15.僅かに残った蝋燭の炎さながら

 法廷内の両扉が開かれ、傍聴人がぞろぞろと退出していく。憲兵によってエレンの拘束具は取り外された。後ろ手に縛られていた手の痺れと、痛みを軽減させるような仕草で手首をさすっている。

 そばに控えたままのリヴァイは手を差し出すこともなく、しゃがみ込んでいるエレンをただ見降ろしていた。僅かに残った蝋燭の灯火さながらのエレン。怒りは収まっていて、自分に降り注ぐ視線に怯えているのか瞳は床を彷徨っている。

 柵を超えたエルヴィンやハンジがエレンに歩み寄った。エルヴィンの差し出す手にエレンは手を伸ばし、やっとのことで立ち上がった。大方の傍聴人がいなくなり、寂しくなった法廷内を退出していく。

 背後の人間がいなくなって身動きできるようになった真琴は、口を一文字にして歩き出した。出口付近でだべりながらのろのろと歩く傍聴人を、邪魔だと言わんばかりに肩で押しのける。廊下の先を歩く調査兵団に向かって、つかつかと踵を鳴らして追う。
 制御できぬほど頭に血が上っていた。ひどい暴力をしたリヴァイが許せなかったのだ。利き腕が使えないことを口惜しく思い、左手をぎゅっと握った。

「リヴァイさん!!」
 廊下に響き渡るほどの怒声を上げた真琴は足を速める。後ろからの声に気づいたリヴァイとほかの調査兵が一斉に振り返った。揃って何事かという顔をしている。

 標的まであと二歩のところで拳を作った左腕を振り上げた。
 威勢よく振り上げられた拳に、リヴァイが一瞬、間の抜けた面様で唇を半開きにした。が、顔面に突き出されてきた拳をものともせず、巧みな手捌きで真琴の手首を捉える。

「信じられない女だ」
 掴まれた手首を手加減抜きで捻られる。うめき声を洩らすが、真琴は正面の彼を睨み続けるのを忘れない。
 ほかの調査兵は呆気に取られているようだ。同じような様相のハンジが指で眼鏡を押さえる。

「左ストレートか。やるね」
「この人って確か法廷で俺に……」
 支えられずに歩けるようになったエレンがぼそりと呟いた。

 真琴とリヴァイは睨み合う。
「俺を殴ろうとしたのか」
 掴まれた手首を引き上げられた。爪先立ちになったが真琴は逃れようと身を捩る。
「離して!」
「駄目だ。離した途端、殴りかかってくんだろ」

 突然のことで絶句していた面々がようやく自分を取り戻したようだ。
 もみあげから顎にかけて薄く髭のある、金髪で真ん中わけの大男がのっそりと近づいてきた。顔を突き出だして何やら鼻の穴を大きくする。と、リヴァイが反対側の肘で大男の胸許をどんと突く。

「こいつに近寄るな。噛まれるぞ」
 体躯のいい男はリヴァイが強めに弾いても二、三歩後退しただけに留まった。
「残念……」
 思いなし悔しそうな目顔で鼻下を指でさすった。

 興奮した頭で真琴は記憶を引っ張り出そうとしていた。たまに食堂や廊下で見かけるが、この男とは顔見知り程度で名前すら知らない。
 大男に向かってハンジが手を差し出す仕草をした。
「彼はミケ・ザカリアス。急に近寄られて気持ち悪かったかな、ごめんね。人の匂いを嗅ぐ変な癖があるんだ。こんなんでも分隊長なんだけどね」

 そういえば調査兵団内にとても鼻の効く人間がいると聞いたことがあった。壁外での野営地では、巨人の匂いを逸早く検知できるので重宝されているらしい。
 ひとたび嗅いだ匂いは一生忘れることはなく、目隠しされていても誰であるかが認識できるようだ。であればこの時宜に真琴の匂いを覚えられてしまうのは非常に具合が悪い。リヴァイがミケを弾いてくれて助かったといえる。

 ミケを紹介したハンジがやにわに眼を丸くした。
「あれ? あなたって、さっき物凄い剣幕でエレンに啖呵切ってたお嬢様じゃん」

 驚くハンジを視界に捉えつつも、真琴はリヴァイを殴ることを諦めてはいないのだ。が、腕に力を込めて顔面を狙うが、ふるふると痙攣するだけで、まったくと言っていいほど動かすことができなかった。筋肉は疲れを感じていて乳酸が溜まった感覚を伴っている。
(悔しい! 掠ることもできないなんて!)

 全身全霊をかけて真琴が力を振り絞っているというのに、リヴァイは涼しい顔をしていた。片眉を上げてハンジに流し目をする。

「お嬢様? ワンツーしてくるような奴のどこがお嬢様だ。平手打ちならまだ可愛かったが」
「そういやエレンの処遇について憲兵団よりの考えだったみたいだから、うちが預かることになってご立腹なのかな。その八つ当たり?」
「どうだかな。クソ女の考えてることは、いつもよく分からん」

 ハンジは眼をぱちくりした。
「知ってるような口ぶりだね。もしかして顔見知りなの?」
 黙っているリヴァイから勝手に知り合いなのだと結論づけたようだ。
「じゃあ係の者を呼んでくるほどじゃないか。しっかしリヴァイも隅に置けないな、貴族のお嬢様と相識だなんてさ」

 ハンジの後ろにいるエルヴィンが、彼女の肩に手を掛けて一歩前に出てきた。
「貴女の望んでいた判決ではなくて申し訳なかったが、我々にとっては吉と出た。効果的なカードを絶妙なタイミングで切れたのも、貴女がエレンを焚きつけてくれたおかげだ。礼を言う」
「エルヴィン、それじゃあ嫌味に取られてしまうよ」
 困惑顔のハンジが傍らで小さく失笑した。
「このぐらい言ってやらないとエレンの気がすまないだろう?」
 穏やかに笑い、エルヴィンは戸惑っているエレンの背中をぽんと叩く。「な?」

「あ、いえ。俺は別に」
 上目遣いでエレンはちらりと真琴を見てくる。眼が合い、気まずくて互いが逸らした。
 雑巾を絞るみたいに胸がおおいに痛んだ。雨降って地固まるとはいえ、何度も化け物呼ばわりされた彼は、おそらく傷ついているであろうことは明らかである。

 ハンジが肩を竦めた。
「確かにエレンの身柄は確保できたけど、いくらなんでもやり過ぎだったと思うな。結構本気だったでしょ、リヴァイ」
「――なぁ、エレン」
 いま思い出したようにリヴァイが口にした。からっきし悪く思っていなさそうな視線で見る。
「俺を憎んでいるか」
 一瞬痙攣してエレンは身を縮ませた。
「いえ……そんなことは。必要な演出として理解しています」
「ならよかった」

(なにがいいのよ!)怒りが腹から沸き立ち、真琴はリヴァイに向かって奥歯を噛み締めた。
 身長差のために曲げた両膝に手を突いて、ハンジが心痛な面様でエレンの顔を覗き込む。
「でも服は血で汚れちゃったし、顔だって痣だらけだ。歯も折れちゃったんだよ。口開けてみ」
 言われて大きく口を開けたエレン。口内を見たハンジが感心したようにひゅっと息を吸った。
「――生えてるよ」

 驚きを隠せない面持ちで、それぞれがエレンの口内を確認している。さすがのリヴァイも、真琴を拘束したままエレンに向けた視線を逸らせないようだった。
 失ったものが再生するのは巨人の性質を表していた。巨人になることはとても嫌だが、人間のときにもその恩恵が得られるのは、ひょっとして凄いことなのではなかろうか。まさに再生医学の先駆けである。

 姿勢を直したハンジは後頭部を撫でつけた。立ち話に飽きたような節がある。
「とりあえずは談話室に戻ろうよ。エレンの顔を冷やしてあげたいしさ」
 同感といった顔で面々が背中を見せて歩き出した。まだ手首を掴んでいるリヴァイが、真琴を睨みつけたまま背後に一言投げる。

「確か二部屋借りていたよな、エルヴィン」
「ああ、そうだが」
「一部屋使わせてもらう」
 少し離れた所からハンジが声をかけた。
「何に使うっていうのさ」
「このじゃじゃ馬を躾け直す」

 真琴は眼を見開いた。
「は、離して! イヤよ、あなたと二人っきりなんて!」
 逃れようと身体を大きく動かす。右手を挙げ、掴むリヴァイの手を引きはがそうとあくせくする。
「遠慮すんな。忘れられない思い出になるよう、たっぷりと身体に刻みつけてやる」

 ぽかんとハンジは口を開けた。
「ええ? お二人さんってそういう関係だったの? お嬢様は飼いならされてるわけ?」
「ち、違います!!」
 髪の毛を振り乱し、真琴は顔を真っ赤にして否定する。
「この人とは何でもないし、顔見知りに毛が生えた程度のもので、それ以下でもそれ以上でもないです!」

 やむなしという感じで溜息をついたエルヴィンが、ズボンのポケットから鍵を引き出してリヴァイに投げた。「受け取れ」
 顔を些か後方に傾け、飛んでくる小さな鍵を引っ掴むようにして彼は受け取った。キーホルダーの部屋番号を確認し、リヴァイは真琴を引っ張って来た道を少し戻る。鍵と一致する部屋のドアノブを握ったところで声が届いた。

「早く戻ってきてくれよ。エレンを引き取る手続きがまだ残ってるんだからな」
「調教による」

 エルヴィンに向かってそう言い置き、リヴァイは扉を開けた。
「入れ」
 真琴を押し込んで後ろ手に錠を掛ける。
「いやよ! 馭者を待たせてるから私帰らなくちゃいけないの! さようなら!」
 扉を背にしているリヴァイの隙間に瞬時に身体を滑り込ませた。解錠しようと手を伸ばす。が、その手も彼によって捉えられてしまい、両手を抑留されてしまう。
「ちょっとやめてよ! 帰るって言ってるでしょ!」

 談話室に据えられたソファまで引きずられるようにして歩かされた。ついと胸許を押される。
 半身を弾ませてソファに尻を着いた真琴は、反動を勢いにして立ち上がろうとした。素早くリヴァイが覆い被さってくる。
 片膝を座面に乗せ、両腕で真琴を挟み込んだ彼は背凭れに両手を突いた。

「さて、どういう躾が好みだ。エレンのような体罰がいいか」
「た、体罰じゃないわ! あれはただの暴力よ! あんなの許されることじゃない! まだ未成年の子供なのよ!」
 眼を細めたリヴァイが首を傾ける。
「俺に一撃を仕掛けてきたのはそれが原因か」
 怒ってます、という態度を何とか保ちながら真琴は唇を結んだ。

「なぜお前が怒る。エレンを殺したかったんだろう、行動に一貫性がない」
 上目遣いで微かに惑う真琴を見てリヴァイは一回瞬きをした。
「謀りやがったな。エレンを誹謗したのは故意か」

 動揺を見抜かれたために心の内を読まれてしまった。眼を逸らすが、すかさず顎を掴まれて無理矢理上を向かされた。
「あの男には何と言われた」
 あの男とはフュルストのことだろう。お手上げの心境で真琴は言い淀んだ。
「わ、私が喋ったって……言わない?」
 溜息をついてから、「ああ、黙っといてやる」とリヴァイが言ったから信じて口にすることにした。

「エレンを糾弾しろ――って」
「お前が糾弾したのはわざとだな。エレンを怒らせて俺たちを引っ張り出したかった。そうだろ?」
 こくんと頷いた。
「そうやってあの男はエレンを救いたかったのか?」
「違うの……、糾弾して死刑にしたかったみたい」

 何か言いかけて口を閉じたあと、リヴァイは思考するように視線を彷徨わせていた。少しして口を開く。
「何が目的だ。憲兵や貴族の豚共と違って、ただビビっているだけの玉とは思えない。裏でもあるのか」
「そんなんじゃないわ。きょ、巨人が怖かったみたいよ」

 さすがに目的まで言えなくて口を濁らせた。クーデターを企んでいると知られたら道連れで逮捕されてしまう。
 見放したようにリヴァイが短く息を吐いた。真琴の顔に清涼な吐息が吹きかかる。

 リヴァイからは、いつも爽やかなミントの香りがするのだ。清涼菓子でも常に食べているのだろうかと思ったが、この世界でフリスクみたいなものを見かけたことはない。ガムは存在するけれど噛んでいる様子もない。
(なのにどうしていつも清潔な香りがするのかしら)
 と物思いしていたら、掴まれたままの顎をリヴァイにほんの少し揺さぶられた。

「何を考えてる。あの男のことか」
「――え? ガムがね」
 ガム? とリヴァイが怪訝に見てきた。馬鹿な思考を恥ずかしく思って真琴は首を振る。
「なんでもないのっ」
「気に入らねぇ」
「何がよ」

 座面に突いているリヴァイの膝が少しずつにじり寄ってきた。彼の胸許に手を突く。
「やだ、ちょっと! 近いってば!」
「命令に逆らったくせして、なぜアイツと行動を供にするんだ。手を切れ」
「簡単に切ることができたなら、いまごろこんなことになってないわ」
「のっぴきならない現状ってことか」
 真琴はただ視線を流した。

「これは俺の勘だが、あの男は危険だ。普通じゃない」
「分かってるわよ、危ないところがあることも」
 眼差しが憂いを帯びる。
「だけど何か原因があるみたいなの、そうさせてしまう原因が。心の奥深い部分で何かを抱えているのは確かなの。だからひどいことされても心から恨めないのよ」

 地を這う低い語調が言った。
「ほぅ。ずいぶんとご執心のようだ」
 瞳を上げると、目の前にあたかも氷のような冷たい眼差しがあった。危なげな瞳に身を竦ませた瞬間、脱臼したほうの肩を強く鷲掴みされた。疼痛に震える声で呻く。

「――ッ」
「どうした。痛そうだな。右肩をどうかしたのか」
 頭を横に振り、真琴は歯を食いしばって痛みを耐える。
「どうもしてないわ。あなたの握力でこうされたら、誰だって痛いに決まってる」
「躾だからな、痛くないと意味がない」
 力のこもった親指で関節部分をぐりっと躙られる。たまらず悲鳴を上げた。「ああ!」

 首を僅かに傾けて、目と鼻の先までリヴァイが顔を寄せてきた。眼を丸くした真琴は咄嗟に顔を背ける。小さい舌打ちの直後、鼻周りでロータスの香りが揺れ動いたと思ったら、顎先に髪の毛が触れた。同時にピリっとした痛みと柔らかい感触が首筋を襲う。
 野方図に執着の印をつけられて身じろぎした。

「やッ」
「大人しくしていろ、はねっかえりが」
「そんなところ……っあとで困る」
「困らないところならいいのか」

 胸を突いていた真琴の抵抗の両手は脱力していく。男女が引き起こす妙な雰囲気に呑まれていくのが怖くて、何かにしがみついていたいからリヴァイの両肩に手を添えた。
 縋ってきたと思われただろうか、彼の腕が背中から肩に回ってきて軽く抱き込まれた。思わず反らした喉許に、つうと熱い感触が這い上がっていく。
「んッ」

 首回りの狭いシャツにリヴァイの指が触れた。釦を一つずつ外されていく。収まるものが収まっていない感じのしていく胸許を、真琴は慌ててたぐり寄せようとした。

「だめッ」
「首筋に跡をつけられたくねぇんだろう」
「だって」
「男の機嫌くらい取れって言ってんだ」

 邪魔立てするなとばかりに手を払われたが、それ以上胸許を解放するのは諦めたようだ。が、腹立ち紛れだったのだろう。背後に回された手で右肩を力任せに潰され、真琴は歯を噛んで眼を眇めた。
 女の曲線を隠す下着がちらと見えるくらいにはだけた胸許に、リヴァイが頭を埋めてきた。鎖骨下からやおら丸みを帯びてくる線に沿って、無遠慮な唇が辿っていく。

「怒ってるから? だからこんなことするの」
「分かってるなら黙ってろよ」

(あのときみたいに、どうして警告音が鳴らないの)
 そんなことを思いながら、ときおり漏れてしまう甘い響きを口にしないよう、真琴は自分の指を噛んで耐えていた。右肩はまだ強く掴まれていて激痛が走っている。一方で胸許に散る甘美な痛みが胸を疼かせてくるのだ。

 控えめな白のスカラップレースの下着はカップが浅い。艶をまとう赤い舌が下着と胸の境目を無礼に這い、丸みを潰していくのが見えた。ブラジャーで寄せているおかげで、はみ出している谷間がたわわだ。柔らかいから跡をつけやすいのか、幾たびも唇で吸われる感触がする。ふわふわと気が遠くなりそうだった。

 吐息混じりの唇に翻弄されて、真琴はソファの背凭れにくたりと頭を預けた。顎まで滑り上がってきた熱が一旦離れていき、気づけば揺れる瞳の先に群青色の眼差しがあった。
 口許に添えるだけになっていた手を取られて、背凭れに縫い止められる。

「どうした、眼がとろんとしてる。されるがままでいいのか」
「大人しくしてろって、黙ってろって、そう言ったから」
「嘘をつけ」
 色気づいた声に胸をきゅっと抓られて苦しくなった。
「すっかり酔い痴れやがって。まあ、稀に見せる従順は悪くないが」

 天敵もおらず、温かい海で気ままに泳ぐ熱帯魚の気分だった。甘く蕩ける脳髄では何も考えられず、近づいてくる唇に、ただ震える視線を落とす。

 距離が近すぎて焦点がぼやけたとき、ノックの音が談話室に響いた。
「リヴァイ〜まだぁ? 野暮だと思ったんだけどエルヴィンが早く戻れってさ」
 チョコレートみたいな甘ったるい雰囲気を一蹴したのは、ハンジの安楽な声だった。

 やる方ないような浅い息をついたリヴァイが、扉の外に向かって静かに声を上げた。
「いま行くから待ってろ」
 言って真琴に視線を戻したリヴァイは、悠然とした表情で眺めてくる。ぼうとしている真琴の頬を優しく叩いた。眼をしばたたいて見開いた真琴に訊いてくる。

「あの男はどうした」
「……先に帰った」
「一人で帰れるな」
「……馬車あるから大丈夫」
 そうか。とまだ微かな劣情が帯びる掠れ声で言い、リヴァイはソファに突いていた膝を降ろして立ち上がった。
「少しここで休んでいけ。そんな顔で廊下へ出れば豚どもに襲われる」

(どんな顔してるのかしら)
 羞恥が沸き上がってきて真琴は両手を頬に添えた。熱を伴っている。
 出口付近でリヴァイが振り返った。
「明日八時に食いもん用意して、旧市庁舎前の広場へ来い。遅刻するなよ。三十分前行動だ」

(え?)と口の中で言って顔を向けたときには、彼はもう部屋をあとにしていた。


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