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chapter2-2
こうして、わたしのグリフィンドール生としての生活が始まった。
一年生ともあって、基本から始められるものの、今まで一切魔法に触れてこなかったわたしにとってはついて行くのに精一杯で、毎日が予習予習の日々である。
「ナマエ!また本の虫か」
そう言いながらわたしの頭をぐしゃぐしゃにするのはフリーモント(これは姓ではなく、あくまで名前)・ポッターだ。同じグリフィンドールの新入生で、髪はくしゃくしゃ。
「あなたとちがって魔法界で生活してきたわけじゃないの!Wingardium Leviosaで全てまかなってきた人種じゃないのよ!」
「へえ。マグル式って大変なんだなあ」
彼はそう言いながらくるくると箒を回してみせる。またこっそり一年生のくせに練習に混ざるつもりなのだ。
「本当箒バカなのね、あなた」
「きみは勉強のバカ、僕は箒バカ、そしてウィーズリーは赤毛バカだ!」
そう高らかに歌い上げながら彼は走り去って行く。
見た目からしてバカっぽいのはそろそろやめにすればいいのに。頭はいいのだから。
かわいそうに、槍玉に挙げられたセプティマス・ウィーズリーはキョロキョロと周りを見渡すばかりだ。ちょっぴりどんくさい彼に絡むと勉強に支障が出るので、今は放っておく。
しかし、グリフィンドールで勉強していると少し浮いてしまう。
スリザリンに「グリフィンドールは脳筋バカ」と言われているのは伊達じゃない。
もちろん成績優秀者も多くいるのだけれど、彼らも落ち着きがとにかくないのだ。
彼らに必要なのは冒険、刺激、イタズラなのである。
わたしは諦めて本を閉じると、図書館に向かうための準備をした。
今はテスト期間前というわけでもなく、学期が始まったばかりというわけでもない中途半端な時期なので、図書館は本当に閑散としている。
ミセスに軽く会釈をしてからなるべく奥の人が来ないような場所を選んで座る。
すると、すぐに隣の席の椅子が引かれた。
せっかくこの場所を選んだのに、とその隣を一瞥すると、そこに座ったのは見慣れた顔であることに気づき、わたしは思わず目を見開いた。
「隣が空いていたようだから」
この数週間、ちっとも顔を見せなかったリドルだった。
まばたきを忘れた少女
そして、忘れさせるのはいつもただひとり。