18*こんなかたちで



クーラはローより先に部屋を後にすると自分のホテルに戻り、チェックアウトをし、言われたとおり47GRに向かった。


(こんな形でハートの船に乗るなんて。いつか、隙をついて逃げなきゃな……。複雑だな。)


47GRまで歩いていくのは面倒だったので、ボンチャリというものをレンタルして、向かう事にした。


(おお、すごい。泡の中に入れるんだ。面白いなー!早く着けそうだしせっかくだから、観光していこうかな。)


昼過ぎ、観光エリアに着いたクーラは買い物を楽しんだ。

(新しい服にグラまんも買っちゃった。そろそろいこうかな。)



47番GRに着いたクーラは近くのボンチャリ屋でボンチャリを返却し、黄色の潜水艦を探した。

(うーん……あ、あった。)

船に近付くと、船の上から見張りのクルーが声をかけてきた。

「イヴさんですか?」

「ええ。」

「船長から話は聞いています。どうぞ。」


と、船の上に導かれ、それに従った。

暫く甲板の上で揺れる波を見ていると、慌ただしく白いつなぎを着たハートのクルー達が次々と船に上がってきた。


「すぐに出港準備を!船長が戻ってきたら出港するぞ!」と、"PENGUIN"と書かれた帽子を目深に被った男が言うとクルー達がすぐさま準備を始めた。


その男はクーラに気付くと、「お前がイヴか!話は後だ!とりあえず船長室へ!」と言いながら手を取り、走ってクーラを船の一室へ連れて行った。


「ここが船長の部屋だ。ここで待ってろ。」


言うとすぐに船長室から出て行った。

外からばたばた忙しい音がする中、荷物を置き、部屋を見渡した。

大きめのベッドにたくさんの医療書が並んでいる大きな本棚。部屋の角には大きめの机に椅子がひとつ。ミニテーブルに一人掛けのソファが二つ向かい合わせに並んでいる。それとクローゼット。出入り口とは違う二つの扉。
とても綺麗にされていた。


(ここがローの部屋か、前住んでた家の部屋とあんまり変わらないな。片付けは苦手だったから、掃除はやってもらってるんだろうな。)


考えてる内に外から「出港だ!」とローの声がして、船長室へ入ってきた。


「来たか。すぐに出港する。海に潜るぞ。」

「心臓がないもの。 来るしかないじゃない。」

「……フッ。」と鼻で笑うと心臓を取り出し、あるべき場所へ戻した。


船が潜水し始め、暫く斜めに傾いた後、水平に安定した。

「私、潜水艦って初めて!海の中ってこんな感じなのね!見て!大きい魚が居る!」


キャーキャーとはしゃぐクーラ。


「……子供か。」ローの言葉にはっとなり、クーラは顔を赤く染めながら、こほん、と咳払いをした。


「ハートの海賊団へようこそ。歓迎する。」


ローはいたずらっぽく口角を上げる。


「……よろしくお願いするわ、死の外科医さん。えっと、私は何をすれば良いのかしら。」

「性欲処理係。おれの。」

「訂正するわ、変態外科医さん」

「冗談だ。何をするかは他のクルーに聞いてくれ。後で紹介する。」





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