いにって、お姉ちゃんがプレゼントしてくれた大事な物でさあ……。
私、すっごい気に入ってたんだよ。
なのにさ……。

クラスの男子ったら、中身が無事だったらいいじゃないかっていうのよ。
まったく、無神経だよね。
あーあ、これだから男の子って嫌なんだ。

……っと、坂上君は別だよ。
うちのクラスの男子とは違う。
少しは頼りになりそうな気がするもん。

うちのクラスの男子は全然駄目。
ちっとも頼りにならないんだから……。



『2、中身が無事だったんならいいじゃないか』



坂上君て、冷たいことを平気でいうんだね。
……私だって中身が無事だったのは嬉しいよ。
でもね、あのお財布は高校に合格したお祝いにって、お姉ちゃんがプレゼントしてくれた大事な物だったんだよ。
私、すっごい気に入ってたのに……。

それを知りもしないで、中身が無事だったんなら……なんて、ちょっと無神経だよ。
あーあ、これだから男の子って嫌なんだ。
うちのクラスの男子と一緒。
女の子たちが困ってても、我関せずなんだもん。
ホント、ちっとも頼りにならないんだから……。



※以下同文※



私たちさあ、最初のうちは貴重品は持って来ないとか、絶対に外さないとかって自分たちで気を付けていたんだ。
でもね……。
悲しいことに、まったく効果はなかったの。
鍵の付いたロッカーにしまっておいた物ですら、いつのまにか消えてしまってた。

あいかわらず続く盗難に、みんなイライラし始めちゃって……。
もう誰も信じられないって感じ。

特に疑われたのは島田君だったよ。
……さっき話した応援団の子。
盗難が始まったのって、ちょうどチリトリが消えた時からだったからね。

「チリトリ事件のあった時……。
島田君、妙にムキになってたよね」
「チリトリ壊した犯人にされて、プッツンきたのかなぁ……」
「案外、チリトリも壊したんじゃなくて盗んだんじゃないの?」

こんな会話が女の子たちの間で囁かれてた。
たぶん、噂の元は八代さんだったんじゃないかなぁ。

それに対して……。

「お前等、人を疑うんだったら、まず証拠を見せろよ」
……って、男の子たちはみんな島田君に味方してた。
クラスは見事に真っ二つ。
男女に別れて、真っ向から対立してたのよ。

E組ではこんなことってない?
坂上君だったら、こんな時どっちに味方するの?


1、男子の方
2、女子の方
3、どっちにも味方しない



『1、男子の方』



やっぱり、そう答えるんだね。
男同士の友情ってやつなのかなぁ?
えっ、私……?
私はどっちの味方でもなかったよ。



『2、女子の方』



へえー。
坂上君てそういう人なんだ。
女の子の味方っていえば聞こえはいいけどさ。
もしかして、同性の友達が少ないんじゃないの?

あはは、なんかそんな感じだよ。

えっ、私……?
私はどっちの味方でもなかったよ。



『3、どっちにも味方しない』



そっかー。
私と一緒だね。
私も、どっちの味方もできなかったんだ。



※以下同文※



被害者が女の子ばっかりっていうのは気になったけど、そうかといって、盗難事件の犯人が島田君やクラスの男の子とも思えなかったから……。
それにね……。
私の友達が変なことをいってたのが気になってさあ。

その子……元木早苗ちゃんっていうんだけど、すっごく変わった子なんだ。
時々意味不明なことを喋ったりするんだけど、後になってみると、それが大事な予言だったりするから怖いの。
でも、全然悪い子じゃないんだよ。

どこか憎めない感じの子……。
……って、早苗ちゃんのことは今は関係なかったね。
彼女の話は、また別の時に話そうかな。
たださ……。
その早苗ちゃんが、
「ヤダ。あの子、テリトリーを守ってない」
って呟いたの。

時計が盗まれたって、みんなが騒いでる教室でよ。
それっきり黙り込んじゃったけど、ちょっと気になるよね。

とにかく……。
こんな事件があって、うちのクラスは、学校一男女の仲が悪いクラスになったの。
みんな、目付きは悪くなるし、会話なんかがギスギスして、クラス全体の雰囲気がトゲトゲしてるんだよ。
楽しみにしてた新学期なのにさ……。

なんだか、学校生活どどめ色って感じ。

あのさ、坂上君……。
どどめ色って、どんな色か知ってる?


1、知ってる
2、知らない



『1、知ってる』



へー、知ってるんだ。
坂上君て、物知りなんだね。
実はさ……。
私、それがどんな色だかしらないんだ。
あはは……。
でもさ、名前を聞いただけでなんとなく想像できるじゃない。



『2、知らない』



あっ、そう……。
知らないの。
ふーん……。
実は、私も知らないんだ。

あははは……。
……でもさ、なんとなく想像できるよね。



※以下同文※



あの時の私は、まさにどどめ色の心境だったんだよ。
それでね、私、絶対に犯人を見つけて捕まえてやろうって思ったの。
これだけ騒ぎになってるのに、誰一人として不審な人の姿を見ていない……。

つまり、犯人は教室が空っぽになってる隙をついて現れてるってことよね。
誰もいない教室で、いったい何が起こっているのか……。
自分の目で確かめてやろうと思ったの。
チャンスはすぐにやって来た。
その日……。

体育の授業があったんだけど、私、ちょうど風邪気味だったんだ。
それを利用して体育を休むと、こっそりと教室に隠れたの。
みんなが教室を出て行くのを見送ってから、私は掃除用具入れの中に隠れたんだ。

一人で……だよ。
私って勇気があるでしょ?
えっ……?
ただの命知らずだって?
坂上君の意地悪!
せっかく、人が取材に協力してるのにさ……。
もう、話すのやめちゃおうかなぁ……。

…………あ、オロオロしてる。

あはは、坂上君たら困ってるんだ。
かーわいい!
意地悪なこといったって、反省してるみたいだね。
いいよ。
許してあげる。
……ほら、私って優しいからさぁ。
それじゃあ、話を続けるよ。

私は、掃除用具入れの中で息をひそめてたんだけど……。
掃除用具入れの中って臭いんだよね。
カビ臭いっていうのか……。
なんで、あんなところに隠れようなんて思ったのかなぁ。
でも、その時は割と必死だったからさ。

臭いのことなんて、あまり気にならなかったよ。
それに……。
……カタ。
何分もたたないうちに、微かな音をたててドアが開く気配がしたからね。
私、ドキドキしながら音のした方へ意識を集中したよ。
犯人……?

……絶対、そうに違いない。
足音こそ聞こえないけれど、誰かが教室の中を歩く気配が伝わってくるの。
誰もいないと思ってるのかな……。
今、私が飛び出して行ったらどんなに驚くかしら?
そんなことを考えてた。

どう?
坂上君だったら、出て行ってみる?
それとも、もう少し様子をみる?


1、出て行く
【END怖い話はまた今度】


2、様子をみる