きすみー/リマセブ
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これとほんのり繋がってます。



七回目の、無性に憂鬱になる季節。
今日も雨が降ってる。
僕の気分みたいだ。

卒業式。

大広間には絢爛豪華な装飾が施され、全ての生徒がそこへ集まって各寮の長テーブルに座っていた。
僕は緑のテーブルに着いた。

長ったらしい校長の話など毛頭聞いていない。
眠くなるようなゆっくりとしたテノールが聞こえてくるだけ。
僕は背を丸めてローブのポケットに手を突っ込んだ。
顔をふと上げて、一番遠い寮のテーブルを見る。
すると鳶色の瞳と目があった。
向こうは少し驚いたように目を大きくし、それから微笑んだ。
ふい、と僕は目を背けた。























トランクをガタガタ言わせながら僕は廊下を不機嫌に歩いていた。






「先輩、卒業おめでとうございます」

何がおめでたいものか。
僕と同じ腕に痛々しい刻印が刻まれた後輩は笑顔でそう言った。

「とうとうイかれたか」
「ひどいですね先輩。」
「何がひどいもんか」
「可愛い後輩になんてことを言うんですか」
「誰が可愛い後輩なんだ」
「またまた」
「レギュラス」
「はい」
「……………」
「何ですか」
「僕は間違っているのか」
「………さあ」
「………」
「僕だって、自分の選んだこの道が正しいかなんてわかりませんよ。ただ、
親の、」
「そうか」
「そうです。」
「僕は………どうしてこの道を選んだのかわからない」
「………」
「まだ、わからない。いつか解る日がくるかな」
「………来ますよ」
「優しいな」
「別にそんなことないです」
「この選択が正しいと、言える日が来るといい」
「そうですね」
「またな、レギュラス」
「お元気で、セブルス」
「先輩をつけろ、先輩を」
「ははっもう卒業したじゃないですか」
「ふふっそれもそうだな」






そんな他愛ない戯れを終えて、廊下を歩く。
目指す先なんて特にない。
でも、さっさとこの学校から出たかった。

「セブルス」

ふいと呼び止められた。

「ルーピン」

目の前で立っているのは一番会いたくて、会いたくない奴だった。

「会いたかった」
「僕もだ」
「卒業おめでとう」
「お前こそ」

ぎゅうときつく抱き合う。
逃げないように縛り付けているとも言える抱擁。

「キスして」

そう言えば甘い優しいキスが降る。
前はこのキスによって幾度と泣かされてきたが、もう泣くことはない。

「言ったよな」
「何を?」
「いつまでも、何処までも一緒だと」
「うん。君を一人にはしない。」
「後悔しても知らないぞ」
「そんなことしないよ」

そうしてまた甘いキスをする。

「セブルス」












「いこうか」





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