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あの子とえっちなことがしたい。 でも俺一応大人なんだよな、小学生の彼女に手を出すとか変態っぽくね? いや、対外的には同い年なので誰に文句を言われるということもないんだけど。子どもである彼女に欲情するかって言ったら……彼女が彼女であることには何も変わりないので、する。全部に触れたい、知りたい。 しかし、小学生であるあの子の健全な成長のことを考えるならば、安易に手を出すべきではない。そして無理強いもダメ。 であれば、ちゃんと段階を踏んで、彼女から求めるくらいに育ててしまえばいいのだ。
「宿題終わったからいいよね」 「わ、けんじく、ん、ぅ……」
ぎゅっと抱きついて唇を奪う。前世の分まで埋めるように何度もリップ音を鳴らす。
「こんなこと、好きな人としかしちゃダメなんだよ」 「……俺のこと、きらい?」 「きらいじゃない、けど……」
煮え切らない返事をする口を塞ぐ。前なら、躊躇なく『けんちゃん大好き!』と答えてくれていただろうな。自分がした事の代償だ。いつかまた好きと言ってもらえるように足掻くつもりだ。
「んむ、っん!」 ぷは、と口を離して、潤んだ瞳で問い掛けてくる。
「や、そこ、なんにもないよ……?」
確かに発育途中のここはぺたんこだ。一切の膨らみはない。けれど、何もないわけじゃない。好きな女の子の胸というだけで俺にとってはプライスレス。それに。
「え、けんじくん、くすぐったいよ……」
今はまだ小さくて飾りのような尖りがここにある。 乳首は直接触れるよりも、布越しの方が摩擦が大きくなり、性感に変わりやすい。育てていくなら、服の上からだ。それに、突然肌を晒させるよりも警戒されにくい。
「ね、ちょっと、や……」 「ごめんね、嫌だった? すぐにやめるね」 「え、う、うん」
じんわりと熱を帯びた頬で目を逸らした彼女。物足りなそうな表情に気付かない振りをして接触を終える。 彼女から俺を求めるようになるまで。そのためならいくらでも我慢できる。 ……嘘だ、本当は今すぐにだって襲いたい。
それから、2人きりになるたびに少しずつ境界線を詰めていった。キスから始めて、肩や背中、身体をなぞって。「……んっ」とほんのり色を帯びた声が聞けた日には精通してなくても自身が勃ち上がるのがわかった。 少しでも拒絶の言葉が聞こえたらすぐに手を止めた。拒絶といっても、「やっ」とか「だめ」とか、本当はやめて欲しくないけどこんなことしてもいいのかな、というニュアンスの声だ。思わず口に出してしまうと俺はすぐにやめる。すると、途端に残念そうな、物足りなそうな表情をするのだ。続きをして欲しいけど強請るのははしたないかもしれない、そんなふうに考えているのを見ると我慢がきかなくなりそうだ。 そうやって繰り返していくうちに、彼女は少しずつ拒否を示さなくなっていった。
ちゅ、ちゅう、と唇を吸う。ベッドの上に向き合って座り、彼女の肩に手を添えて唇を味わう。その身体にはまだガチガチに力が入っている。緊張だけじゃない。この先の行為を期待してドキドキと心臓が鳴っているのだ。
「っあ、」
する、と肩から胸へ指を滑らせれば小さく吐息を漏らす。胸の外側から中心へと指先を集めるようになぞる。
「ふ、っん」
あえてその尖りには触れずに、下から手のひらで優しく胸を揉み上げる。
「けんじ、く……」 「だめ?」 「……っ」
真っ赤な顔をそらされる。 相変わらずお互い服は着たままだ。けれど俺の触り方は明らかに快感を誘発するためのもの。子どものじゃれ合いの域を超え始めていることに、彼女も薄々気づいているのだろう。 拒絶の言葉は出てこない。俺の身体を突っぱねたりもしない。 でも、こういうことをするなら、それじゃダメだろ?
「ごめんね」 「え」 「君が嫌がることはしたくないよ」 「けんじく……」
身体を離して彼女の手を握る。 『待て』をされた犬のようにふるまって、彼女の言葉で関係を進めてしまおう。
「こんなこと、好きな人としかしちゃダメなんでしょ? 俺は君のこと好きだからちゅーしたり触ったりギュッてしたいけど、君が嫌ならしない」 「あ……ぅ……」
彼女は赤い顔のまま俯いて、ぐるぐると思考を巡らせているようだった。 きっと彼女は、俺が触るのを嫌だと思ったことはない。始めは流されて受け入れていたとしても、少しずつ与えられるもどかしいほど僅かな快感に虜になっているはず。ダメ、と次第に言わなくなったのは続けて欲しいという意思表示だ。それでも今彼女が躊躇するのは、強固な理性と羞恥心がストップを掛けているから。もちろん女性から求めるのはハードルが高いだろうし、未だ俺が一方的に好きなだけの微妙な関係だし。「私も好きだからもっと触って」なんて彼女が言えるとは思えない。
うん。 だから、俺はちょっと背中を押すだけ。
「『いいよ』って言って」 「……っ、いい、よ」
彼女の言葉を引き金に、俺はもう一度唇を奪った。
「んむ、っ!」
噛んだりしないように彼女の唇を舐めるとびくりと肩が揺れた。差し込んだ舌を絡ませながら身体を傾け、彼女のちいさな身体をベッドに押し倒す。
「ふ、う、……んう、っあ」
重なった唇の隙間から吐息がこぼれ出る。懸命に息を繋ごうとする彼女の、胸の小さな尖りを優しくつまみ上げた。
「っは、あっ!」
布越しに二本の指で挟んで擦りあげる。途端にびくりと身体が揺れた。
「や、けんじく、それ、なんか……っ、だ、」 「なまえちゃん、そろそろごはんよー! 研二くんは食べてくのー?」 「っ!!」
だめ、と言いそうになった彼女の言葉を遮るような、リビングの方から響いた声に手を止める。彼女の母親だ。
「……ざんねん、時間みたい」
固まっている彼女と身体を離す。は、はっ、と乱れた息と、真っ赤な顔に潤んだ瞳。もっとこの先まで進んでしまいたいけれど今日はここまでだ。
「ありがとうございますー! 僕は帰って食べますのでー!」 「あら、そうー?」
大きな声で返事をしてベッドから下りる。
「俺もう帰るから、……また明日、ね」
ちゅ、と頬にキスをすると、ただでさえ赤かった顔が火を吹きそうなほど真っ赤になった。あ、これ、笑ったらからかったと思われて怒られちゃうな。 冗談にするつもりは全く無い。本気であることを示すように、にこりと笑って先に部屋を出た。 戻る
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