運命のあの日がきた。竈門家の皆が無惨に殺されてしまう、運命の12月10日。


私と炭治郎君は、ワタシが辿った未来と同じ様に、一緒に町に出かけようとしている。
このまま町に行かせてしまえば、今のワタシと同じ結末を辿る事になってしまう。それでは過去に遡った意味がない。何としてでも、過去の私を竈門家の皆と一緒に殺して、黒い彼岸花の能力を早々に開花させなければならない。

ワタシは黒い彼岸花から聴いたように、ワタシの黒い彼岸花と、私の中の黒い彼岸花を共鳴させるように意識し、私に向かって怒鳴りつけるように叫んだ。



《イクナ!!》



隣町に行くな。おまえは家に残って、この後無惨に殺されろ。呪いを込めた言霊は、私の動きを止める事に成功した。
苦しみ続けるように呪い続けていると、私の内側から、《まだ黒い彼岸花の闇に染まっていない、花を咲かせるだけの力が、私を守るように》ワタシの力に抵抗を始めてきた。闇に染まれば過去へと遡れる力だけれど、それ以前は、気持ち悪いくらいの明るさを放つ、邪魔くさい力だ。
思わず舌打ちがでたけれど、結果的に私は家に残り、炭治郎君一人で隣町へと行くことになった。

「コレデ、イイ…」

無惨に私と竈門家の皆を殺させる。そうすれば私は死から甦り、竈門家を殺された復讐心を胸に、黒い彼岸花の力を使うだろう。竈門家の皆にはまた辛い思いをさせてしまうけど、沢山の力を奪った私を吸収したら、また過去に遡って必ず皆を死から救うから。この死もなかった事になるから。だから今はゆるして。…ごめんね、皆。




そして、ワタシの目論見通り、私と皆は無惨に殺され死んだ。
その後、『なぜか前よりも生温くなったあの花の力』が黒い彼岸花の邪魔をするように抵抗してきたせいで、時間はかかってしまったけれど、四十九日目にようやくワタシの復讐心と黒い彼岸花の力が勝り、私は土の中から這い上がってきた。



そして黒い彼岸花の力を得た私は、ワタシとは全く違う道を進み始めた。



北に進んだ私は、珠世さんと愈史郎くんと出会った。
目の前にいるもう一人の私も、昔のワタシも平和ボケした所があったから話の通じる鬼である二人を殺す事は出来ないだろう。珠世さんを殺して力を奪ってしまえば便利なのだけれど………。

「………アァ。ソウイエバ、ヤクソク、シタッケ」

珠世さんを心配する、愈史郎くんの姿を見て、ふと思い出した。

珠世さんを死から救う代わりに愈史郎くんの力を頂戴と。そんな約束をしたな……と。

けれど、約束を守る気は毛頭ない。ワタシは炭治郎君と禰豆子ちゃん、竈門家の皆さえ救えればそれでいい。それ以外を救う気はない。





輸血をした後逃げる私を、無惨の血を感じるとして探す事にした珠世さんと愈史郎くん。ワタシはこの流れを後ろから眺めながら、マズイ事になった、何とかして変えなければと思った。
この二人は無惨や無惨の配下の鬼から隠れ逃げ続けている。そんな二人に保護されてしまえば、鬼を殺すどころか、鬼に遭遇する確率さえ少なくなってしまう。
それに、《あの花の力に邪魔されたせいか、私はまだ黒い彼岸花の力に気付いていない》。珠世さんは一見するとただのか弱い女である私を、直接鬼と戦わせることはしないだろう。
この二人に保護されるのは都合が悪い。私には鬼を直接、沢山殺してもらわないといけない。それには誰か育手の元で修業し、鬼殺隊になるのが都合がいい。鬼を一等憎んでいる、風柱の元に行くのが、一番良いだろう。

「チカラヲ、ツカウカ…」

今の幽霊のような不完全なワタシは力を使うと暫く意識を失うってしまうが、背に腹は代えられぬと、ワタシは私に、愈史郎君から殺して奪った《目隠しの能力》を使って私を隠した。



二人が諦める数日の間、ワタシは私を隠し続けた。




-8:目隠しの術
関連話 78107


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