サライ 2014年 11月号 [雑誌]:Amazon
かつてはマニア間で一世を風靡した雑誌付録万年筆ですが、新奇性が失われたのか、今回のAquascutum×サライに言及しているブログはわずかです。
かくいう私も知らなくて、気づいたときには発売から一週間以上過ぎていました。
万年筆使いのあいだで話題になっていないならアフィリエイトブログとしては有利なはず、と目論んでみました。
2014年10月発売、中国製。
付属品
・インクカートリッジ(日本風に言うとスペアーインキ)1本
・インクコンバータ1本
両用式、嵌合式
従来の付録万年筆と異なりなんとコンバータ(吸入器)が付属しています。
ピストン吸入で、つまみを前後動させてインクを吸い上げます。
内部のばねのようなものは攪拌器。表面張力で流動性を失った(「棚吊り」した)インクにそれを与える役割があります。
攪拌器といっても棚吊り時以外振らないほうがいいです。
吸入器のほか使い捨てインクカートリッジでも書けます。だから両用式。
キャップはねじではなく、嵌めて閉め、引き抜いて開ける嵌合(かんごう)式です。
左から
パイロット プレララピタ付録万年筆ホワイトそして本品。付録ですが十分な大きさ。
ラピタ ホワイトに比べペン先がちょっとだけ大きい。
私有品のペン先とペン芯(ペン先裏側の合成樹脂部品、インク流量調節溝)は中心が合っていませんでした。どんなのがあたるかは、くじびきみたいなものですね。
分解して組みつけ直したくなりますが、このまま試すこととしました。
インクを入れる前にもう一度インクカートリッジを見てみましょう。上から
付属吸入器
付属カートリッジ
ラピタ付属カートリッジ
オートFCR6(オーストリア製)
ペリカンTP/6(ドイツ製)
画像の数字は差込口径。
ヨーロッパタイプですが、よく見ると付属カートリッジは他のヨーロッパ型と形状がちょっと違ううえ、口径もちょっと大きい。
インクが無くなったら他社製品で継続使用できるというけど本当か。
というわけで、付属品を使わず他のヨーロッパ型を装填できるか確かめたところ、ちゃんとヨーロッパ型が使えました。
カートリッジを差し込むまえに吸入器を取り付けて作動確認すると、うまく吸排水可能。
吸入器を差し込むには少し力が要ります。
字幅は0.7mmゲルインクボールペンよりわずかに太いくらい。上から
本品
ぺんてるエナージェルゼブラ サラサクリップ三菱ノック式シグノパイロットGノック ペン先とペン芯がズレているわりには意外に書き味よくて、なめらかさややわらかさはあまりありませんが、インク切れせず漏れず軽く書けるため書き味よく感じられます。
一分くらいならキャップを開けて放置してもペン先が乾きません。
金属軸も適度な重さと太さで握りやすいですね。
事前に吸排水しておいたので、すぐにインクが出てきましたきたけど、インクが出てこない場合には、カートリッジをいったん外して、ペン先にカートリッジの差込口をつけてインクを吸わせ、呼び水にしましょう。
コンバータ(吸入器)について、
※コンバーターはくり返し使用できますが、長時間使用するうちに口が広がっていき、最終的には使えなくなります。
と注意書きされていますが、無闇に脱着しなければ十年以上もつと思います。
インクカートリッジはここに掲げた品のほかモンブランやウォーターマン、多くのイタリア製万年筆と同型式です。パーカーは異なります。
日本製万年筆のカートリッジは独自規格で、一部を除き合いません。日本のインクで書く場合には瓶入りと吸入器を使うことになります。
ヨーロッパ型は画像のように、二本を背中合わせにして胴軸内に収められるのですが、本品でそれをやったら二本めが取り出せなくなってしまって苦労しました。
二本めの予備カートリッジを収められませんが、ヨーロッパ型には二本ぶんの長さをもつ品もあり、それらを装填可能。
軸色は濃紺、金属にラッカー塗装。
胴軸にはわずかに磁性あり。
材料表示の
ステンレス、スチール、鋼、ABS
がすごく気になる。ステンレススチールと炭素鋼ではなく、ステンレスとスチールと鋼なのか。
私がそうであるように、いまでも万年筆で書く人々がいますが、サライが対象とする五十代以上には、万年筆はとくに思い出深い道具なんじゃないでしょうか。
本誌でのアクアスキュータム記事は3ページほど。
特集は仏像です。偶像崇拝を「仏の教えを立体的に表現し、経典を読めない庶民にまで伝えること。つまり仏像は『見た目が9割』なのだ。」と説明しているのになんか感心した。
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