夫婦になった兄弟 | ナノ


▼ 49 デート

「どうしよ、どうしよ。どこ行けばいいの? 俺デートなんて初めてだから全然分からないよ〜」
「おおっ! じゃあ俺が優太の初デートを奪うのか、まあ最初で最後の相手だけどな、ははっ!」

すごいテンションの上がりようで信号待ちにぶっとい腕を組む兄。
兄弟で休日にデートなんてのもおかしいが、長身筋肉質な兄はTシャツジーンズというラフな格好でもスタイル抜群で様になっている。

キャップをかぶり財布しか持ってないのに、最近まで長だったからかオーラもあるし、隣の俺のひょろさと平凡さが際立つ。

「兄ちゃん。なんでそんなに嬉しそうなんだよ。マジでアイディアないよ。俺の代わりに決めてくれよ」
「いやいやお前の日だから今日は。俺三年間お前の近くいてやれなかっただろ? だから埋め合わせじゃないけど、これからはずーっと一緒に色んなとこ行きたい。何でもいいぞ?」

頭をくしゃっとやられ、屈託のない笑みを向けられると俺もじーんとくる。
優しさと気持ちを受け取った俺は、変な気負いをせず自然に身を任せることにした。

「じゃあ、えっと、俺普通のことがしたいな。兄ちゃんとラーメン食べに行きたい。あ、あと回転寿司も。焼き肉食べ放題とかーー」
「お前それ全部食べ物じゃねーか」
「だめ? 色気ない?」
「いや可愛い。よし、じゃあそれ一つずつやってこう。今日はラーメンと……どこ行く? 買い物? 遊園地?」

俺がまだ高校生だからか、財布は全部任せろと言って肩を組んでくる兄。
遊園地は時間的にあれだったので俺はある場所を提案した。

二人で駅のホームに入り、電車を待っていると兄が驚きの声を上げる。

「えっ? カラオケっ? お前歌うの嫌いじゃん。家族の前でもタンバリンに徹してたよな、小さい頃から」
「はは。それいつの話だよ。俺もうカラオケ好きだよ」

笑うと兄が目を見張る。なぜか若干ショックを受けたようだった。
俺達家族は両親がお堅い職業に見えるが、わりと皆歌うのが好きで昔はよくカラオケに行ったのだ。

「ええー。なんでいつの間に変わったんだ。その変化に立ち会えなかったわ、俺……」
「そんなに落ち込まなくても。友達ともよく行くんだー。とくに橋田なんか歌上手くてさ、一緒に何時間もやっちゃったよ」
「誰だよ橋田って。俺にも会わせろ。俺よりはうまくねーだろそいつ」

鋭い瞳と突っ込みが入ってくる。
ほんとに兄って負けず嫌いだなぁ。ただの男友達に闘志を燃やしてくるとは。

日本に帰ってきてから、友達とは頻繁にやり取りしている。俺が行方不明になり、もちろん親から連絡も行ったし異常なほど心配をさせてしまった。

夏休みだったためクラス内までは大きな騒ぎになってないことを願ったが、俺の親しい友人二人は必死に探してくれたというし申し訳なさでいっぱいだ。

後日会うことができるので、またゆっくり話そうと思う。

その後、電車に乗り移動した。首都圏に住んでいる俺達は隣の大きな街を目指す。
兄はバイクを持っていて普段はそれで移動することが多かったが、昨日は結構飲んだらしいので電車にした。

「なんか、嬉しいな。兄ちゃんとこうやって出かけるの。俺、ガキだったし七つも離れてるから、共通点もあんまりなかったもんね」
「まあ、そうだな。俺はお前とお出かけしたかったけどね。あ、でもコンビニ誘ったらよくついてきたよな。アイス目当てに」

確かにそうだった。優しい兄は小銭でなんでも買ってくれたっけ。
二人で懐かしい思い出に浸り、あの頃も楽しかったなぁと話す。

なんだかまったくデートっていう感じはしないけど、電車内の風景に兄がいるだけで嬉しいし感動的だ。
幸せはこんなところに隠れているのだと実感した。

その後、さっそくカラオケに向かった。
島での生活はアウトドア過ぎたため、こういう室内での娯楽も日本ならではで良いと思う。

四、五人用の広めの薄暗い部屋で、俺はソファに座った。
ドリンクを注文したあと兄が普通にすぐ隣に座ってくる。

「なーなんか食わね? ポテトと唐揚げにしよっか」
「ちょ、近すぎだよ兄ちゃんっ。あとで店員さん来るんだから」
「別にいいだろ。弟と近くて何が悪い」

膝がくっつきそうなほど詰めてくる兄を恥ずかしく思いながら、この人は基本的に言うこと聞かないと諦めて曲を入れた。

順番に歌うのが家族内でのルールだと兄も覚えていたようだ。

「うっわ〜お前めちゃくちゃ可愛い。そんな声してんの? なぁ動画撮っていい?」
「いいわけないだろ、やめろよっ」

茶々を入れられながら頑張って流行りの曲を歌いきると今度は兄の番だ。
昔はわけの分からない洋楽をシャウトしてた兄だが、俺に気を使ったのか邦楽のバンド曲を完璧に歌いあげていた。

「すごいな〜やっぱ兄ちゃん歌上手いね。ハスキーだし本人より俺好きだよ!」
「そう? お前すごい褒めてくるなぁ、調子乗っちまうぜ」
「あ、そうだ。そのバンド新曲出てるよね、それも歌ってほしいー」

俺こそ調子に乗り頼むと、一瞬二人ともしんとなった。

「あ! ごめん兄ちゃん、そんな歌知らないよね、今の忘れて!」

やばい、兄は三年間日本に帰れなかったのに無神経だったと焦りまくる。
しかし優しい微笑みとともに俺の手がふわっと握られた。

「ばーか。気にすんなよそんなこと。よっしゃ、家帰ったら全部覚えるわ。三年分ぐらいすぐ取り戻してやる」

これに限らずな、と笑う兄の強さが輝いていて更に格好よく見えた。
大きな手の温もりも意識してきて、急激にドキッとする。

「に、にいちゃ……」
「はーい唐揚げポテトご注文のお客様、お待たせ致しましたー!」
「ぅあぁあぁあ!!」

突然男の従業員が入ってきて俺は兄の手をぶん投げた。
お礼を言いテーブルを意味なく片付けていると兄がくつくつと笑いをこらえる音が聞こえる。

もうふざけんなよ。やっぱ外で近くにいたらやばいだろ。

ハプニングに心臓が悲鳴を上げながら、時おり兄のべたつきを交わし俺はなんとかカラオケを楽しんだ。

三時間ぐらい経ち、昔よく来たラーメン屋にも向かった。
俺よりも兄のほうが高校生の時と大学の授業後にも通っていたようで、そこの店長には顔を覚えられている。

テーブル席で注文を取る際、顔を二度見されて驚愕された。

「……えっ? 君、夏山くん……だよな?」
「ああ、はい。びっくりしましたか。生きてたんですよ俺」

兄が気まずそうに微笑み挨拶すると店長は開いた口が中々閉まらなかったようだった。当時福澤さんに事情を聞いていたそうで、絶望していた彼を周りの仲間同様ここで励ましご馳走してたりもしたそうだ。

「いやー、びっくりした。でも本当によかったよ。そうだ、生還を祝して餃子二皿おまけね!」
「え、いいんすか? 太っ腹だな店長、ありがとうございます!」

俺達は思わぬサービスに喜んだ。彼も優しい人で深くは聞いてこなかったが、こういう事はこれから兄に頻繁に起こるだろう。
本当のことは勿論話せないから心苦しくもある。

大盛りラーメンを二人で食べたあと、お腹は満足に店を出た。
もう夕方近いから、あとは少しお店を見たりぶらぶらして帰ることにした。

帰り道、電車に乗る前に兄が俺に声をかける。

「優太。公園寄ってくか」
「うんっ。俺ジュース買ってくるね。兄ちゃんは座ってて」

せめてものお礼にと素早く駆け出したが、兄は心配だからとついてきた。
夕暮れの空を正面に、人の少ないベンチで自然に囲まれ風景を眺める。

「今日楽しかった?」
「うん! すごい楽しかったよ。ありがとう兄ちゃん」
「よかった。俺もだよ。ほんと、帰ってきてよかったわ、お前と」
 
しみじみ語り、肩を寄せてくる。
周りに人もいないし、俺も頷いてちょっとだけ肩を預け休んでいた。

「なんかさ、懐かしいね。島の皆、元気かな」
「おう。エルハンとか新しい奴もな。ラドとかは元気だろ。あと先生達も」

笑いながら会話をする。まだ帰ってから間もないが、皆の名前を出して二人で振り返ったのは初めてだった。
別にタブーになってなくて密かに安心する。

「すごい体験だったけど、俺もよかったなって思う。また兄ちゃんと一緒だし」
「そうだな。優太とこうなれたのは大きすぎる収穫だなー」

軽やかに言うがまた甘い雰囲気を勝手に出してくる。
帽子を取って髪をかき上げ、見つめられるとドキドキが止まらない。

恋人同士ならここでキスしてもおかしくないかもしれないけど、俺達違うしな。好きとは言ったけど。

「あー今すぐキスしてぇー」
「は、はぁっ? なに言ってんだよ、い、いきなりっ」

以心伝心してしまったのか声が裏返ってしまった。
俺は恋愛経験がないため、そういう欲求と恋の違いが未だによく分からない。
というかこれって、恋なのか?

好きだしデートも楽しいけど、兄弟って恋人になれないんじゃないかな。

「おい。そんな黙りこくるなよ。何考えてんの優太」
「んっ? なんでもないよ。もう帰ろっか、兄ちゃん」

俺はすくっと立ち上がり顔の汗を隠した。
兄も隣に立ち、俺の頬にふと手を伸ばそうとする。

するとスマホの音が鳴った。兄のポケットからだ。

「母さんだわ。ちょっと待って。ーーもしもし? どうしたの」

親と話す兄をちらっと見上げる。
日に焼けた肌の、太い首の喉仏がすごく色っぽいし格好よく見える。

俺と兄ちゃんは島ではあんなにイチャイチャ?してたけど、やっぱりここではそうはいかないな。

「うん、優太もいる。え? デートだよ。俺と」
「……ちょ! バカ兄貴っ、やめろぉ!」
「うぉぉ、おま、腕にぶらさがんなっつの、軽いけど」

笑ってあしらわれる俺だが、やっぱこの自由奔放な兄にはついていけない。
兄ちゃんはああ言ってたけど、パニクってるのは俺だけのような気がする。

「優太。母さんと親父帰ってきたって。焼き肉らしいぞ。もう少し夜になるけど、食える?」
「ほんと? 食べる食べる!」

単純な俺は喜び、もう元に戻った。
悩むことはたくさんあるのに、家族団らん出来るのはやはり嬉しい。

結局俺達二人のお出かけはそこで幕を閉じ、二人で仲良く家へと帰った。




自然に囲まれた丘にある一軒家に帰宅すると、確かに二つの車が停まっていた。なんだか秘密のデートの後だから少し緊張する。

俺達は身支度をまた整えてリビングに向かった。
二人はもう軽く晩酌をしていたらしいが、俺達二人がいないことがまだそわそわするのか、揃って出迎えてくれた。

「おかえり〜。ああよかった、また消えちゃったかと思ったじゃない。ねえ貴文くん」
「はは。大丈夫だよ、ちゃんと置き手紙あっただろう? 翠」
「え? そうだっけ? あっ、啓ちゃんまた冷蔵庫に貼ったね、テーブルとか見えるとこに置いてって言ってるでしょっ」
「はいはい。ごめんごめん。でも一番分かりやすくね? 何回も開けるし」
「もーそれあなただけだからね!」

いつもの騒がしいやり取りが懐かしく、じーんとくる。
皆もそうだったようで、自然と笑みがこぼれる雰囲気だった。

二人に混じり、俺達も美味そうなお肉に舌鼓みを打つ。大人は皆楽しくビールも飲んでいた。
俺達はカラオケに行ったことや服を見たりしたこと、食事も楽しんだことを伝えた。

「へえ〜よかったね優ちゃん。お兄ちゃんと久しぶりにお出かけして」
「うん。何でも奢ってもらっちゃった。また行くんだ、ねっ兄ちゃん」

笑顔で隣を振り向くと、兄はほろ酔い顔で瞳をにっと細めた。

「あー、なんでそんな可愛いの? お前って。絶対行こうな、また二人っきりで。よしよし」

すごい甘い声を出されて頭を撫でられ、俺はつい鳥肌が立つ。
二人の時なら素直に嬉しかっただろうが、親の前でも態度の変わらない兄に血の気が引いた。

「ふふ。啓司の弟好きは相変わらずで僕も安心したよ。二人とも、さらに仲良くなったみたいだね」
「は、はは。あっお父さん、タン焼けたよ。あげるね、はい三枚!」
「優太ぁ、兄ちゃんには? 親父ずりぃ、もっとちょうだい」
「兄ちゃんタンあんまり好きじゃないでしょ、じゃあ脂たっぷりのロースね、はい!」

黙らせるために鉄板から根こそぎ肉を兄の皿に盛り付ける。
この人どうしちゃったんだよ。まるで隠す気がないのが恐ろしいが、普通だと思っている両親もおかしい。

兄は気が緩んでるのか単に楽しいからか、結構お酒が進んでいた。

「そういえば、二人が行っていた島のことなんだがーー」
「ちょっと貴文くん、それは今度って言ったじゃない。今はゆっくり休んでって」
「あ、そうだったね。ごめん。つい僕の職業柄、気になってしまって」

父が眼鏡を直しながら、申し訳なさそうに微笑む。鼓動が少し跳ねたが、仕事熱心かつ家族への情熱が強い父は、きっと色々独自に調べようとしてくれているのだろう。

でも真実に当たることはやはり言えなくて、ぼんやりと濁すしかなかった。

「でも本当に嬉しいわ。皆でまた仲良く暮らせて。そうだ、今度休み取ったら旅行でも行こうね。家族四人で」
「うん! そうしよう、俺楽しみ〜兄ちゃんも?」
「当然。優太と旅行かぁ……島ではあいつに先越されちまったからな、とびきりすっげえ所に連れてってやるぜ」

にやりと横目に見られるが、いや家族旅行なんだけど。
心で突っ込んでる間に父と母の視線が向けられる。

まずい。兄ちゃんさっきから変なことばかり言っている。
俺は適度に食事をしたあと、早めに兄を部屋に持っていくことにした。

本人は楽しんでいるが、たぶん昨日も夜遅くまで飲んでいたからキャパが越えたのだろう。

「お父さんお願い。俺には重いよ」
「うん、分かった。啓司、しっかり立って。ほら部屋に行くよ」

兄の腕を首にかけ、体を支えて一緒に部屋に向かってくれる父は、兄よりも少し背が高く、すらっとしている。
こう見えて武道にも精通していて、兄の鍛練系を叩き込んだのは全て父なのだ。

「兄ちゃん、おやすみ。布団ちゃんとかけてね」
「うー……まて、一緒に寝る約束は……」
「はは! 何寝ぼけてんだろこの人。じゃあねっ、あったかくしてっ」

俺は兄の声にかぶせるように喚き、急いで部屋を出た。
もうそのまま自室に戻ろうと思い、父にもおやすみを言おうとした。

しかし、父は俺とちょっと話がしたいと言い、驚きつつも部屋に招く。

高校生一人には十分な広さの角部屋で、長身の父がベッドの俺の隣に腰を下ろす。
なんだか真剣な面持ちで緊張が走った。

まさか……バレたんじゃ……禁断の関係が。

「ど、どどどうしたのお父さん。話って」
「ええと……実は優太。君に尋ねたいことがあってね。この、腕輪のことを聞いてもいいかな…?」

父が振り向き、窓際の棚にあるケージャコーナーを目に留めた。
俺はびっくりする。
でもすぐに思い至った。今まで何も聞かれなかったけど、そもそも到着時に俺がこんな高価そうで不釣り合いの宝石を身に付けていたら、親は心配するだろう。

「それだけじゃないんだ。僕は考古学という学問に携わっていて、普段、貴重な宝石や遺物を調査することもある。……しかし、この石は今まで目にしたことがない輝きを放っているというか……とにかく聞かずにはいられなかったんだ。どういうものなのかーー」

父の話を理解し、考えた。
当然といえば当然だ。この碧の石は異世界に存在するもので、俺ですら本当のところはその希少価値がどれほどのものか知らなかった。

俺は正直に父に話すことにした。本当の経緯はケージャに関わることだから、それは伏せておいたが。

「ええとね、つまりこの石は長になった兄ちゃんが手に入れて、俺のために贈ってくれたものなんだよ」
「……そう、なのかい? ではこれも伝承に必要な物質というわけなのかな」
「う、ううん。これは完全に個人的なプレゼントで……兄ちゃん俺と一緒に帰るために頑張ってくれたし、その……とにかくすごい兄弟の絆が深まってて……それで結果的に帰れて…」

どんどんしどろもどろになっていく。
夫婦の伝説だけは死守しなければ。親からしたら意味不明だろうし。

俺の必死な説明をどう思ったか分からないが、父はひとまず受け入れてくれた。
だがふいにお願いをされる。

「優太。君がいいと言うのならば、なんだけど……もしよかったら、この石を調べさせてくれないか? もちろん僕以外の人間には触れさせないし、傷つけたりもしない。外から簡単に成分を調べるだけだ。それに君も一緒に見ていてくれていい。どうかな…?」

俺はよく考える。
父の言うことならば信じられるし、石もたぶん何も起こらないだろう。
精霊力も全て取り除かれて、ここは普通の世界だし、元々特別だが今はごく普通の精霊石であるはずだ。

「わかった。大丈夫だよ。簡単な検査だけなら。でも一応俺も行きたいな」
「ああ、もちろんだよ。じゃあ来週、一緒に研究室に来てくれると嬉しい」

父に礼を言われ、俺もしっかりと約束をした。
それからも少し二人で話をする。

「優太にとって、この石はとても大事なものなんだね。啓司もすごいな、別の世界でこれほどまでの品を君にプレゼント出来るようになるとは。……きっと、相当な苦労をしたはずだ。年月以上のね」

その温かい言葉に引き寄せられるように顔を見上げる。

「お父さん、信じてくれるの? 俺達の話」

聞いといてなんだが驚きを隠せなかった。父は穏やかに笑みを見せ頷いた。

「うん、信じるよ。大事な息子二人が臆することなく伝えてくれた物語だ。君達の表情と、確かな成長からも僕は疑うことが出来ない。お母さんも同じだよ。二人が頑張って手を取り合い、家族のもとに帰ってきてくれたのだと信じている。ありがとう、優太」

頭を撫でられて俺は涙が吹き出した。
つい胸にどんっとすがりつく。優しい父でよかった。母でよかった。

「お父さん〜っ……」
「はは。もう大丈夫だ。僕たちがいるからね。何も心配いらないよ」

やっぱりこの人は兄ちゃんの父でもある人だ。体も大きいけど安心感がすごい。
本当のことを一生言えないつらさは確かにある。
でもいつもどんなときも、確かに俺達を見守ってくれている存在なのだ。



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