短編


 糖分

「甘いものが好きな人って体のどこかが可笑しいんだって」
「それ、君が僕のこと可笑しいって言いたいだけじゃないの」
「欠落してる部分があるから、補うために糖分を欲しがる」
「人を欠落人間扱いしないでくれるかな」
「当たってる」
「全く」
「お菓子食べる?」
「食べる」
「……欠落人間め」
「じゃあ僕が欠落人間にならないよう君が補えばいい話だよね。はい、あーん」
「あ」
「ん、うまい」
「食べ過ぎ。豚になるぞ」
「そのときはあれだ、幸せ太りってことでいいんじゃないかな」
「やっぱりお前は可笑しい。頭が」
「失礼だな。君みたいな朴念仁こそ糖分取るべきだと思うけど」
「必要ない。ただでさえお前といるだけで甘ったるくて吐きそうなのに」
「君の足りないものを補ってやってんだよ、感謝してね」
「豚になれ」
「どういたしまして」

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