『1、出ていく』【END怖い話はまた今度】 | ナノ
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そう……。
坂上君だったら、ここで出て行くんだね。
私もそうすればよかったのかなぁ……。
私は違ったんだ。
だって、犯人がどんな人かわからないんだよ。
もしナイフとか持ってたら、こっちが危険じゃない。

それに、現行犯でなきゃシラをきられた時に困るじゃん。
私、うずうずする気持ちを押さえながら、狭い掃除用具入れの中でじっとしていたよ。
するとね……。
犯人らしき人は教室の真ん中ぐらいまで移動すると、ゆっくりと辺りの机を物色し始めたんだ。

うん、全部見てたよ。
うちのクラスの掃除用具入れってボロボロだからさ、ドアの継ぎ目の辺りから外の様子が覗けるんだよね。
でもさ……。
私、盗難事件の犯人をばっちり見ちゃったわけになるんだよね。

このことを犯人知られたら、大変な目に遭うと思うんだ。
もしかすると、殺されちゃうかもしれない。
そう思って、今までは黙ってたんだけど……。
今、ここでいっておくね。
私が見た犯人は、この学校の生徒なの。
それは…………。

…………やっぱり内緒。
だって、今になって考えてみると、私が見たのは犯人じゃないのかもしれないもん。
この時は、誰からも盗難の届けが出なかったからね。
忘れ物を取りに来た、クラスの誰かだったんじゃないかなぁ……。

あははは……。
ほら、やっぱりクラスメイトを疑うのって気持ち良くないでしょ。
盗難事件も、もう起きてないし……。
犯人の子が反省したんなら、それでいいことだと思うんだ。

……ごめんね、坂上君。
あんまり怖い話じゃなかったね。
怖い話は、また今度ね。
大丈夫。
私、怖い話だけはいっぱい知ってるから。
だって、うちのクラスにはさっきも話したように、早苗ちゃんがいるんだもん。

彼女といれば、怖い体験の一つや二つはすぐに体験できちゃうんだから。

それじゃ、坂上君。
次の人を指名しなきゃ。
……次は誰?

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