「デモクラシーのアポロン」の訳者、桐敷真次郎による解説は「ワルター・グロピウスと近代建築─解説にかえて─」と題され、原著のどの章よりも長く46ページあり、原著者グロピウスの概説を切り口に20世紀初頭から1960年代までの近代建築とモダンデザインを概説、さらに総括までしており、私はこれを「モダン・デザインの展開」の後を継ぐものと解釈しています。おそらく1972年発表。

 産業革命以後現れた「新しい支配階級や支配者層は芸術よりも実利を重んじ、建築家・美術家・職人よりもエンジニアと製造業者を尊重し(略)建築と美術はかつての貴族階級や教会で代表される趣味の高い富裕なパトロンを失った。(略)疎外化を感じた建築家は、自己防衛のために建築家協会のような団体をつくり、建築家の資格を制限して職域の確保に努めた。(略)美術家も似たような立場に置かれ(略)注文主なしで制作し、展覧会でみずから優劣を決め、売り込みにつとめるという団体をつくって生存圏を確保した。(略)何百という芸術家団体と建築家団体の発生をうながした(略)その根本原因は芸術的理由ではなくて生存圏の確保だった」p242と鋭く批判。

 近代建築批判も痛快で、「都市の複雑さ多様さに対して機械論的な概念があまりにざっぱくであることが歴然とし」p240「国際主義建築団体がめざした普遍的な建築用語とか都市様式はけっきょく達成されず、近代建築様式とは傑出した個人の建築様式の集合体に終わった」p245。「様式に代る合理的設計原理を発明し、天才でなくてもすぐれた建築がつくれる方法をさずけるという公約あるいは期待が破られたのだから、都市の建築的混乱は手のつけようのないものになってしまう。」p248

 ただ何点か反論できそうな箇所があって、近代以後、芸術家がパトロンを失ったのはベンヤミンが指摘したようにマスメディア(や映画)が、芸術に代わって権威を示す道具になったためだと考えるのですが、それでも大筋において意義深い訳者解説です。

 モリスを超克したはずのモダニズムが、そうではなかったことに気づいた晩年の原著者グロピウスは日本を絶賛し、当時、新時代を築こうとする日本の建築家に失望をもたらしました。
これについても訳者は原著者を手厳しく批判しているのですが、今の日本人なら歓喜するでしょう。それは自国の美点に気づいたことなのか、日本が老いた国家であることを示すのか……。
neoxGRAPHITE0.3mm/HB HRF3G20neoxGRAPHITE0.9mm/B HRF9G20
マーケットプレイス品
 同社neoxイーノ芯を改良したもの。日本のシャーペン芯にまだ改良の余地があったとは驚きですね二回め。
0.3mm(20本入り)から0.9mm(36本入り)までの五芯径。60mm長。10硬度から4硬度。エコマークつき、日本製? 2010年10月発売。

 他社は黒鉛芯にダイヤやシリカを配合しましたが、これは逆に黒鉛を純化。その口上をパイロット公式HPから引用すれば
原料の黒鉛に、極めて不純物の少ない高純度黒鉛を使用。炭素原子同士の結合が強固になり、従来よりも強度がアップしました。また、黒鉛結晶の性質である高い潤滑性を十分活かすことができたため、さらになめらかに書けるようになりました。

 定着性は向上したようですが、三菱ナノダイヤぺんてるAinシュタインに比べれば劣ります。
なめらかさは従来どおり。ただ私はAinシュタインに軍配をあげます。

蛍光灯の反射は少なく優秀。
.3/HB芯を40mmの空隙に30mm間隔で二本渡して錘を載せてみます。
結果40g荷重に耐えられましたが二回に一回は折れました。
次に芯を約0.6mm繰り出し、筆記角度約60°で力を加えると、850g前後で折れました。
 .3mm芯では十分な強度です。



 三菱ナノダイヤを始めとするこれら新シャーペン芯の価格は芯径の別なく200円税別なんですけど、本品の0.3mm芯は他社より5本多い20本入りでお得です。
シャーペン芯を多用する客層といえば学生、細芯嗜好が顕著な世代でもあり、パイロットの販売戦略が垣間見えますね。

 市場成長期にはトリクルダウン現象が表れることもありますが、成熟期には消費者は確立されたブランドへ向かい、既得権益層保護構造の様相を呈します。
けれど、さらに市場が成熟し定番品が溢れるようになると、消費者は工業製品にも個性(差異)を要求し始め、そこで何らかの改良を施したり新規参入されたりすると新規需要が望めるわけで、これら新シャーペン芯はその好例となりそうです。
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