※一章
77話の続きからです。
77話〜
78話辺りまで一度読み直していただくことを推奨します※
東の町でしのぶちゃんにアメキシス1000本を売った翌日。炭治郎君との会話の中で、私を襲った犯人が熊だと勘違いされている事に気付いた私は、警察にこの事を伝えるために、炭治郎君と共に隣町に行くことを決めた。
「早く帰ってきてね」
「気を付けてね〜!」
荷物を背負って炭治郎君と共に家を出る。姿が見えなくなっても聞こえてくる竈門家の声に、炭治郎君と一緒に温かい気持ちに浸りながら歩いていくと、六太君を寝かしつけていた禰豆子ちゃんと出会い、さらにほっこりを補充。優しいほかほか気分のまま、昨日、しのぶちゃん蜜璃ちゃんと別れた場所、目印の木まで来た途端、ハッと思い出す。
「そうそう!私が今日一緒に行きたいって言った理由なんだけどね?」
「あぁ。熊がどうのっていう話ですね?」
こくりと頷き、ほかほか気分を切り替えて話そうとした時、更にもう一つの事を急に思い出した。
「あーーー!!」
「?!」
「忘れてた!私、お風呂掃除の途中だった!」
びくっと驚いた炭治郎君には悪いけど、忘れてた事を全く関係ないタイミングでいきなり思い出す現象、をおこし一人で焦り始める。
「ごめん!ちょっと禰豆子ちゃんにお風呂掃除の続きお願いしてくるから!本当にごめん!ちょっと待ってて!」
そう言いながら禰豆子ちゃんの元に走り出す。「走ると危ないですよー!」と言う炭治郎君の声に、「わかったー!」と返し、速度を下げた。まだ距離は離れていなかったので、すぐに禰豆子ちゃんに会え、お土産の金平糖を約束し、炭治郎君の元へと歩いて戻った。時間にして20分程だったけど、ちゃんと、目印の木の下で待っていてくれた炭治郎君。
「待たせてごめんね?」
「いいですよ。雪道で滑りませんでしたか?」
「ありがとう。うん!一回転けた!」
「早速ですか。危なかったら、俺につかまってくださいね」
「ふふ、遠慮なくそうさせてもらうね。じゃあ、町に行こうか?」
そう言って、二人で町に向かって足を一歩進めた。
「それで、熊、がどうしたんですか?」
「そう!その熊についてなんだけど!さっき話の中で気付いたんだけどね」
炭治郎君に「私を襲った犯人は熊ではなく、人間の男だった」と話をすれば、炭治郎君は酷く驚きながらも、真剣な顔ですぐに知らせに行きましょうと言ってくれた。
他にも誤解があるかもしれないと、これまでの思い込みや勘違いを正す様に、お互いに最初から知っている全ての情報を照らし合わせながら山を下り、隣町の警察に事情を話した。
警察に伝えた今、私達が他にできる事は、これ以上の被害が出ないように祈ることと、自分達も警戒を忘れずに気を付けることの二つ。
警察に行った後、炭治郎君と炭売りや町の人のお手伝いをしていれば、あっという間に夕暮れ時。
私の事件の事もあったので、急いで家に帰ろうと山道を早歩きで進んでいると、三郎さんに「日が暮れて危ないから泊まってけ」と呼び止められた。警察に話した直後だった事もあり、無理をするより安全を取った方がいいと判断した私達は、三郎さんの家に一泊させてもらう事にした。
-1:枝わかれの未来