詰め合わせ13
▽こばと。
▽ぬらりひょんの孫








▽こばと。


こばとは、同じアパートの住人である青年が普段何をしているのか気になり、彼のあとをつけた。彼はコンビニに寄り、ポテトチップスを一袋買って、どこかへ向かう。ついた先は公園。彼はベンチに座って空を見ている。かとおもえば、こちらに気づき、こばとをこまねいた。


「おにいさんは、公園で何をされているんですか?」


「んー? 鳩の餌やりかなあ」


「でもでも、鳩さんいませんよ?」


「だねえ…」


彼はポテトチップスの袋を、ばさっとあけてこばとに差し出した


「こばとちゃんに餌やりしよう」


「え、餌…?」


「あれ、いらない?」


「いえいえ、ほしいですっ!」


それから、何故か二人でポテトチップスをつまむことになった。



::



「すっかり餌付けされやがって」


いおりょぎは呆れ声で言った


「うー、でもでも、楽しかったです!」




▽ぬらりひょんの孫


「えっ、櫂兎兄さんが帰ってきてるの?!」


「ええ、お土産持っていま客間に」


暫く隣家を留守にしていた櫂兎が帰ってきたことをきいたリクオは、客間に駆け出した。引き戸を勢いよく開けると、目的の彼は祖父と談笑していた。駆け寄り、飛びついたリクオを彼は受け止める。


「うおぉ、大きくなったな。元気にしてたかー?」


そう言って彼はリクオの頭を撫でた。彼は、ここ五年間海外の至る所へと飛び回っていたそうで、日本にすらいなかったのだ。


「収穫はなかったし、暫くこっちに居るつもりだから、また遊べるぞ」


リクオの表情がぱあと明るくなる。彼の優しい手はリクオの頭をまた撫でた。


そんな、まだ幼い日の記憶――



::



「兄さんはうちに妖怪がいておかしいとは思わなかったの? 怖くなかった?」


「……ん〜、まあ珍しいとは思ったけど、ここだけじゃないからなー」


櫂兎が芋羊羹をつつきながら話す。


「えっ?」


「俺さあ、色んなところ旅したせいでそういうの結構見慣れてるし、害のある奴は祓えばすむからさ」


「祓う?!」


「知り合いに陰陽師がいてね。教えてもらった」


術は簡単なものとはいえ、一応かの安倍晴明直伝なのだ。こっちの晴明とは他人のそら似だが。


「リクオのじーちゃんとはうっかり祓いかけて知り合ったくらいだし。
…うん、あの時はいくらおにぎり食べられたからって、本当悪いことしたなあ。何度も祓われかけたことあるのに、他人(?)にやっちゃうなんて」


目を点にしているリクオに、櫂兎はクスリと笑った。



::



「おっと危ない」


リクオに向かった斬撃を、その場にいきなり現れた櫂兎が軽々と受け止めた。


「――さて、ここからは俺がお相手しましょうか」


にっこりと口端を引いて櫂兎が笑う。その笑みの後ろに、リクオへの不意打ちに対する彼の憤りが見え隠れする。


「どうして人間が妖怪を助ける?」


「は? お隣さんが困ってたら助けるのは当たり前でしょーが」


人だろうが妖怪だろうが関係ないね、と彼は真っ直ぐに敵を睨んだ。

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飛ぶ計画
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