今回と次回は加圧式ボールペンの新型、ウェットニー。加圧装置をペン軸内に組みこみ、従来型
替芯K芯で書く形式。
2020年9月発売、インドネシア製。2018年には海外で先行発売されていた模様。
競合品は三菱パワータンクSN-200PT (
三菱パワータンクSN-201PT)、
トンボ エアプレスBC-AP、
パイロット ダウンフォースBDW-40、そしてフィッシャー スペースペンシリーズ。
●ウェットニーなる品名は濡れてもイイという意味だそうで、水中で
クツワ風呂単メモ(明示されていないけど耐水紙「ユポ紙」だと思う)に書いてみましょう。
耐水紙と加圧式ボールペンは、入浴時にメモるひとが使っている組合せです。
難なく書けました。私の悪筆については不問に付していただくとして、
左側:温水約40℃、右側:冷水約10℃。先に冷水中で書きました。
アピカ レインガードメモSW59(撥水紙使用)と
オキナ耐水メモSP PW1532(石灰石紙「キープラス」使用)にも水中で書きました。
書いたボールペンは、
ゼブラ ウェットニー/替芯K-0.7芯 (付属芯、製造年月2005、2020年5月製)
同ウェットニー/K-0.7芯 (別売2007)
トンボ エアプレス/BR-SF33 (0710)
三菱パワータンク/SNP7.24 (1006)
同パワータンクスマートハイグレード/SJP7.24 (0907)
フィッシャー ブレット/PR4F (995, 1995年9月)
- ・冷水では筆跡が不明瞭になりがちで、油性ボールペンは低温に弱いことを再確認します。その中では本品がいい成績を修めています。
- ・本品付属芯と別売替芯とでは、付属芯のほうがインク出がいいような気がしたので両方試しましたが、製造年月が近いからかほぼ同じでした。
- ・フィッシャーは濡れた紙面にも書けますが、水中筆記では耐水紙にインクが定着しにくく、筆跡が不明瞭になります。水中でなければ明瞭です。
- ・パイロット油性ボールペン黒インクを水中で使うと固まってしまうので、ここには掲げていません。
- ・石灰石紙は紙面が凹みやすく、低温でインクが出なくてもインク切れでも筆跡が残り、乾いたら鉛筆で軽く擦ると文字を浮かび上がらせられます。
- ・風呂単メモは浮きます。石灰石紙とボールペンは全品沈みます。パワータンク二百円軸SN-200PTは短時間浮きますがやがて沈みます。
●では低温下ではどうでしょう。
他社製品とともに雪原に並べて一時間放置し、そのまま野外で手袋越しにリヒトラブ ツイストリングノートN-1230に書きました。気温−10℃から−8℃。
ゼブラ ウェットニー/替芯K-0.7芯 (付属芯、2005)
同ウェットニー/K-0.7芯 (別売1402)
トンボ エアプレス/BR-SF33 (1209)
パイロット ダウンフォース/BSRF-6F (1703)
三菱パワータンク/SNP7.24 (1006)
同パワータンクスマートハイグレード/SJP7.24 (0907)
フィッシャー ブレット/PR4F (995)
ヴィクトリノクス クラシックシグネチャー/A.6144.0 (ロット記載なし、2000年ころ購入)
旧油性ボールペンはやはり低温に弱い。
- ・この中ではこれまた本品がいい成績を修めています。替芯が新品だからかもしれないと思いましたが、ゼブラ米国支社はウェットニー海外版X-701について−30から250 (約−34℃から約122℃)まで書けると宣伝しています。案外いいかもしれない。
- ・また、ややこしい話ですが、ここで試した別売K芯は水中筆記で試したK芯より古いロット。付属芯より少々インク出が渋いにもかかわらずどうにか書けており、なかなか信頼性あります。
- ・ダウンフォースは替芯を新たに交換したため書けています。
- ・エアプレスとパワータンクスマートハイグレード(一千円軸)は替芯が古いため芳しくありませんが、内ポケットに挿しておけば体温で温められて、冬でも書けるでしょう。
- ・ウェットニーよりも書けているフィッシャーPR芯は1990年代に買ったもの。NASA納入品は伊達じゃなかった。
同時に加圧式ではないボールペンも試しました。
気温−10℃くらいだったらゲルインクや低粘度油性ボールペンでも書けます。
ゼブラF-701/F-0.7芯
ゼブラ スラリ300/EQ-0.5芯
ゼブラ サラサクリップ/JF-0.5芯
三菱ジェットストリームSXN-150/SXR-5
三菱シグノ307/UMR-83E
ゲルインクでも低温下で書けるなら、加圧式油性ボールペンとはなんなのか、といえば、水中筆記や上向き筆記できるボールペンです。
そんな過剰に思える能力も、机上以外では必要とされることがあります。
低温下で旧油性インクに不安を感じるなら、替芯を変えるといいでしょう。
本品は替芯型式が汎用的なJIS油性B型なので、ゲルインクやエマルジョンインク、低粘度油性インク(
同社NJK芯、EK芯、UK芯)へ換装でき、書けなくなった替芯を復活させられる場合さえあります。
ゴムグリップ嫌いの私ですが、雪中ではゴムグリップやプラスティック軸を薦めます。
金属軸は凍りつき、肌や濡れた手袋に貼りついてしまううえ、新雪に落とすと深く沈みこんでしまいます。
また、低温ではノック機構が凍りついたり口金内に雪が入りこんだりしてノック不良を起こすことがありますが、本品は問題ありませんでした。
フィッシャーのように、替芯にガスを封入した加圧式は、長期保管あるいは季節変化でインク漏れを起こすことがあります。
私の経験ではフィッシャーPR芯は初夏に漏れやすい(現行品は改善されたらしい)。
三菱SNP/SJP芯は漏れたことがありませんけども、冬に書きづらくなります。
本品のようにペン軸に加圧装置を組み込んだ形式は、ノック解除で加圧も解除してインク漏れの心配がない、というのが利点。また替芯も入手しやすい。
いっぽう加圧される圧力については替芯封入式より劣るんじゃないかと感じています。もっとも定量的に測定できたわけではありません。
https://youtu.be/3BXkoo-huMQウェットニー紹介公式動画ウェーイウェーイウェットニー!とか言い出す動画かと身構えてしまった。
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→ゼブラ ウェットニー第二回