nearly equal

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歩み寄りながらエドワードの様子を確認すれば、近くに放り出されたランチプレートとコーヒーカップがある。先週顔を合わせた時に、自分が居なくても三食しっかり取るようにと釘を刺しておいたおかげか、どうやら昼食を取る事も忘れなかったようだ。
先日も、二日振りに自宅に戻ったアルフォンスが冷蔵庫を覗き込んだら、出勤前に買い置いたベーコンのブロックと食パンに見事な歯型が付いていた。調理を放棄した事はさて置き、一応食事はしたのだろう。自分の事は後回しにしがちなエドワードにしては頑張った方だ。

歯型付きのベーコンを思い出して苦笑しながら、アルフォンスはコーヒーをふたつ取ってエドワードの元に歩み寄った。
熟睡しているのか、背後からそっと忍び寄るアルフォンスにも気付いている様子はない。気配に敏感なエドワードにしては珍しい事だ。余程疲れているのだろう。

その時、エドワードが椅子の上で身じろいだ。アルフォンスは驚いて、思わず脚を止める。

エドワードは、椅子に乗せたお尻をもぞもぞと控え目に揺らし始めた。アルフォンスに気付いたのかと思ったが、そうではなかった。エドワードはテーブルに倒れ頭を付けたまま、何故かお尻だけを揺らしている。

…なんだろう。
アルフォンスはその場に立ち尽くしてエドワードのお尻を見た。
もぞもぞ、もぞ…と、エドワードは寝床を整える小動物のように身じろぐ。はっとなったアルフォンスが気にして周囲を見回したところで、昼過ぎの食堂は人も殆ど居らず、エドワードが一番奥のテーブルに陣取っていた事もあり、兄弟の周囲には他に人は居なかった。



…兄さん。
もしかして、誘ってる?

しばらく椅子から少し尻を持ち上げるような動きをしついたエドワードだったが、アルフォンスがエドワードの尻にムラムラし始めた頃、電池が切れたようにパタリと動かなくなった。









「…お疲れさま」

テーブルに伏せった顔の前にカップを置くと、眉間に皺を寄せながらエドワードが僅かに目を開く。

「…はよ」
「おはよう。もう昼すぎだよ」

前日から夜間勤務のエドワードは、予定通りならもう終業している筈だった。それなのに家にも帰らずに軍内の食堂でグダグダしているという事は、まだ業務が終わっていないのかもしれない。


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