「……合宿がしたいね。」
それは朱鳥先輩の一言から始まった。
あたし達の中学校は部活に力を入れていて、
合宿も1日練習もなんでもOK。
あたしもアンサンブル部の時はめちゃめちゃしたな〜〜。
そんな事を考えている時も、朱鳥先輩は
「したい、したいね。」と連呼している。
「合宿って言っても、どこで何人参加するのか
細かく決めなきゃいけないでしょ?」
「う〜ん……。うちと梓と葵でしょ?そんで成留と亜良ぐらい?」
「少ないわね。里桜と水喬は来ないだろうし。」
「里桜と水喬って誰ですか?」
初めてその二人の名前を聞いた
あたしと亜良ちゃんは葵先輩に聞いた。
「里桜と水喬は3年の部員。
里桜はどうして休んでるのか知らないけど、
水喬はちょっと病気で、ね。」
「そうだったんですか。」
そう語る葵先輩の瞳は少し寂しそうに揺らめいていた。
「おーっす!なんか困ってる?」
「あ、梓!合宿しようっていってるのにメンツが足りないのよね〜。」
「永久なら、来さすよ?」
「へ、?」
朱鳥先輩はびっくりしたようだった。
まさか七瀬さんが来るとは思わなかったのだろう。
「咲月にもうOKもらったし。」
「あと2人かぁ〜」
朱鳥先輩はぐるぐるまわりを歩きまわって考えていたが
やがてぱっと顔をあげた。
「友海と美景よ!あの2人呼んだらいいじゃない!」
今度びっくりしたのはあたしだった。
「友海と、美景ですか…あの2人、部員じゃないんですけど…。」
「細かいことは気にしない!
んで、場所は学校でいいわね?」
結果、朱鳥先輩は沢村先生に話をして、まとめてしまった。
「んじゃ、合宿、明後日ね!」
「早くないですか、それ!!?」
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