7、竈門家と夢主でほのぼの日常

77話ifダレカガミタユメの2年後の梅雨の季節。


季節は梅雨。四日間振り続けた豪雨は今日の朝方ようやくんだものの、まだ晴れ間の見えない曇り空。洗濯物を干すには日光不足だったけれど、強い風が吹いていたので、少しでも乾けばと、四日間で溜まった洗濯物を皆で一斉に干していた。



「せんたくもの、乾くといいね〜」

洗濯籠から洗濯物を手渡す担当だった六太くんは、縁側に座りお水を一気に飲み干した後、隣りの葵枝さんの膝に頭をのせて寝ころび、満足気な顔で言った。

「六太くんが頑張ってくれたから、きっとあっという間に乾くよ」

葵枝さんの隣に座り、六太くんの頭を撫でながら微笑めば、六太くんはきゃっきゃっと声を上げて楽しそうに笑う。

「ぼく、頑張ったもんね〜」
「一番頑張ったよ。えらいね」
「桜おねえちゃん、僕は?」
「もちろん茂くんも頑張ったよ〜。お手伝いありがとう」

茂くんは竹雄くんと一緒にしわ伸ばし担当。洗濯物を遊ぶように振り回したり、引っ張ったりしてくれたお蔭で、しわの無い真っすぐな仕上がりになるだろう。

「この後晴ればいいけどね〜。花子、生乾き嫌いなんだよね…」

花子ちゃんは、私の隣に座って身体を密着させながら、風に揺れる洗濯物を心配そうに見つめた。

「あぁ〜!毎日晴れだったらいいのにな〜!」
「未来だと、毎日晴れに出来たりするのか?」

洗濯籠を片付けていた竹雄君が、私と葵枝さんの前に立って首を傾げた。

「あ!ありえる!300年先の未来なら、なんかすっごい技術で、ずっ〜〜〜と晴れてそう!むしろ天気を自由に操れそう!」
「そうだったら便利だけど、さすがに未来の技術でも自然を操るのは無理かな〜。一年先の天候を100%正確に当てる天気予報ならあるけどね」
「それもすごいわ。洗濯に困らなそうね」
「困らないというより、未来だと洗濯物を外に乾かすっていう習慣はなかったんですよね。洗濯、乾燥、しわ伸ばし、たたむ、この全行程を数分で終わらせちゃう機械があったので」

羨ましそうな顔をして言った葵枝さんに、そう伝えれば、葵枝さんは更に感嘆のため息も漏らした。

「まぁ。本当に未来は便利なのね」
「はい…。ほんとうに、です……。大正時代に来てから、未来のあの暮らしは便利すぎるくらい便利だったんだなって、身を持って体験してます…」
「……桜おねえちゃんはこの生活嫌い?」

不安そうな声で言った花子ちゃんの言葉に、まさか!と首を左右に大袈裟に振り否定する。

「嫌いじゃないよ!確かに最初は戸惑ったけど、皆と一緒に出来るから楽しいし、洗濯も掃除も自分の手で綺麗にした達成感とかもすごく気持ちいい。まぁ、正直、未だに不便だな〜って思う事もあるにはあるけどね」

まだ不安そうな顔をしている花子ちゃんを安心させるように、頭を撫でながら微笑んだ。

「…でも、不便だけど生きてるって感じかして好き。働いた時の疲労感も、予測できない天気に左右される生活も、どうにもならない寒さや熱さも、生身で感じる四季も……なんていうか美しくて、懸命で……、うん。好き、だよ。皆と過ごす、ここの生活が大好き」
「桜おねえちゃん…」

不安そうな顔から驚いたように目を丸くした花子ちゃんに、恥ずかしい台詞だったかなと照れを隠す様に笑うと、花子ちゃんがポツリと呟いた。

「うしろ…」
「後ろ?」
「雨…」
「え?」

振り返ると、いつの間にか空には雨雲。あ、数滴の雨が降っている、そう思った直後に小雨はゲリラ豪雨へと進化した。

「ぎゃー!!洗濯物!!」
「皆急いで取り込みましょう」









「…やっぱずっと晴れだったらいいのにね」

さっきの格好つけた台詞を撤回するようなボヤキを、びしょ濡れの皆が同意するように頷いた。

「桜おねえちゃんはやくお風呂にいこうよ〜」

床を濡らさない程度に、濡れた身体を簡単に拭いていると、はだかの六太くんが私の手をひっぱりながらジャンプをした。

「(フルチn…)わかった、今行くよ」
「みんなでお風呂だ〜!わ〜い!」
「桜おねえちゃんは、花子の背中流す係ね!」
「じゃあ、私は桜さんの背中流そうかな」

つい数分前に帰って来た禰豆子ちゃんが、濡れた長い髪の毛を絞りながら楽しそうに言った。
炭治郎君と二人で炭売りに出かけて帰ってくる時にこの雨にやられたらしく、私達より全身びしょ濡れになっていた。


私は、後ろで身体を拭く二人を見て、ニヤっと笑う。

「炭治郎君と竹雄君も一緒に入る?」
「馬鹿か!!入らねぇよっ!!!」
「え、遠慮します……!!」

14歳の炭治郎君と12歳の竹雄くんは思春期真っ盛りなせいか、顔を真っ赤に染めた。

「茂くんは?」
「僕もいい…」

8歳になった茂くんは、ちょっとだけ照れたように頬を桃色に染めて、首を横に振った。
2年前だったら一緒にお風呂に入ってくれたのにな〜と、2年の成長になんだか微笑ましくなってしまった。


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