19*ハートの船



海面に上がってローと一緒に甲板へ出るとハートのクルー達が居た。


「こいつがイヴだ。今日からハートのクルーになる。」


クーラは「イヴです。よろしくおねがいします」と頭を下げると「女だ!女だ!」と沸き始めた。


(やっぱり女の人って居ないんだ、何か安心した。)


「よろしくな!おれはシャチだ!」と真っ先に飛びかかる勢いで近づいてきたのはキャスケット帽を被り、サングラスをかけたシャチだった。


「おれはベポ!イヴもおれの下な!ジャンバールといっしょ!」と、喋る白熊のベポ。


「白熊が喋った!?」
「喋ってすいません……」


(何この熊。かわいい!超かわいい!もふもふしたい!)


「おれはペンギン。さっきはいきなりゴメンな。よろしくな。」と、先程船長室に連れていってくれた"PENGUIN"と書かれた帽子を目深に被ったペンギン。


「俺はジャンバール。イヴと同じく今日からハートのクルーになった。よろしく。」と、大柄の男のジャンバール。


後、その他大勢がよろしく!と挨拶に来たがいっぺんには顔と名前を覚えられそうになかった。


「それにしても船長が女を乗せるなんて初めてですね。相当強いんですか?」と、ペンギン。


「……そういや、お前闘えるのか?」

「そんなに強くはないけど、一応は。」

「ベポ、手合わせしてみろ。」

「アイアイ、キャプテン!」


他のクルー達が離れると、ベポとクーラは距離を取って向かい合わせた。


「いつでもいいよ、イヴ!」
と、ベポが構えるとクーラは一気に駆け出した。

ベポの目の前に近付くと、地面に手をつき正転するようにキックを繰り出す。
ベポはヒラリとかわすとクーラに向かって拳を突き出す。クーラはそれをしゃがんで避けると足払いをするが、ジャンプして避けられる。
二人は何度かそんな攻防をするが、一度も相手に当てることなく一旦距離を取る。


「イヴ、なかなかやるね!」

「そう?ベポも熊なのに動きが早いのね。」

「熊ですいません……」

「今落ち込むことじゃねェだろ!」という数人のクルーのつっこみによって再び構えたベポは


「本気を出すよ!アイー!」


と、先程より俄然早いスピードでクーラに迫った。


(早い!)


クーラは避けようとするが間に合わず左腕でガードしたものの、ベポの足技を受けてしまい、身体が横に飛ばされた。


「うっ!」


ベポは慌てた様子で倒れたクーラに近付く。


「ごめんね!つい熱くなっちゃった!」と手を差し伸べる。


「大丈夫。手合わせありがとう。」と、ベポの手を取ると立ち上がった。

(肉球ふにふに!気持ちいい!)


クーラがいつか思う存分触らせて貰おうと決意したところで、手合わせを見ていたローが口を開いた。







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