prologue / chapter 01

ひとさじの春がここにあって
それはぼくらの特権
ふたりのはじまり
ぬかるみに沈む子羊たち
背骨に絡まる花と蔦
やさしい楽園のちいさなひずみ

chapter 02

蕾にさえなれないままで
まばたきを忘れた少女
大きすぎた理想のために
名前をつけたら最後なの
優しいひとだときみはいう
赤ずきんに捕らわれた狼

chapter 03

月が隠れた夜
縫い目の隙間から見えるもの
真夜中まであと少し
猛毒をポケットにいれて
淡くて曖昧だけど
夢の終わりに口づけを残して

chapter 04

指先の熱は今日もくすぶっている
いくつもの祈りとともに
いじけたあのこの横顔に
まぼろしがはがれ落ちた
還るすべを知らなくて
わたしがいなくなる日

chapter 05

鍵は昏い水底に沈めてしまった
嘘だらけの愛だらけ
そこにある幸福/まわりくどい共犯者
語れる未来があるのなら
手のひらに青い鳥
生温いレモン水のように

chapter 06 / epilogue

夢の隙間を埋めるように
鼓動だけが愛しくて
孤独の呼吸音
だってあの言葉は燃えてしまった
おやすみなさいあいしてた
もう二度とほどけないように

Another

しあわせすぎてくだらない

title by サンタナインの街角で

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