ペットボールは実に優れたペン軸で、百円ボールペンにしては共用性が高く、部品を組み替えて五社のボールペン替芯を共用できます。しかもゴムグリップではない。
上から
三菱シグノノック式(JISゲルK型)ゼブラ サラサクリップ(JISゲルK型)ぺんてるハイパーG(JISゲルK型)サクラ ボールサインNX(JISゲルJ型) 替芯改造せず、ペン軸改造で多種の替芯に合わせることを目的にします。
最初に、分解して漏斗状部品を取り出します。- 替芯を外して、ペン軸後部を熱湯に二・三分浸けます(煮るのではない)。
- ペン軸が熱で軟らかくなったら、ノックボタン周辺部をゴム板などで挟んで引っぱって抜きとり、漏斗状部品を抜きとります。ここが最も難しい。
アクロボール替芯BRFV-10だけを仕込むのだったら以降の作業を省いて組み立てます。 - ノックボタンを深く押しこんで分解、うっすら透き通っている乳白色の部品(回転子)を抜きとります。
次に、各部品を加工します。
回転子の下側、替芯と接する面を削って13.5mmまで短くします。- 組み立てます。その際にもペン軸後部を熱湯に浸けます。
口金内部のばねが収まる部位を、φ4.5mmドリルで1.5mmくらい深くし、計11.5mmの深さにします。できればばねをゼブラ サラサクリップ用に換えてください。
JISゲルJ/K型は各社少しずつ異なり、ばねも各々異なり、これらすべてに適合するのがサラサ用です。
これでJISゲルJ/K型(三菱ジェットストリームSXR含む)およびパイロット アクロボール替芯BRFV-10を共用できるペン軸となります。
次に部品を新たに作ります。ゲル芯だけを使うのだったらこの作業は不要です。
- 部品aを作ります。
φ6mmパイプ(内径4mm)を24.5mm長に切り出してペン軸内に組みこむと、パイロットBRF-10/20, BRFN-10/30を組みこめます。
それらは油性インクですがJIS水性B型にあたり、87mmの短い替芯で、短さを補うための部品aです。 - 部品bを作ります。
φ4mmパイプを16.5mm長に切り出してφ6mmパイプ内に入れると、元の替芯BSRF-6(JIS油性B型)も共用できます。
これで計四種、アクロボール用含めて五種の型に適合します。新造部品の切断面にはバリが残らないように仕上げてください。もちろん改造の成功を保証しません。
ペットボールはもともとゲルインクボールペンで、それはパイロットヨーロッパ支社のフランス工場製B2P;Bottle 2 Penといい、その替芯はLG2RF-8
/BLS-G2(
Gノック用)という、JISゲルL型替芯です。
ゲルL型はゲルJ/K型よりペン先(ティップ)径が太いだけだから、口金改造のみで済むと思ったのですが、うまくいきませんでした。
輸入されていませんがB2Pには新型も発売されています。
このブログで言うJISゲルなんとか型というのは「JIS S 6061ゲルインキボールペン及びレフィル」規格に制定された三ツの替芯型式のことです。
JISのボールペン規格はiso(国際標準化機構)に準拠し、ゲルインク規格は日本が主導して制定されました。それを開発したのが日本だから。
規格を制する者が市場を征す、とはドイツ人の言葉ですが、日本が一番だ二番だと騒いでいたときすでに欧州は、誰に市場参加資格があるか定める委員会や審判の立場に就いていました。iso9001や14000認証取得が常識的になりましたけど、あれは数年ごとに監査を受け、そのたびに監査料を支払う制度です。
そしてアメリカは既存の規格が無意味化するような新産業を興すことに躍起で、前述の状況下で日本がまあまあ主導的な立場に就けたアナログ文具を過去のものにしてしまいました。
iso規格を拒もう、と主張しているのではなくて、共通規格は準社会資本なのだし、まとめて日本の規格として(実は共通規格だけれども)売り出す方法が可能です。
共通規格には、途上国製品を受けいれる側面もあり、共通規格か独自規格かはなかなか結論しない話題なんですが、通貨安が進んで消耗戦を強いられるまえに、また原発再稼働をジッと待って途上国製品と延々価格競争するよりは、新産業っぽいことをしておかなければならないんじゃないかなーと思います。