「思わないのか。部隊に入りたいと」


狙撃手合同訓練終わりの昼下がり。こんな質問をしたことに、深い理由はなかった。
ただ、半崎とぐーたら寝転がってスマホゲームをしている名字があまりにも"ウチ"に馴染んでいたものだから、少し、他に取られたくないな。と思っただけだ。


「んー 私マスターポイント取ったら銃手に転向するしなぁ。私は師匠と違って要領悪いし。下手くそが部隊にいても迷惑じゃない?あ、撃たれた」
「穂刈先輩はそんなこと聞いてないっすよ。アンタが部隊に入りたいか入りたくないかを聞いてんすよ。1点ゴチっす」
「くそぅ」


どうやらオレが話しかけたせいで名字は負けてしまったらしい。ポカリ先輩のせいだ〜と口を尖らしながら起き上がった名字の表情は、いつもと何も変わらない。


「隊に入りたいとかはないよ。寂しくなったら"ここ''があるし」
「いつでも来い。寂しくなくても」
「でも部隊組んでる人って似てるんだよね。笑った顔とか、ふとした時の表情が。それはなんか仲良しって感じで羨ましいかも」
「似てるか?"ウチ"も」
「似てるよ」


荒船隊はぶっ飛んでる様に見えてみんな冷静なんだよね。見たり考えたり想像したり導き出したりするのが得意な人の集まりじゃん。全員狙撃手なだけあって俯瞰的っていうか。


「集中してる時の顔がみーんなそっくり」


そこはちょっと羨ましいかも。
いつもと何も変わらない表情と声色が、寂しがっているように見えたのはオレの気のせいではないだろう。名字がいうに、オレは俯瞰的らしいからな。


「似てるぞ。お前も」
「え?どこが?!」
「悪役面、荒船だ。マイペース、加賀美。真面目で一生懸命、半崎。」
「最初の悪口じゃない?」


まあいいけど。じゃあ、ポカリ先輩と私はどこが似てる?
によによと嬉しそうにしているその顔は、荒船が強い新人を見つけた時、加賀美が荒船を揶揄う時、半崎がゲームに勝った時の顔に、よく似ていた。


「可愛いとこだ。オレ達の似ているとこは」
「確かに私達最強に可愛いもんね」
「ああ」


いつまでも"ウチ"にいてくれればいい。そう思うほどにな。


とびきり可愛い後輩


マエ モドル ツギ

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