→ゼブラ ウェットニー第一回 加圧式ボールペンの新型。加圧装置をペン軸内に組みこみ、従来型
替芯K芯で書く製品。
ゼブラK芯は旧油性ボールペンインク。三種の姉妹品、エマルジョンインクEK芯、ゲルインクNJK芯、低粘度油性インクUK芯があり、本品はすべてと互換します。
MILスペック落下試験適合。ばね以外の金属部品に磁性なし。
2020年9月発売、インドネシア製。2018年には海外で先行発売されていた模様。
φ11.7mm非ゴムグリップで握り心地がよく、大振りな凹凸は手袋越しにも握りやすい。
問題は、感染症対策としてどこでも消毒を求められる現在、合成樹脂がアルコールに弱いこと。
このグリップ材料がABS樹脂なんだそうで、アルコールが乾いてから触るのがよいでしょう。
アルコールに浸けなければ、ABS樹脂が日常使用で割れることはそうそうありません。
耐薬品性に重きをおく場合には、同社の金属軸、フォルティアシリーズやフィラーレシリーズ、シャーボシリーズ、F-701を薦めます。
→ゼブラM-701ちなみに最強は鉛筆。
ノック負荷約550g。ノック音はダウンフォースより小さく、パワータンクやエアプレスより大きい。
ノックボタンを身体に押しつけてノックすることがしづらくて、競合品より押しづらい印象があったんですけど、指でノックするぶんには手袋越しでも容易でした。
ポケットクリップは同社F-301/M-301用に似た金属製。ポケット生地が薄地の場合、さらに13.5mm深く入ります。
コクヨ測量野帳表紙を挟めるものの、用箋挟みには耐えられそうになく、服のポケット以外にはあんまり差さないほうがよいでしょう。
紐通し環が他製品より大きくてリングを取りつけやすく、本品はクリップよりここに力点を置いたようです。
そこに長さ445mmの鎖をつけ、毎秒2〜3回転くらいで、本品をぶんぶん振り回しました。
遠心力で約2.7kgの負荷が発生したと考えられますが、この紐通し環は壊れません。
青矢印部に紐を通せます。
上、ダウンフォース
下左から
ゼブラF-701
トンボ エアプレス
本品
エアプレスのトーションスプリングクリップが紐通し環としても有用で、強力な競合品。
しかしあれの替芯は互換性に欠け、低温に弱い。
対して本品替芯は標準的なJIS油性B型で汎用性があります。
グリップを外して替芯交換。ばねが固定されず紛失に注意。口金を外しても替芯交換可。
野外で交換する場合、口金を外したほうがいいと思います。口金を失くす可能性もありますが……
◆替芯K-0.7芯 BR-6A-K-**、φ2.95mm×98.2、ペン先径2.25mm、JIS油性B型
付属芯はインドネシア製? 旧油性ボールペンにしては珍しくペン先に樹脂玉がついていました。−30℉から250℉ (約−34℃から約122℃)に対応。
別売替芯は日本製、ばね留めつき。黒赤青緑。
ボール径 / 筆記距離
0.7mm / 640m
加圧式はインク吐出量が増えるため、筆記距離を85% (544m)くらいに見積もるのがいいでしょう。
昔のK芯にはアルコール耐性がもう少しあったように思う。
上から
K-0.7芯 (付属芯、ロット2005)
同ウェットニー/K-0.7芯 (別売2007)
トンボ エアプレス/BR-SF33 (1209)
パイロット ダウンフォース/BKRF-6F (1105)
三菱パワータンク/SNP7 (1006)
同パワータンクスマートハイグレード/SJP7 (0907)
フィッシャー ブレット/PR4F (995)
互換品:
同社エマルジョンインクEK芯、ゲルインクNJK芯、低粘度油性UK芯、サクラクレパスNOB、シヤチハタNP-RF、トンボBR-BS、
三菱SXR-89、UMR-109代用品:パイロットBKRF-、BSRF-、
BVRF-パイロット替芯φ3.1mmはゼブラ替芯φ2.95mmより太いのであまり薦めません。部品が弛んでわずかに気密性が落ちる。
三菱は規格通りφ3.0mmなので、ウェットニーにもダウンフォースにもなんとか入るのですが、三菱S-7Lはペン先(チップ径)がウェットニーに合わず、都度確認を要します。
替芯適合表(私家版)
パイロット ダウンフォースはウェットニーと同じJIS油性B型替芯を用いる加圧式ボールペン。
ところが前述通りパイロット替芯が太いため、同型であるはずのゼブラK芯やトンボBR-BS替芯がダウンフォースには合いません。
その合わない替芯が合うのが今回のウェットニー。
トンボ エアプレス用BR-SF φ2.9mm×58はBR-BS φ2.9×98.2を短くしたものなので、BR-BSやそれが準ずるJIS油性B型替芯のインク量を減らし、短く切り詰めれば代用できます。
またトンボも替芯外径が細く、あまりパイロット替芯を薦められません。
ぺんてる製替芯はウェットニーに入ったり入らなかったり、まちまちなので自分で確かめてください。
別売ゼブラK芯には、替芯内圧を(不完全ながら)一定に保つ発泡ポリウレタンが後部に詰められ、上向き筆記してもインク逆流が起きにくいよう工夫されており、ゼブラ以外の他社製品にも見られます。
これがどのように影響するのか不明ですが、いまのところ支障なく加圧されているようです。
試していないので確言を避けますけど、ペン軸が落下試験に合格したと言っても、替芯ペン先には落下耐性が無いと思いますので注意。
やはり紐通し環になにかくくりつけるのがいいようです。
配達員に向いている製品だと思いました。五枚綴り伝票ももちろん書けます。
四種のインクと互換し、上向きでも水中でも、旧油性ボールペンにしては低温でも書ける良品。
また加圧式特有の長所として、書けなくなった替芯を復活させられる場合さえあります。
雪かきに使い、三年ほどでほつれてきた。
滑らず丈夫でイバラの蔓もつまめなくはないものの濡れると冷たくて、今回検索してみたら、防寒仕様があるなんて知らなかった。でも今年はもう使わないと思う。