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「なーに、ソレ」
「うおっ」

急にアテナの声が背後から聞こえて、慌てて俺はポケギアを伏せた。

「もう隠しても無駄よ、リゼって誰?」
「あー・・・んだよ、めんどくせぇ奴に見つかっちまった」

彼女??とニヤニヤ不快な笑みを浮かべながら茶化そうとするアテナに、俺はちげーよ。と愛想なく返した。

「じゃあ誰?アンタ妹いたっけ?」
「ブログ漁って、適当に釣った。女子高生」
「うっわ犯罪者じゃん」
「何を今更」

フンと鼻で笑って、リゼのブログを開いてアテナに見せる。

「ポケギア持ち・・・って何コレ?」
「要するに、構ってほしいんだろ。」

『ポケギア持ちです!持ってる人絡んで☆』なーんて書いてあるものだから、少しだけちょっかいだしただけだ。俺は悪くない。世の中誰が見ているか分からないネットワークの世界で、自分の素性を簡単に晒すこの女の子が悪い。勿論手を出す気は満々だから、最終的に一番悪いのは俺なんだけど。

「それで、明日会うわけだ」
「うわ、メールの内容まで盗み見してたのかお前!」
「悪い?」

先ほどまで開いていたメールの画面には、確かに明日の午前10時、自然公園で。と書いてあった。

「大事な任務の前なのよ、分かってる?」
「分かってるって、大事な任務の前だからこそ・・・な?」

分かるだろ?と、指でジェスチャーを作って厭らしく笑ってやると、アテナは最低!と呟いて、何処かへ行ってしまった。

「・・・ふう」

小さく溜息をついて、返信画面を開く。白い画面に、黒い文字と、気持ち少しの絵文字をつけて。

「『いいよ』・・・『楽しみ』、『だ』、『ね』っと!送信っ!」

特に意味がないのは分かっているけれど、ポケギアを高く掲げて、メールが送信されていく過程を見守る。送信終了の文字が浮かんで、俺は机の上にポケギアを軽く放り投げた。書類のクッションの上に落ちたソレは、しばらくもしないうちに、また再びメールを受信するだろう。

子供ってちょろい。

さて、午後の仕事が残ってる。片付けたら明日は久し振りにオフがあって、そしたら・・・プリクラで見せてもらったあの笑顔が、どう歪むのか。明日が楽しみだ。



killing time
暇つぶしには、丁度いい



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12/12/09


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