プレゼント/ジェ→セブ 雪が深々と降り積もるクリスマスイヴ。
僕はとある雑貨店である人へ贈るプレゼントを選んでいた。
何色が好きかな、これがいいかな、あっちの方が好みかな、ラッピングどうしよう………
あのこの喜ぶ顔が見たくて。
きっとあのこはいらないと突き返すだろう。
でも僕は無理にでもプレゼントしてやる。
照れて赤くなった顔が浮かぶ。
これにしよう。
僕は小さな栞を選んだ。
赤のリボンが、緑の栞によく映えた。
猫のレリーフが施された可愛い栞。
猫は栞の中でにゃあと鳴いた。
「ジェームズ!何にやにやしてんだよ」
「えへへ、ちょっとね」
透明マントを脱ぐと同室にして悪友のシリウスが話しかけてきた。
「またなんか企んでるのか?」
「違うよ」
「ん?それなんだよ」
さっき買ったプレゼントがローブのポケットから覗いていた。
「これ?」
それをポケットから出して右手に持つ。
「これはね、ある人へのプレゼントだよ」
僕は彼の笑顔を想像しながらそう言った。
クリスマス、寮の暖炉の前にはたくさんのプレゼントの山が出来ていた。
僕は自分宛てのプレゼントにはめもくれず、ある場所を目指した。
彼に
彼に
早く会いたい
会って
会って
プレゼントと
この気持ちを
ああでも僕は知らなかったのだ。
まさか彼に想い人がいるなんてことを
それが自分の親友だと言うことを
親友の腕の中で幸せそうに笑う彼
彼の背中に腕を回し唇を重ねる親友
幸せそうな二人
鳶色が榛色を捕らえた。
不敵に笑った鳶色を見ることなく、
僕は走った
あの栞は何処へやったのか、
もう覚えていない。
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