▼ 34 相談事
「部族長、まったなー!」
「ああ。きちんと宿題するんだぞ、お前達」
「うん! 部族長に教えてもらったから大丈夫だよ!」
子供たちと別れ、下校途中の砂利道で手を振る兄ちゃん。
記憶の中で、さっそく島の学校に通っている姿が映し出された。
立派な体格をした実際は大学生の兄だが、長として日々狩猟や部族会合を仕切りながら、夜は広くなった自室で黙々と教科書を開いている姿は、新鮮で胸をうたれる。
リュックを背負った半裸腰巻き姿の兄は、広場を通りかかったときエルハンさんを発見した。
何やら一人で少しうなだれるように腰かけている。
「どうした、エルハン。元気がないのか。お前は少し働きすぎだからな、休むがいい」
「……あっ、ケージャ様。いえ、とんでもございません」
すぐに立ち上がり礼をしようするが、兄は制して座るように促した。長と側近同士、束の間の個人的な休憩らしい。
兄はエルハンさんに何か悩みがあるのかと尋ねていたが、彼は頑なに首を振っていた。
「私は本当に大丈夫ですから、ケージャ様。それより貴方は、長の仕事はいかがですか。学業も忙しいですし、お疲れなのでは」
「ふふっ、俺は何も問題ない。お前の引き継ぎは見事であったしな、これほど頼りがいのある相棒がいるのだ。恐れるものはないぞ」
兄が自信げに笑むと、彼は感激に目を潤ませた。
「しかしな……実は俺にもひとつだけ悩みがあるのだ。聞いてくれるか、エルハン」
「は、はい! 私でよければ何でもーー。えっ? 未来の奥方様のことですか?」
「ああ。どのような準備をすれば喜ばせてやれるのか、分からなくてな。俺にはそういう洒落た感性がないのかもしれん」
男二人で頭を抱える。はやる兄の気持ちに俺まで照れくさくなる。
「申し訳ありません、部族長。私もまったくそういった心遣いができる男ではなく……ああ、どうしたらいいのだろう……そうだ、ラドに尋ねてはいかがですか。あの男は派手な外見ながら中々に紳士的で、女性の扱いも上手ですし、ロマンに溢れた性格をしています。ちなみにルエンはそちら方面が乱れておりますのでお勧めはしません」
きっぱりと部下の顔で提言してくる側近に、兄も腕を組んで頷いている。
「ほう。それはよいな。しかし俺の相手は年下の男なのだが、奴は助言できるだろうか」
「はい、問題ございません。島の男は皆、慣習として経験がありますから。一部の者をのぞいて…」
エルハンさんの表情が一瞬曇ったのが気になるが、答えを得た兄は安心したようだった。
驚くべきことに、兄といまや親友であるラドさんを結びつけたのは、元々親しい友人同士であった側近の彼だったようだ。
こうしてある日、兄は島の港に停泊している大きな貨物船に向かった。島と外国の交易を担当し、日々働いているラドさんに会うためだ。
まず出迎えてくれたのはいかにも島の男といった風貌の日焼けした男だった。
「やあ、部族長。様子を見に来てくれたのか。船の状態は万全だよ」
「それはよかった、船長。次の出航は来週だったな。安全な航海を頼む。ところで、ラドはいるか?」
「ああ。うちの坊主ならあっちの甲板にいるよ。あんたに会いたがってたぞ」
友好的に笑い方向を示され、兄に続き俺も歩いていった。
木造の船は広く大きな帆が風にはためいていて、まるで海賊にでもなった気分になる。
ああ俺もせっかく島にいるんなら船に乗ったり、そのまま外国にでも遊びに行くのもいいかもしれない。
そんなのんびりしてる時間はないのは分かってはいるが。
「……ん? ケージャ! 来てくれたのか!」
こちらに気づき、手を大袈裟に振ったのは派手な色の着物を着崩した金髪ドレッドヘアの男だ。
「ラド。急にすまんな。お前に話があるのだ」
「おお、なんだ? 俺はいつでも歓迎してるぞ。お前の長の就任式には航海で出れなかったからな。なんでも話してくれ」
フレンドリーな異国人が兄の背中をばんと叩き軽快に笑っている。
そして兄も軽く世間話をしたあと、遠慮なく彼に恋愛相談を始めた。
「なるほど、未来の奥方殿をどう迎えるかか……今からそんなことを考えるとは、お前は真摯な男だな。まだ三年もあるじゃないか」
「それは承知しているが、三年は長いようで短い気がする。俺は早く妻にふさわしい男になりたいのだ」
目線を下に落とす兄を、ラドさんは青色の瞳でじっと見つめた。
「自信がないのか? ケージャ」
「……俺は記憶が取り戻せていないのでな。島の皆は力になるが、確固とした自分をまだ探している状況だ」
手を組みながらそう語る兄ちゃんは、珍しく素直な気持ちを吐き出しているように見えた。
「気持ちは少しわかるぞ。俺も小さい頃に船乗りだった親父が亡くなって、この島に里子に出されたんだ。島の中で唯一の異国人だったから、馴染むのに苦労したよ」
二人が語り合う。兄は所属の分からない自分と、初めは孤独だったラドさんに共通点を感じたようだった。彼は幸運にも里親家族に恵まれ、成長するにつれて居場所を見つけたらしい。
さきほどの船長が親戚の人で、実の父親との繋がりでもある船関係の手伝いをさせてもらえたことから、日々の生活のやる気にも繋がったのだろう。
「周囲の人間も重要だが、何かモチベーションになることがあるのはいいことだよな。ケージャ、きっとお前にとっては奥方殿がそうなのだろうな」
にこっと笑んで兄の肩を叩く。すると兄も噛み締めるように深く頷いていた。
「その通りだ。正直長の職務と同じぐらい、俺はすでにその者の存在に心を占められている。だからお前が経験豊富だと聞いて……ラド、今想い人はいるのか?」
「ん? 俺か。ああ、いるさ。彼女は外国に住んでいるから、遠距離だけどな。交易の度に会っているんだ」
衝撃の事実に俺は驚愕しながらも、ラドさんは美男子だし島の外でもモテるのだろうと納得する。
その恋人の写真を見せられ、兄も「やるな」と称えていた。
「ところで、島の慣習について聞きたい。エルハンは堅い男でな、この手の話を深くしたがらないのだ。ラド、お前も男と関係を持っていたのか」
直球でとんでもないことを聞く兄に俺は咳き込みそうになる。
しかしラドさんは動揺もせず楽しそうに話してくれた。
「ああ。それか。俺もあまり自分のことについては話したくないんだが、お前は特別だ、教えてやろう。実はな、俺もその男同士の慣習に世話になったことがある。相手は一人だけだが……お前も会っただろう? この船の船長だよ」
え、ええー!!
俺は一人口をあんぐり開け赤面した。
しかし兄は興味深そうに聞いていた。二人は甲板で身を寄せ合い、内緒話をしている。
聞き耳を立てていると、異国人であるラドさんが慣習に参加した目的は、精霊力であったという。
あのラウリ君ではないが、島の男ならば普通に持っているそれが当然ラドさんにはなく、皆に後ろ指を指されないためにも、少年時代から強く欲するようになったそうだ。
「だから恥ずかしかったが、船長に頼んだんだ。無駄だとは言われたが、試してみると、なんと俺にもしだいに精霊力が備わった。そういうわけで今この俺も島の男として、南地区の統括者になるのが認められているんだよ。ドラマチックだろう?」
少年のように目を輝かせている。
彼に力が備わったのは、世界の人のおよそ20%にある魔力の素質がまったく無かったことも良いほうに作用したのではと、あとから長老に聞いたらしい。
「ほう。誠に面白い話だ。……だがラド、あの船長と交わりを持ったのは過去の話なんだろう? お前、好きになったりしなかったのか」
「はは、それはなったよ。何もかもに憧れて目指す男の像が、快感や安らぎ、全てを与えてくれるんだ。すごく好きだったし、今でも特別な存在だ。だが彼は結婚して子供もいる。男は皆そうなるのさ。そういうものなんだ」
懐かしい眼差しで船の反対側にいる船長を見て、ラドさんは笑った。
「そうか……お前は多くの大事な経験を経てきた男なのだな。話してくれてありがたい。……俺も何か自分のことを教えたいのだが……」
兄は記憶のことになると切なげな表情になり、胸が痛む。
だがラドさんの温かい視線は悠然と包み込んでくれていた。
「ケージャ。過去に囚われなくてもいい。この俺の目の前にいるお前は、他の誰でもないお前なんだよ。思い出話なら、これから一緒にたくさん作っていけばいいじゃないか。俺は冒険や伝説が大好きなんだ、だからいくらでも付き合うぞ。なっ?」
兄の褐色の髪を昔からの友人のようにくしゃくしゃと触る。
神経質なとこがある兄も邪険にせず、好きにやらせていた。
俺はこの二人の友情が始まった瞬間を垣間見た気がした。
「そういえば俺も気になったんだが。ケージャ、お前こそ相手が少年であることは大丈夫なのか?」
「ふっ、大丈夫だ。それは問題ない。俺も少し不思議な時があるのだが……黒髪の少年という形容が、なぜか俺の心にすとんと落ちてくるのだ。親しみを感じるというかな…」
首を傾げる兄ちゃんの目は、やたらと嬉しそうに細められる。
もしかしたら無意識に、俺のことを思ってくれているのかなんて、少しだけ希望的に感じたのだった。
◇
結局、未来の妻への準備は己を磨くことから始めようということになったらしい。その後も恋愛話はラドさんとよくしていたそうだが、一方でケージャは、長老一族の家族の問題にも直面していた。
また記憶の映像が新しくなり、そこは島の集会所内の廊下だった。
兄が歩いていると、地区では見慣れぬ黒い腰巻きをつけた全身入れ墨の男を発見する。
ガイゼルだ。しかも隣には小さいラウリ君もいて、肩を奴に抱かれている。
「……ん? お前、何をしている。そいつはエルハンの弟だぞ。気安く触れるな」
正義漢の兄が後ろから忠告をすると、黒髪オールバックの奴が振り返った。少年も気付き、慌てて頭を下げている。
「ああ? こいつはもう俺の召使いになったんだよ。お前に口出しされる筋合いはねえ。なあラウリ」
「は、はいっ。部族長。ぼくは今日からガイゼル様のもとでお世話になるのです。なので心配しないでください」
「……なんだと? 心配に決まっているではないか、俺は長だぞ。お前のような年端のいかぬ子供とそこの不良統括者では、見た目も精神も釣り合わんだろう。ラウリ、家族と長老は許可したのか?」
長のもっともな指摘に彼が言い淀む。今は相談中と話し、その場は強引なガイゼルが少年を連れ去ってしまった。
ケージャは不審に思い、その足で長老室へと向かう。
するとすでに一家がそろっていた。木目張りの室内の丸テーブルに、父のゴウヤさんと兄のエルハンさんが深刻な面持ちで席についている。
「おお、ケージャ。お前も呼ぼうと思ってたんじゃ」
「ムゥ婆。さきほどラウリがガイゼルと一緒にいるところを見たぞ。放っておいていいのか」
「ふむ。ちょうどそのことを話し合っていたのだよ」
のほほんとした長老に対し兄の眉がぴくりと動く。
大事な孫であるという話を痛いほど聞いていた兄であるから、余計に変に思ったようだ。
「ラウリがのう、なにやらガイゼルに惚れてしまったようでな。西地区にて仕えたいと申し出てきたのじゃ。なあに、ワシも可愛い孫の頼みだからな、修行と思って聞いてやろうと思っておる」
その台詞を聞いてなぜか先にばんっ!と机を叩いてキレたのは兄ちゃんだった。
「あいつは教育によくない! 俺に女をあてがい罠にはめようとした輩だぞ! ……エルハン、お前は何も思わねえのか、大事な弟が……ッ」
急に荒い言葉使いになった兄をおかしいと思うと、エルハンさんも兄の異変を感じ顔を上げた。
「部族長…? どうされましたか」
「いや、……なんでもない。すまん、つい興奮してな。とにかく…心配ではないのか。俺だったらあんな奴のそばには置かんぞ」
見据えられたエルハンさんはまたあのうつむきがちな表情になった。兄もぴんときたようだった。
「お前は知っていたのだな。ラウリが奴に近づいていたことに。だから元気がなかったのか」
「……はい。ですが本人が強く希望しているので、私にはどう言えばいいのかーー」
彼は悔しさをこめた眼差しで考えるだけだった。
ゴウヤさんもそんな息子の様子を見て肩をさする。
「俺もな、あそこまで自分の意思を表すラウリを見たのは初めてだったんだ。……正直、あいつはこのままこの地区にいても自分の殻を破れないのかもしれない。男として精霊力がないというのは、生きづらいことなんだ」
しみじみと語り合う親子の背中は、どこか寂しげにも映った。
「心配するな、お前たち。だいたい家族が腫れ物に触るように接してどうする。そんなお前たちの心を感じ取っていたから、あやつも居心地が悪いのかもしれんぞ。ラウリは大丈夫じゃ、西地区にもワシと通じるシャーマンがおる。呪術の鍛練はこれまで通り出来るしな、それにガイゼルはそこまで悪い奴ではない。ああ見えて人情深い奴じゃよ」
ほっほっほといつもの笑いを交えて祖母が口にし、なんだか不思議と説得力を感じた。
二人もそうだったのか、いくらかの安心を与える長老の言葉でその場は最終的に、ラウリ君を西に送ろうという話にまとまった。
「それとな、家族にだけは言っておくか。ラウリは三年後の伝承の儀式に必要となる。ワシの力の補強だ。だから西地区に隠しておく意味合いもあるのじゃよ」
兄が再び最も強く反応をした。
「なっ! どういうことだ? 俺やエルハンのそばよりもあいつのほうが安全だということかっ?」
「そうは言っておらん。お主の未来の妻が来るまでの間、そのあとのことも含め、今から万全を期すということじゃ」
意味深に告げる長老に皆は息をのみ、もう誰も反対意見を言えなくなった。
俺は今ならば分かる。ムゥ婆は兄を蘇生するために力を半分失ったと言っていた。それは想定外のことだったのだろう。
そして三年後にはまさかの弟である俺が妻としてやって来るのだ。
この伝承はわりとイレギュラーなことばかりが現に起こっている。
不測の事態に備えて長老が色々と準備をしようとするのは、もはや理解ができることだった。
話し合いが終わり、兄はエルハンさんを自室に呼び出した。
夜風が通り抜ける涼しい高床式住居で、二人が杯を交わしている。
きっと兄なりに、側近の彼の様子が気になったかもしれない。
「エルハン、寂しくなるな。俺は実の家族の顔を知らんから想像でしかないが、きっと離れて暮らすというのは胸が痛むことだろう」
酒をつぎながら話しかけられ、エルハンさんも静かに口に含んだ。
「……ケージャ様。私は本当は、偉そうに反対できる立場ではないのです。もちろん血の繋がった大事な弟ではありますが、私は昔から、ラウリとどう接していいのか分からず……」
彼は心の内を語り始めた。
小さい頃はよく面倒を見ていたそうだが、10個も年の離れた兄弟だ。彼らの母親が亡くなった頃、少年のエルハンさんは幼い弟にまったく精霊力がないことを知った。
それは想像以上に衝撃を与え、自分とは違う異質な存在に感じたそうだ。長になるという預言を祖母から受け、プレッシャーを感じながらも強い意志で特訓する兄の自分。
だが弟のラウリ君はまるで女子のように呪術を学ぶ教育を受けてきた。シャーマンとも名乗れないのに。
「そんな弟を、私は恥ずべきことに歪な存在だと思っていました。長になってからです、本当の意味で受け入れられるようになったのは。ラウリは私に気を遣い、手紙をくれました。真に心を開いてこなかった兄に対し、罵詈雑言が書かれているのかと私は恐れました。しかしそこには、私へ「ありがとうごさいます」と礼の文字が……長になった兄への憧れと祝いの言葉が記されていたのです。自分のことばかり考えていた私とは違い、弟は……」
涙をにじませるエルハンさんが切々と語る。
「幼いながらに祝いの席に一筆したためるとは、立派な男児に成長したではないか。エルハン、何も悔やむことはない。お前の弟は自らの考えで行動できる男だ。どんな性質であろうが、何が足りなかろうが、自分の道は己で決める。それが生きる上で大事なことなのだから」
あぐらをかいた兄が一点を見つめ、まるで自分に言い聞かせるように口にする。その言葉は側近の心を確実に動かしていた。
「だがやはり、俺はガイゼルには懸念がある。不当な扱いを受けぬよう逐一見張らせよう。そうだ、仲介役にはルエンが打ってつけだな。結束を強めるためにも、地区同士の会合の場を一層設けるぞ」
「……はいッ。ありがとうごさいます、ケージャ様」
固く頷き合う男達の晩酌は、それからもしばらく続いた。
真面目なエルハンさんがふと切り出す。
「貴方が長に就任してからはや二ヶ月ほど。お忙しい時期に私共の問題に頭を悩ませてしまい申し訳ありません。ーーところでケージャ様。ラドとのお話は進みましたか? 奥方様へのご準備などは……」
「ああ、それがな。まだ考えている最中なのだが……一番最初に出来ることとして、二人の愛の巣は早めに取りかかろうと思っている」
「愛の巣……なるほど、お二人のご住居ですね、素晴らしい! 何か私にできることがあれば何なりと仰ってください」
「いいや、ありがたいがこれは俺の力でやろうと思っているのだ。未来の妻が気に入るように、色々な案を盛り込みたい。今から取りかかれば間に合うだろう」
えっ。良い話の最後にとんでもない事実が舞い込んできた。
兄ちゃん、あの離れ自分で作ったのか?
そんなにも俺のことをーー。
感涙しそうになっていると、妻の話でテンションが上がったのか兄が楽しそうに未来を描き出す。
別室から青色の蔵書を持ってきて、エルハンさんに見せた。
「あっ、部族長、それは私などが見ていいものではーー」
「ふふっ、水くさいことを言うな。お前は信頼に値する俺の右腕だ。……そうそう、ここまでは読み上げたのだが、最後の項目が分からなくてな。なに、日々学んでいるのだ。もう少しで解読するぞ」
鼻歌まじりの兄の一方で、エルハンさんが伝承の古代文字を見て青ざめる。
「どうした? 様子がおかしいぞお前」
「い、いえ、なんでも」
口を閉ざそうとする側近を怪しく思い、兄が問い詰めた。すると彼は観念する。
「分かりました、これは貴方にとって大問題だと思いますので、お教えしますケージャ様。最後の項目……ここには貴方の未来の妻は、やがて儀式を終えたあと異界に……元の世界に帰られると記してあります」
「……なっ……なんだと!?」
兄は完全に寝耳に水といった風に、目を白黒させていた。
やがてその瞳が憤怒に燃えていき、エルハンさんは怯えおののいていた。
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