「2年1組、苗字名前、今すぐ校長室に来なさい__。」
今日は良い天気だなぁなんて呑気に教室の窓から空を見ていると、何故か放送で呼び出し。お前何かしたのか?とニヤニヤと小馬鹿にしたような笑みを貼り付けて言う特別仲が良いわけでもないクラスメイトに、そんな覚えないし…と言い返しつつも不安になる私。
校長室に呼び出しとか、知らない内に何かやらかしてしまったんだろうか。
恐る恐る校長室のドアをノックすると、どうぞーと声が。失礼しまーすと目を泳がせながら入ればそこには学園長先生と、担任の木下先生といつものメンバーの5人の姿…。
『えっと…その…何でしょうか?』
多分、私の声は震えていたと思う。
学園長が、まぁそこに座りなさい、とソファを指差したのでビクビクしながらもソファに座った。
「よし、久々知兵助に尾浜勘右衛門、鉢屋三郎、不破雷蔵、竹谷八左ヱ門、そして苗字名前。全員揃ったようじゃな。」
「それで学園長先生、お話とは一体何でしょう?」
兵助が私達の今1番の疑問を代表して問う。
「それはじゃな……。」
ゴクリ、誰かが唾を飲み込む音がした。
「それは……、立海と交換学生を行う件についてじゃ!」
……は?って感じの空気が室内を漂う。でも本当、は?って感じなんだけれど…。
「交換学生、ですか…。」
へぇ、とか何で?とかもっと他に反応があるだろうに、私達の反応はああまた学園長の突然の思いつきか、と頭を抱えたり呆れたり。
「ていうか、立海ってあのマンモス校の?」
「なんで立海みたいな学校と大川が…。今まで交流なんてありましたっけ?」
いや、ない。と木下先生。いやだって立海って……立海かぁ……。
「でも俺ら、部外者と交流なんて真っ平ごめんなんですけどー。」
勘ちゃんが口元だけ笑ってそう言うと木下先生はそう言うのを分かっていたようで溜息を吐いた。でも他の皆も、私も勘ちゃんの意見には同意している。
実はこの学園のほとんどの生徒が元忍術学園の生徒。忍術学園で亡くなり、また大川平次渦正の名の元にあるこの大川学園で再会を果たすことのできた私達は前世での出来事のせいで外の者は信用できないという者達が多く、互いに依存するような形になってしまった。
勿論両親や家族は例外だし部外者と関わりたくないというのも私生活に問題のないレベルまでで、深く交流することが嫌というだけである。
生徒の交換なんて、絶対に外の人と関わらなくちゃいけないじゃないか…。
「まぁ兎に角、一週間後から頑張ってくるんじゃよー。お前達も少しは外の者達と関わらないと将来やっていけないじゃろう。良い機会だと思うんじゃがのう。」
片目を開けてそう言う学園長に、しょうがないと肩を竦めて顔を合わせた私達はその話に乗ることにした。